うーん、お休み

本を持つ手が震える

何に怯えているのか

何が恐ろしいのか


文字がおそろしい

ぶらぶらと書かれた文字

なんの意味もない文字

時系列がわからない文字群

輝かしくもない

輝いてもいない

評価されない本は

どこに消える


一冊は生きている

借りられなくなった書庫に

暗いまま押し込まれて

誰かの声は届かず

記憶にないなら

その本はない

生きていない

死んでいる


そして作者も死んでいる

「お休み」と言い残して

――さみしい

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