最終章 TRUE END
「主よ、それを言うのは何度目だったか」
そう言って、怠惰のスケルトンさんは後ろのドアからこっちに近づいてきた。
「怠惰?
何の話?この会話はこれが初めてのはずだけど」
ティティーさんも驚いているようだった
「ま、そうだろうな。
俺らは世界が戻る度に記憶も消されているんだから
けれど、何度も繰り返しすぎたせいで、俺と、アリエは忘れなくなった。」
怠惰のスケルトンさんは悲しい雰囲気で話し続ける
「だから、この物語を終わりにしよう。
本来行われるはずの行動、それが今起こらず自由に行動できる
だから。
この物語をループさせる存在を
アリエの人生に俺が終止符を打つ」
「え!?」
私は驚いた。今まで様々な行動をとったが、彼が私を殺そうとする事はなかった。
あの残酷な物語の時ですら、彼は私の『死に戻り』に気づいて殺そうとはしなかった
「怠惰!確かにいつもの私だったら、その意見に喜ぶと思うわ。
けれど、今回は違う。この娘は・・・」
ティティーさんはそう叫んでいる途中で止まってしまった。
「『今回』は助けてもらったと言いたいのか?
けれど、完全では無いにせよ。微かに記憶が残っているはずだ
アリエは俺たちを殺した。」
怠惰のスケルトンさんが珍しく怒り気味になっている
「ま、俺が殺されんのはどうだっていい。
興味もない。
だが、
大事な家族の命が弄ばれるのをもう黙って見ていられねぇんだ。
だから、アリエ
悪いが、お前を殺す。
『あの時』お前がした、やり方で」
そう言うと怠惰のスケルトンさんは私に向かって走ってきた。
「待って!」
ティティーさんの言葉も届かない程に真剣に、
『あの時』のやり方。
それはつまり・・・
私は彼が近寄って来た瞬間体当たりをした
彼が持っていた本は飛ばされていった。
やはり、それじゃあ。この後は・・・
私は近くに棒のようなものを探した。
「冥土の土産に教えておこう。俺がなんで世界のループに気がついたのかを
俺はいつも通り、サボって廊下を歩いていた。そして、床に落ちていた一冊の本を見つけた。
そこには、お前の名、お前がこれから通る道、そして世界のループについて書かれていた。」
怠惰のスケルトンはノコギリで、私を攻撃しようとした。けれど私は見つけていた木片でそれを止め、ノコギリを弾いた。
次は・・・
「最初は、悪趣味な冗談かと思ったぜ。
けれど、お前は実際に来た。そして、本の通りに動いた。
そして。
世界がループした。
勿論1回目のループじゃ、記憶も曖昧で、本のことも冗談って思った。けれどお前にまた会った時。懐かしさを感じた」
彼は液体の入ったバケツを投げてきた。
私は急いで避けた、液体にも当たらないように
次は・・・
「そして、何度も何度もループして、記憶もはっきり残るようになってしまった。
こんなもの残らなければ楽だったのにな。
俺は許せなかった。
家族に友達が出来ても、無かったことになる
家族を『悪魔』から救っても、無かったことになる
さらには、家族が全員死んだ事すら無かったことになる
家族の幸せや命が弄ばれている事を許せるわけねぇよな」
彼は私をナイフで突き刺そうとした。
私は彼の右手をずっと警戒していたので、避ける事が出来た。
彼はナイフを捨てた。
最後は・・・
「だからもう、面倒だとか、疲れるとか、言ってらんねぇ。
お前に申し訳ないって気持ちが無いなんて言えば嘘になる。
だが、この惨劇はお前がいなければ始まらない!
本の内容と違えば、『死に戻り』も無いだろう
だから、頼む
終わってくれ!」
彼は銃で私を撃とうとした。
私はそれを右に交して体当たりした
「もうやめて!!」
甲高い叫び声が聞こえた。
声のする方にはティティーさんがいた。
「怠惰の事だ、こんな嘘はつかないと知っている。
けれど、彼女はそんな酷い人じゃない。
もうやめて」
ティティーさんは涙を流していた
怠惰のスケルトンさんはその涙を見て
「すまなかった。アリエ。主。
俺は、気が荒れてたらしい。全く俺らしくねぇよな。
くっだら無いことだけ口にして、場違いな雰囲気で緊張を消す。
それが俺だもんな。家族の為なんて言って。
その家族を泣かすなんて
下らないにも程があったな。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しばらくしてティティーさんも落ち着いて。
私達は仲直りをした。
「ところで、怠惰。
貴方の言ってること9割以上分からなかったけど。1つだけ分かったことがあるわ。」
ティティーさんが突然笑いながら怠惰のスケルトンさんに話しかけた
「貴方がまた、仕事をサボってたことは、よぉく分かったわ。
また、何か罰を与えないとね」
「あ、
えーと俺そんなこと言ったっけなぁ」
さらにフランケンさんも近づいてきた
「ああ、しっかり言ってたぜ。
ついでに、家ん中で水をぶちまけんじゃねぇ。
拭くの手伝いやがれ!!」
怠惰のスケルトンさんは諦めた様子で私に言った。
「犯した罪はきっちり裁かれるべきって事だな。
やれやれ、骨折りだ」
「おう!くっだらねぇこと言ってねぇで早く手伝え!
本当に骨折るぞ」
「あー、フランケンそれは勘弁してくれ」
私は笑った。
随分と久しぶりに心から笑った気がする。
本当にこの物語だけは、消えたりしないで欲しいな
END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます