2-2.ワクワクテカテカ!?トレーニング、スタート!

GM それじゃあ依頼を即答で引き受けたところから再開。女の子はビックリした様子で「い、いいんですか……?」って言うよ。


ユイ 「女の子が困っているなら力になりたいし、ましてやアイドル志望と聞いたらね~。あ、ただひとつだけ、大切なことを教えてほしいな~」



 ユイの言葉を聞いて、ゴクリ、とツバを飲みこむアルヴの少女。


 そう簡単にはいかないと思っていたが、果たして何を聞かれるのか。ドキドキしながらユイの言葉を待っていた少女は、


「名前、教えて!」


 笑顔でそう告げたユイに、呆気にとられてしまった。



GM キミの言葉を聞いた女の子は、「あのあの、えっと、リアン、です……」と、動揺した様子で答える。


ユイ 「いい名前だね~! アタシの名前は、改めてになるけどユイだよー」って言いながら、スィーちゃんのほうを見るけど、どんな感じ?


GM 「わたしはスイートピーです! ユイお姉ちゃんといっしょにアイドルをめざしてます! いっしょにがんばりましょう!」って言いながら、嬉しそうにリアンの手をぎゅっと握りしめるかな。アイドル活動の仲間が増えて素直に喜んでいる。


ユイ うんうん、いいねいいね~。


GM そんなスイートピーに、リアンはあせあせとした様子で頬を紅潮させながらも、「あのあの、よろしくお願いします!」って頭を下げる。


ユイ っていうところで、そろそろ何かイベントがありそう?


GM イベントっていうか、トレーニングと称して次の5つの判定をやってもらって、できるだけ高い達成値を目指してもらう感じ。



・ポーズトレーニング:器用度ボーナス+冒険者レベルで判定


・ダンストレーニング:敏捷度ボーナス+冒険者レベルで判定


・ボイストレーニング:筋力ボーナス+冒険者レベルで判定


・歌詞トレーニング :知力ボーナス+冒険者レベルで判定


・表現力トレーニング:精神力ボーナス+冒険者レベルで判定



ユイ もしかして、何か元ネタある?


GM リーゼのなかの人ならたぶん知ってるんじゃないかな……。ともあれこのトレーニング判定では、判定の前にMPを1~4の範囲で任意の値だけ消費して、消費した数だけ達成値を増やすことができます。


ユイ つまり高い達成値を出すためにどれだけMPを払うか、が試されるんだね~。


GM そうそう。魔法的パワーや根性で自分にブーストをかけるイメージ。目標値は9/11/13/15の4段階あって、達成値9でトレーニングポイント+1、達成値15でトレーニングポイント+4。このトレーニングポイントの合計が高いほど、トレーニングのあとにやる「路上ライブ」の結果がよくなる。


ユイ 路上ライブ! やっぱり路上ライブだよね~。いい結果を出せたらキングスフォールでの知名度も上がるって考えていい?


GM もちろん。それと結果がいいほどおひねりという名の獲得ガメルも増えるよ。ちなみにリアン、スイートピーとのロールプレイ演出を入れると1回ずつ判定振り直しの権利が得られる。ふたりががんばっているから自分も負けられない、って感じだね。


ユイ 5回判定して、そのうち2回が振り直せる、と。そこも含めて消費MPを決めろってことだね~。ちなみに路上ライブは判定する?


GM いや、そこは判定しない。トレーニングの結果で全部決まる。


ユイ それならトレーニングで【剣の恩寵】のボーナスを使うのもありかな~。


GM あ、それと本来メリアは日付が変わるとHPが最大値の2割、MPが全回復するんだけど、今回はシナリオ上の特殊な処理っていう扱いでHPとMPの回復はなしでお願いします。


ユイ そういう形でリソースを削りにくるんだね~。その代わり戦闘回数は少ないとか、そんな感じ?


GM そうそう。せっかくのタイマンセッションなんだし、戦闘よりはロールプレイをじっくりやりたくて。回復しないことの理由づけとしては、それくらい全身全霊で取り組んでいるから回復する余裕もない……みたいなイメージ。


ユイ いいんじゃないかな~。とは言え流石に1回くらいは戦闘もあるだろうし……うん、決まったよ~。5回の判定それぞれにMPを4点ずつ支払う代わりに、【剣の恩寵】は使わない形でいくねー。


GM おおう、限度いっぱいだね。残MP14になるけど大丈夫?


