第34話


離婚してから、あなたは沢山苦労してしまったね。


綺麗なマイホームから引っ越して、パパの養育費はあったけど、収入は半分以下。節約生活。


ママはパパの苦労が分かったわ。

だって、ママはパパのお給料の9割を自由に使って、パパを置いて、あなたと温泉に行ったり、買い物したり、外食に行ったり、海外旅行にまで行ってたのよ。


あなたは、一万円が安いって言う小学生だった。パパのお小遣いは一万五千円なのに。

ママはそれが普通になっていたのよ。


学校で大きな事件があったわね。

パパは心配して、離婚してても、保護者会に来てくれた。


バアバが一回目の脳梗塞の時も、パパがお仕事を休んでくれで、家事も育児も病院の見舞いも全部やってくれたのに、ママは何もせずに、お仕事に逃げた。

バアバはママのお母さんなのにね。


バアバが二回目に倒れたとき、あなたは離婚していたのにパパに電話してたわ。


バアバが亡くなったあとも、わざわざ飛行機に乗って、お墓参りに来てくれたのに、ママは相手にすらしなかった。


離婚しても、毎年ママのお誕生日にはプレゼントを送ってくれた。


パパはいつでも、しっかりと父親で、しっかりと夫だった。


パパはね、いつも文句も言わないで、泣くの。


それが、ママは嫌だった。

メソメソ泣いてばかりで、怒ればいいのに。


いつしか、ママは、パパがわからないようになってしまったのよ。


自分の考えを強要して、価値観を押し付けて、客観的な事実すら見れなくなった。


パパはママの理不尽な要求に応えてくれた。


ママがパパの立場なら、絶対に受け入れられない。


パパが出張に行っている間にマイホームから夜逃げして、あとは弁護士まかせ。連れ去り別居は、現在では、罪になるそうよ。


あんなに優しいパパに酷いことをしたの。


あなたが、思春期の一番多感な時期に離婚なんて最低だよね。


まして、あなたとパパは仲良しだったのに。

ごめんなさい。

ママが馬鹿だから。

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