船室ってみたことないな

バブみ道日丿宮組

お題:戦艦の部屋 制限時間:15分

船室ってみたことないな

「最近擬人化ものが流行ってるわね」

「そうだね」

「どうして人間は人間ではないのを人間にしようと思うのかしら? しかも女性限定で」

「ある種のオタク文化というやつじゃない? ってか君も筆箱の擬人化生命体だったよね?」

「そうね。産まれたのはとある研究所の一室。戦艦大和の水兵が使ってたとされる筆箱を異次元突破して産まれたのが私」

「異次元突破とかよくわからないことを使ってる時点でもう人間らしさないよね」

「そりゃ人外ですもの。普通じゃいられませんの」

「そんな君が僕の家に居候しはじめてもう半年か……」

「そんなに経ちますか。追っ手はきてないようですし、ここらへんで落ち着きたいところです。この部屋のレイアウトも落ち着き始めた頃ですし」

「僕の気持ちとかどうでもよさそうにしないで」

「あら、気になりますの? 大丈夫ですわ。あなたを必要としてるのが私ですのよ?」

「それは嬉しい限りだよ。でもさ、部屋のレイアウトを戦艦と同じにするってどうなの? というか、これのどこが戦艦らしいの?」

「船室ですからね。普通と見た目は変わりませんの」

「なら、前のままでも良かったんじゃない?」

「それではレーダーが使えませんの。いざってときに脱出もできませんの」

「なるほど……ね? そこはやっぱ戦艦にあったという不思議な力が働くのかな?」

「そうですわね。普通の筆箱であれば、ここまで部屋を改造することはできなかったでしょう。限定された力だからこそ猛威を振るうといいますでしょうか」

「まぁ……壊さない程度に、直せる程度のほどほど感にしておいてくれると助かるな」

「それは私と添い寝することが嫌だという意味でしょうか?」

「誰もそんなこと言ってないよね!? 僕としては懐かしい温もりを感じられるから一緒に寝て欲しいのだけど?」

「嬉しいですわ。さて、そろそろ晩ごはんの支度をはじめましょうか」

 そういって頭に消しゴムという突起物をはやした女性は台所へと向かった。そんな後ろ姿を見ながら少年は、船室に台所ってあったのかなと、疑問に思うのであった。

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船室ってみたことないな バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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