番外編その2 私達の、結婚式 イリス視点(1)

 ※このお話は、エピローグから5月後の出来事になります。



 フィルお母様。マティアス君と、イリス。私達はまもなく、新たな一歩を踏み出します。


「わぁ……っ。お似合いですよ、イリスさん……っ」

「ええ。お綺麗だわ……っ。イリスさんも、ウェディングドレスも……っ」


 今日は私の、結婚できるようになる日18歳の誕生日。結婚式を行えるようになったため、私は今、チャペルに併設されている控室にいます。

 プロの方に、メイクや着付けをやっていただいて。その全てが終わってたので全身を見回して見ると、鏡に映っているのは自分じゃないみたい――。キラキラした、私になっていました。


「ヘアメイクなどで、こんなにも変わるんですね……っ。皆様、一週間ありがとうございました」


 式当日のメイク達がより輝くようにと、一週間前から全身のエステを受けていました。そのため室内に居る方々はちょっとしたお知り合いで、ひとりひとりに感謝を伝えさせてもらいました。


「いえ……っ。イリスさんというベースがあってこそ、ですよ。それと、」

「やはり、ウェディングドレス、ですよね。何度目にしてもイリスさんにピッタリで、イリスさんの魅力を最大限に引き出してますよ……っ」


 幾重にも重ねたチュールなどが素敵な、こちらのドレス。実はこの衣装、マティアス君がデザインしてくれたんです。

 マティアス君は、誰よりも私を知ってくれている人ですので。ドレス選びを行った日にお願いをして、プロデュースをしてもらいました。


「英雄様の愛が、詰まっていますよね。……いいなぁ」

「あたしも、こんなに想われたいですよ~。早く、良い人に出逢いたいな~――ってゴメンナサイっ、余計なお喋りをしてる場合じゃありませんね。ささっ、イリスさんっ。隣の控室に参りましょう」


 そのお部屋には、マティアス君がいます。ですので私はこの姿を見せるため移動を行い、新郎用控室の扉をくぐりました。

 そうすると――


「月の女神がやって来たのかと思った。綺麗だよ、イリス」


 マティアス君はふわりと目を細め、柔らかく微笑んでくれました。そしてそのあとはす

ぐに、自分の身体を――白のタキシードを見下ろし、


「イリスのおかげで、格好よくなれたよ。ありがとね」


 とても嬉しそうに、衣装を優しく撫でてくれました。

 実を言いますとデザインを頼んだ時に、マティアス君用のデザインを頼まれちゃっていまして……っ。今彼が着用しているものは、私のオーダーメードなんです。

 そういった事は初めての作業でしたが、とっても楽しかった。一生の思い出、宝物となる経験です。


「私もマティアス君のおかげで、綺麗になれました。ありがとうございます……っ」

「あはは、どういたしまして。……それじゃあイリス、行こうか」

「はい……っ」


 私達は頷き合い、チャペル――ではなく、外に停めてある馬車へと向かいます。

 実は今日、式を挙げる場所はココではありません。まずはお母様がかつて使用された部屋で支度を行って、それからとある場所を経由して、ある場所で結婚式を行うようになっているんです。


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