デビューの依頼
バブみ道日丿宮組
お題:重い作家デビュー 制限時間:15分
デビューの依頼
「いよいよデビューというやつですね、先生」
「まだ先生って柄じゃないよ。それに話をまだ聞いただけの段階」
どうしてとルームメイトは首を傾げる。
「今までそのために作品書いてたんでしょ? なら、答えは1つじゃない」
「そう……なのかな」
そのメッセージに気づいたのは、先日のこと。
毎日少しずつ公開してる作品の編集をしてたときだった。
はじめはまた感想をくれたのかなと思ってたけれど、まさか出版社からメッセージを受けるとは思いやしない。朝ということもあって、何かの勘違いかと思って、ルームメイトが起きるまで待ってそれを一緒に見た。ルームメイトは私以上に喜んでくれた。
そして会うだけ会ってみなよというルームメイトの後押しもあって、つい先程まで話をしてたところ。
「気乗りしないの?」
「そういうわけじゃない。でも、デビューって一生モノのパートナーのような関係になるでしょ」
今はまだ学生の身だから自由に時間を取れる。これが社会人になったときにできるのかといえば、違うと思う。
間違いなく朝の自由時間は取れなくなる。寝不足で仕事ができるとは思えない。夜も同じ。遅くまで起きてることはこれも寝不足を作る原因になる。
まぁ……まじめに仕事をするという神経があるのであれば、しないという話だ。
「売れるかもわからない」
「でも、評価一番高いやつでしょ? それなりに売れるんじゃない?」
「そう……かな」
出版するとなれば、かなりのリライトが必要。おかしなところはなるべくなくすしかない。それは膨大にある原稿を読み直すという労力が求められること。作家としていつかやらなきゃいけないことを先延ばしてたということでもある。
「まずは一巻試してみれば? 別にこちらがお金かかるわけじゃないし」
「全く君は精神が図太いよ」
偉い人は言ってた。
『使えるものは全部使え』と。なら、私もそうすべきなのだろうか。
「……わかった。とりあえず一巻だけ挑戦してみる」
うんうんと、ルームメイトは喜んだ。
リライトに時間がかかるかと思えば、編集者さんが事前に不明なところをまとめておいてくれたのであっさりというか拍子抜けというのか、すぐに片付けられることになった。
売り上げもそこそこで二巻もいけますという話になった。
デビューの依頼 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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