成功したのは違ったもの

バブみ道日丿宮組

お題:昼の成功 制限時間:15分

成功したのは違ったもの

 昼休み、僕は屋上にいた。

「よく撮れてるじゃねーか」

 はいと静かに頷く僕。

「ん、なかなかいいチョイスだな。あー、顔が駄目だな。どうしていい女は地味なぱんつを履きたがるんだ?」

 ゲスな笑い声が耳に入る。

 僕の目の前にいるのは、ガラの悪いまさにヤンキー風な男。いつも学ランを着崩してて、授業ではいつも寝てる。正直学ランを着崩してるのにかっこよさが微妙にあるのはむかつくところだ。

 しかも地味に学校内で嫌われてないのが嫌なところ。どうしてこういうやからは排除されないのだろうか、世の中間違ってるだろ。

『あなた、嫌われてますよ、最低野郎ですよ』と直接言う勇気もなく、

「次は生だな」

 僕にスマホを返すと、男はそういった。

「生っていうと?」

「そりゃ無修正画像ってことだよ。学校の人気者の無修正画像となれば、高く売れる」

「でも……」

 犯罪ですよという言葉は作れなかった。

 既に僕は女子生徒の下着をカメラで隠し撮りしてる。それは知り合いから、高嶺の花の先輩、愛想が良い後輩、全てに渡って行ってる。

 そんな僕が犯罪という言葉を使えるのだろうか?

 今だって男のスマホにフォトデータを移動してる。罪に罪を重ねてる。

 こんな言いなりの毎日なんてクソ食らえだ。

 でも……言うことを聞かなければ、僕は晒されるだろう。

 僕がいう『やってない』という言葉よりも、この男の『やった』のが信じられるのだ。

「……じゃぁ僕はこれで」

「おぅ、生だからな! 忘れんなよ」

 追求から逃れるために、僕は足早で屋上をあとにした。


 そしてどうすればいいのかと、トイレの個室で泣いた。

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成功したのは違ったもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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