今と、少し昔ってなんだろうね?
バブみ道日丿宮組
お題:去年の関係 制限時間:15分
今と、少し昔ってなんだろうね?
「えっと……そのおはよう」
「……おはよう」
朝早くに通学すると、彼女が1人座って空を見てた。
窓際の一番奥に座る彼女は、とても幻想的だ。
美しくて、長く、しなやかな黒い髪は、女神の祝福を受けたかのようで、その背中には哀愁感がただよっていて神秘的だ。まぁ、哀愁って言葉は彼女においてはないだろうが。
「早いんだね?」
「そうね。いつもはもっと遅いくらいよ」
ため息が聞こえた。
「どうしたの?」
「起こしてもらおうと思ったんだけど、起きないって聞いてさ」
なんのことだろう? 彼女がお母さんに朝起こしてもらってるとか? あるいは友だち?
クエスチョンマークが頭に連続で浮かび上がると、
「どうしてわかってくれないのよ」
かすかなボリュームで声が聞こえた。
こちらを振り返った彼女は、少し悲しそうだった。
「はやく起きてっていったよね?」
「そうだね、言われた気がする」
なるほど、僕のことだったようだ。
「私はさ、一緒に行きたいの。わかる?」
わからなくもない。
彼女と僕は、恋人。普通の関係じゃないんだ。
去年とは違うーーただのお隣さんなんかじゃない。
「じゃぁ家に起こしにくればよかったのに」
「それじゃぁおばさまに悪いでしょ」
ジト目で睨みつけられた。
「もう親も認識してる間柄なんだからさ、そこらへんはなるようにするしかなくない?」
人間は後退することは許されてない。
どんなときでも、前に進む動物ーーそれが人間というもの。
「なんか偉そうな顔してるけど、起きないのはあなたなんだからね!」
バンと机を両手で叩きつけながら、彼女は立ち上がる。
「だいたいさーー」
そして右手人差し指を立てながらこっちへと迫る。
「もうちょっと恋人らしくしてくれてもよくってよね!?」
「え、そ、そうだね」
めっちゃ日本語おかしくなってる彼女の鼻息は荒い。他の生徒がいなくてよかった。こんなかわいい彼女は僕以外に見せたくない。
「なに、その手は?」
「他の生徒くる前に充填させてあげようと思って」
なななという喘ぎ声とともに彼女の頬は赤く急上昇した。
そしてしぶしぶ了解したかのように彼女は僕の手を握りしめた。
今と、少し昔ってなんだろうね? バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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