空の色

バブみ道日丿宮組

お題:昼間の寒空 制限時間:15分

空の色

「なぁ空変じゃないか?」

 そうぼやくと、

「あなたの頭がおかしいだけじゃない」

 ひどい言葉が返ってきた。

「まぁ俺の頭がおかしいのは間違いない事実だとしても、それをお前に言われる筋合いはない」

 なぜなら、こいつも頭がおかしいやつだからだ。授業中に大学受験の勉強をしたり、昼にピザを頼んだり、行き帰りがベンツだったりとするが……いいか。

 しかしまぁ……昼だっていうのに赤い空は幻想的だ。なにか封印された獣とかが駆け出しそうな雰囲気だ。そんなのを発見してしまったら、俺は著名人の1人になれるかもしれない。ユニコーンがほんとうに処女好きなのかは大変気になるところだ。童貞が好きな獣とかいるのだろうか。

「ーー今日はミサイル発射の実験があるのよ」

 思考を走らせてると、空が赤い答えが返ってきた。

「へぇ……」

 最初からそう応えてくれればいいのに。会話ができてない会話はなるべくしたくないものだ。友だちいない俺からすると、一つ一つの言葉を大事にしていきたい。

 しかしまぁ……ミサイルか。街中でやるなよ。街の地下に基地があるからって地上に撃つことはないだろう。休みの日にどどすこやってるっていう話は聞いてたが、マジだったのか。

「ちなみにどこが燃やされるんだ?」

「隣町ね。壊れかけて危ないビルがターゲット」

「ミサイルで爆破したほうが散らかって危なくないか?」

 ぱたんと本が閉じる音、そしてぱらぱらと頁をめくる音。

「私に意見するなら、あなたの家も爆破するわよ」

「それは困るからやめてほしいぞ」

 家は隣町。普通にミサイルの射程圏内だ。撃たれる対象にももしかしたら含まれてるのかもしれないがそこをどうにか俺にすることはできない。

「やっぱミサイル撃つのもできたりするのか」

「そりゃ私だもの。普通にできるわ」

 この隣席の女子は、そういう権力を持ってる。だからこそ、怒られるということは発生してない。そして彼女に不届きを働こうとしたものもいない。ヤンキー風とかに襲われそうになったという話は聞いたが、名前も残ってない。

「新しい本が必要だわ、連絡してくれる」

「わかったよ」

 手慣れた携帯電話の番号に俺はかける。呼び出し音が2回なって、人がでた。

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空の色 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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