枯れ草の脊髄
やはり扉を開けると臭かった
真っ昼間のことだ
草がぼうぼうに生えて
砂利だというに
ぼうぼうに生えて
勝手に枯れて腐ってく
育ちもしないのに
育ってむなしく枯れていた
なんの為に芽を出して
成長したのか
もう熟したから枯れたのか
気温で枯れたのか
この間、撒いた殺虫剤のせいか
だって
お前たちから蟲が来るんだ
あの粘膜が
そっちからギラギラと輝く
道が
出来ているから
そこから生まれているのかなって
軽く撒いただけなのに
……枯れたのか
真緑だった草は五十センチぐらいで
葉っぱは下を向いて茶色く
やはりにおった
雨は降ったし
天気はいいし
梅雨ばっかで
この頃は天気がいいけど
枯れる要素はたくさんあるのに
自分のせいみたいだ
せっかく伸ばした芯と四方八方の葉が
茶色く
ひとつ、突っ立たまま葉が枯れているのがある
ここまで伸びたのに
幹だけで、まだ立てている
悪臭がした
葉が茶色い
生きる為に伸ばしただろうに
たくさんの陽と水と土
元気に育っただろうに
枯れた
実は私の幻覚かもしれない
体だけは育ち
伸ばした両手足と脳味噌は上手く起動できず
水を飲んでも
太陽の時間も
メシも
夜の時間も
足は動くのを嫌がって
手は面倒くさいと言う
胴体は重しのようで
頭は諦めばかりと
人生のクズについて考えている
上手く泣けず
死ぬ気はないが
それを、再現しているよう
残念ながら手足がもげようと
体が癌に犯されようとも
芯という脊髄が残る限り
お前のように突っ立ていなきゃいけない
腐臭がするだろうか
自分が気づいてないだけで
この体は腐ってはいないか
臭ってはいないか
いつも確認するが鼻が死んでいる
ますます
効くと願って消臭液を振り掛ける
煙草用なら効果がでるだろう
そんな希望を持っていると
玄関先の枯れた草と臭いが頭を壊す
触りたくないので
他人から見れば
触りたくないので
私は触りたくないので
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