実験体の魚

バブみ道日丿宮組

お題:斬新な熱帯魚 制限時間:15分

実験体の魚

 逆さまに泳いでる魚はもう助からないという話らしい。

「……うーん」

 学校の入り口にある大きな水槽には、逆さまに泳いでる熱帯魚がたくさん。この魚たちは一ヶ月もの間この状態だ。不思議。助からないんじゃないのだろうか。あくまで私が知ったのはテレビの情報でテレビが全部正しいということはないだろう。

 お姉ちゃんがいうようにきちんと一度実験すべきなのかもしれない。

 家に水槽はあっただろうか?

「どうかした?」

「ん、なんでもない」

 友人Aに肩を叩かれて、その場を後にする。

 次に水槽をちゃんと見れたのは、3日後。その頃には半分以上が逆さまに泳いでた。さすがにこれはいけないんじゃないかと先生に聞いたところ、問題ないらしい。

 問題ないってのは、魚のお医者さんにそう言われたかららしい。

 普通じゃないね。

 ちなみに家には水槽はあった。お姉ちゃんに頼んだら、熱帯魚をいっぱい買ってきてくれた。

『何に使うの』と聞かれ、実験と答えたら頭を大げさに撫でられた。子供扱いされたような感じだけど、私はお姉ちゃんに撫でられるのは好きだった。お姉ちゃん大好き。


 そのまた一週間後、やけに太った魚が泳いでた。

「なんだろう……」

「そいつ共食いらしいぞ」

 友人Bの言葉に驚いた。

 熱帯魚って肉食系だったのか。また新しい知識を得られた。

 学校を真似るように家にいる魚に餌をあげずに飼育してると、ぱたりぱたりと死んだ。ただ殺すのは可愛そうだから、お隣さんの犬に食べさせた。このこは何でも食べるから便利。お姉ちゃんも大きな肉を何度も食べさせてた。

 それにしても共食いは起こらない。何がいけないんだろうか? 環境か?


 そこからまた一ヶ月、水槽の中身がガラリと変わってた。

「……亀?」

 そこは爬虫類だらけ。魚という魚は泳いでない。

「お前休んでたものな。玄関先の水槽は投票で爬虫類になったんだ」

「そうなの?」

 いこうぜという友人Cの言葉に従い、後を追う。

 今までいた魚たちはどこにいったのだろうか?

 妥当に考えるならば、爬虫類の餌になったのかもしれない。弱肉強食とは聞こえはいいが、ひどく残酷なものだ。

 私も家にお姉ちゃんがいなければ、同じように食われてたかもしれない。

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実験体の魚 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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