語られない計画
バブみ道日丿宮組
お題:名付けるならばそれは計画 制限時間:15分
語られない計画
計画があると、立ち上がった友だちは憤る。
なんのこととざわつきはじめた時、
「ーー脱出計画だ」
さらに言葉が追加された。
脱出……それはこの施設からの逃亡のことだろうか?
無理だよ、いける、半々の声が牢獄の中で湧く。
私には……無謀に思えた。
相手はクリーチャー。人間のことなんてお構いなしに襲ってくる化け物だ。
そんな存在が施設の外に飼われてる。主人格以外の言うことを聞くはずはないし、私たちは餌にしか見えないだろう。仮に出られても死は避けられない。
施設内のセキュリティも強固なものだ。監視カメラにクリーチャーもどきが巡回してる。それらを回避して逃げるというのはかなり条件が厳しい。
「……施設から出るのも難しいのに」
何を意見しようかと悩んだが、まずは前提条件となる施設内部からの脱出について聞くことにした。
「だから、計画があるっていってるんだ」
「どうやって? あなたは特に異分子としてマークされてるわ」
リーダー格である友だちは、施設の監視員の話題になるほどの知能を持ってる。
「それをどうにかするのが考えた計画だ」
すぅと息を吸い込む音。
「この牢獄を安全地帯にして、外のクリーチャーを破壊する」
「どういうこと?」
確かにこの牢獄は核が落ちても壊れないように設計されてると聞いた。それは熱であったり、液体であったりとしても通さない。あるとすれば……毒ガスぐらいだろうか。
「なにかしても、眠らされたら意味がないわよ」
いざ行動しようとして、催眠ガスが流されたらもう記憶は残らない。次に目覚めることはあるのか、ないのか。そういった次元になる。
「そのガスを向こうに流すんだ」
「できるのそんなこと?」
『いいかい?』と友だちが前置きすると、誰も考えつかない不可思議さがある計画を語り始めた。
そして私たちは実際に施設を出ることができた。
でも、それは本当の牢獄を知るはじまりでしかなかった。
語られない計画 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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