優勝したい一般人

お題：凛とした超能力 制限時間：15分

優勝したい一般人

　人の願いごとを叶える存在がこの世には存在してるらしい。魔法少女とか、超能力者とか、スーパーマン。テレビでもたまに見る存在。

「はぁ……」

　そういう能力の持ち主はまず一般人にはやってこない。紛争地帯とか、貧民街とか、そういういわゆる普通じゃないところに現れる。またなったりする。超能力者はテレビの特番なんかで見るね。あぁいうのは特撮だって言われてるからほんとかどうかはわからないよ。

　でも、紛争地に現れる女子高生というのはおかしい。そんなセーラー服をきた人がなぜいるのか、疑問に思うしかないだろう。スーパーマンは怪力で災害地を救ってるらしいがこれもただのムキムキマッチョなだけじゃないかとも思える。

「これでいいかなぁ……」

　私としては一般人にもそういう能力を少しばかりは持たせてくれてもいいんじゃないかって思う。

　そりゃ……今までなんの努力もせずに小学校、中学校、高校、大学、そして会社までトントン拍子に進んできたよ。用意されてる道をなんも疑いもせずに歩いたのも私だよ。

　だから……だから、文句をいうのはいけないことなのだろう。

　なら、ならば……願いごとを思うくらいはいいのではないだろうか。

「……」

　社内は小学校の教室4つ分ぐらいの広さ。社長室とか会議室やらも含めたビルで、かなりの大手だ。

　だというのに、

「なしてさ……」

　この空間には私しかいない。もちろん机も私の分しかない。この処置は意味がわからない。

「……」

　電話機がないのはせめてもの救いか。電話嫌いだし、でないと怒られたし。

　だいたい電話なんて上の人がほとんどだし、その人に直接かけるようにしてほしいものだ。下の人がとったって結局回すだけなんだから、それこそロボットにやらせたほうがいいんじゃないか？

「できた」

　文句が次々に浮かぶなかで、私は自分に与えられた仕事をこなす。普通の人はこれの5倍やるらしいが……まともじゃないね。

　余裕がある仕事じゃないとやってられないでしょ。そういうことやるのはやっぱり超能力者にやってほしいな。だって、能力使ってなんでもできるんでしょ？　なら、めんどくさい仕事を全部片付けてほしいよ。

　まっ、私には程度の低いものしかこないんだけどね。

「あとはメール送るだけか」

　懲罰として、1人業務を文字通りさせられてるわけだけど……これって意味あるのかね？　だって、普段から仕事の処理が遅い人が誰にも頼れずに仕事するわけですよ。

　どう考えても効率落ちるよね？

「返信はやっ！？」

　次の業務が送られてきた。これは明日までにやればいいとのこと。

「うーん」

　大手ということもあって、仕事ができない人間をクビにするということはない。人は必ず成長できるという言葉で社内は動いてるのだ。

　ばっかじゃないのかと思うが、お金をもらってる以上やれることをやるしかない。

　私は魔法少女でも、超能力者でも、スーパーマンでもないーーただの人間だから。