秘密のお茶会
バブみ道日丿宮組
お題:昼間のお茶 制限時間:15分
秘密のお茶会
秘密のお茶会に呼ばれた。
その事実は嬉しい限りなのだけど、
「……なに?」
まさか私を恨んでるぐらいに嫌ってそうな彼女までも呼ばれてたとは思いもしない。
エレベーターの前に来た時は驚きでしかなかった。
時刻通りに動き時間式のエレベーターは当然のように本数は限られてる。
同じ時間帯にお茶会のエリアに行くには、これまた当然同じ時間に乗る必要がある。今からいくエリアは特別で、身分証ーーそれも内部の人間に許可されたものでなくては入れない。
仮にエレベーターに乗ったとしても、出口で兵士に追い返れるのが幕引きだ。
だからこそ、私は彼女と一緒のエレベーターに乗るしかない。
すごく気まずい。
周りの景色と同じように会話も高速で動いてくれればいいのに……。
「なんでもないです」
「……そう」
嫌ってそうというのは私が思ってるだけで、本当はどうかわからない。
彼女はいつもソロで行動してて、グループ活動までもソロ。誰かの誘いがきても首を横に振るばかりで応えようとする気配がまるでなかった。
そんな彼女がいったいどうしてーーお茶会には出ようと思ったのか。
「……なに?」
「なんでもないです」
「……そう」
今日何度目になるかわからない会話。
そもそもの話私が彼女を見なければいいという話だ。
でも、気になったら見ちゃうよね?
「……なんでもないわりにあたしのことずっと見てくるよね? 教室でもそう。話しかけるわけでもなく視線ばかりをよこしてくる」
不満そうな声が耳に入った。
「ごめんなさい」
「……別に怒ってなんてない。気になるのは当然のこと。あたしは特別だから」
「……はい」
彼女がいう特別とは、特待生のことだ。それのせいもあって、彼女は孤立してる。
「……だいたいなんであなたがいるの? こういうのはあたしだけの特権なの」
「そう……なんですかね?」
こんなに喋る娘だったんだ……意外というか、やっぱ怒ってるじゃん!?
「そうよ。平均以下の成績のあなたが呼ばれるというだけで不快」
そう言われましても、呼ばれたのは事実だ。変えようがない。
「えっと、ついたら聞いてみたらどうですかね?」
私も気になってるし。
「……そうね、そうしてみるわ」
気まずいエレベーターは、余計に息が苦しくなるように重くなったのであった。
秘密のお茶会 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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