資格試験

バブみ道日丿宮組

お題:12月の公認会計士 制限時間:15分

資格試験

 手を伸ばせば届くはずだった。間違いなどあるはずないと信じたかった。

「……」

 けれど、家に届いた封筒には、不承認という言葉。つまりは、資格試験に不合格したことを示す文章が長々と書かれてた。

「どうだった?」

 同居人が尋ねる。

「駄目だったみたい」

「……そっか」

 うんうんと同居人である彼女は頷く。

「次頑張るしかないね。えっと……次は12月かな」

 カレンダーをぱらぱらと彼女はめくる。

「よく知ってるね」

「そりゃ何度もあなたが落ちてるからね、いい加減嫌でも覚えるよ」

 乾いた息が漏れた。

 仲の良くない友だちにもし言われたのであれば、激昂するかもしれない。

 けれど、彼女はこの部屋を全額無料でルームシェアしてくれてる大事な友だち。まぁ……そんな友だちだから、怒るということももしかするとあるかもしれない。

 ただ……私はそんな状況にあっても怒るというアクションを起こす気にはならない。

 彼女はそういう人物。家族の次に大事なもの。壊したくないものだ。もちろん、怒ったところで彼女がどうこうするということはないだろう。もう5年にもなる付き合いだ。喧嘩することもあった。

 どんなに私が悪かろうと、彼女が謝ってくるのがいつもの流れだ。

 私は……彼女に甘えてる。

「また学校いく?」

「ううん、無駄なことは今回避けるよ」

 彼女はお金持ち。

 そうでなければ、5LDKなんて部屋を1人で過ごせるはずもない。いったいいつからそうなってたのかはわからない。

 お互いが高校生だった頃、彼女は小さな部屋に家族と一緒に住んでた。何度も訪ねたし、何度も泊まった。彼女と家族は不可思議なところは少しはあったけれど、他人のいうことではないと思ってた。

「じゃぁ、今日は奮発しようかな」

「いつものでいいよ。受かったわけじゃないし」

 偽りの家族だと知ったのは大学に入る際、ルームシェアに誘われた時だ。周りの景色をぼやかすためにそうしてたと彼女は話してくれたが、本当のところはわからない。知ろうとも思わない。

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資格試験 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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