ユイ 大丈夫じゃないけどね~。でもユイがアイドル活動で手を抜くとかありえないから、データ的にできる範囲で全力でいくよー。


 心意気に感動すると同時に、流石にその消費量はやりすぎじゃないかなーなどと思っていたのだが……。


 以下、ユイの悲しみをダイジェストでお届け。


---


<ポーズトレーニング(器用度ボーナス2)>

ユイ (ころころ)出目5で達成値15。うんうん、やっぱりケチっちゃダメだよね~。


<ダンストレーニング(敏捷度ボーナス2)>

ユイ (ころころ)また出目5……? あ、ちょっと待って、嫌な予感がしてきたよ~。


<ボイストレーニング(筋力ボーナス1)>

ユイ (ころころ)えぇ……ここでピンゾロ……? リアンちゃんとの友情演出で振り直して……ん、出目7。よしよし。


<歌詞トレーニング(知力ボーナス3)>

ユイ (ころころ)出目6……今日のココフォリアくん、ちょっと厳しすぎじゃないかなー?


<表現力トレーニング(精神力ボーナス3)>

ユイ (ころころ)出目3……うん、今日は完全にダメな日だね~。スィーちゃんとの友情演出で振り直して……達成値18。この出目がさっき欲しかったなー。


---


GM たまげたなぁ。2D6の期待値は7のはずなんだけど。


ユイ 正直、+4の下駄を履かせたら達成値15とか余裕でしょって思ったよね~。基本的には出目で5以上を出せばいいし。


GM 2d6で5が出る確率は約83.3%だからね。1足りないなんてことが起こらなくてよかったよかった。


ユイ 煽るのはよくないと思うよー?


 ダイス目にハラハラさせられたものの、振り直しも駆使して見事に全トレーニングで最大の4ポイントを獲得したユイ。合計20ポイント、文句なしの満点となった。


 ちなみに、以下はロールプレイのダイジェストである。


<ポーズトレーニング>

ユイ 「リアンちゃん、スィーちゃんも! これがウリイイイイイのポーズで、これがドドドドドドのポーズだから、がんばって修得しようね~」

リアン 「あのあの、このポーズ、たしかにカッコいいですけど! か、身体がキツイです!」

スイートピー 「ふえぇ……」


<ダンストレーニング>

ユイ 「振りつけ自体は簡単なものでいいから、タイミングを合わせることと、愛嬌を意識しようね~。とくにここ、勝利の女神が目の前にいる人のためにチュウをするようなイメージ!」

リアン 「あわわ、無理です無理です! こ、こんなの恥ずかしいです……」

スイートピー 「お父さまにチュウをするときと同じように……? うん、わかったー!」


<ボイストレーニング>

ユイ 「喉から声を出すんじゃなくて、お腹から声を出すのを意識するんだよー。インナーマッスルと、表情筋と、声筋の3つが重要……って本に書いてあった」

リアン 「あのあの、もしかしてユイさん、歌があまり得意じゃ……」

ユイ 「お、音程はちゃんと取れてるよー!? ただ声量は、うん、ちょっと否定できないかも……」

スイートピー 「だいじょうぶだよ、ユイお姉ちゃん! みんなでがんばって練習したら、きっとうまくなるよ!」


<歌詞トレーニング>

ユイ 「はいっ、歌詞カードだよ~。しっかり覚えようねー」

リアン 「覚えるのは得意ですけど……あの、この歌詞、すごく独創的ですけど、だいじょうぶですか? それに、ずきゅんとかばきゅんとか、擬音が多くないです……?」

ユイ 「このくらいぶっ飛んでいるほうが印象に残るからオッケ~」

スイートピー 「さん、にー、いちー♪」


<表現力トレーニング>

ユイ 「やっぱりアイドルは見た目が重要だからね~。お化粧の仕方もそうだけど、自分をいちばんかわいく見せる角度の研究も重要だよ~」

リアン「あのあの、私、容姿にはあまり自信が……それに、その、肌の色や目も普通の人たちとは違いますし……蛮族に間違われることもありますし……」

スイートピー 「そんなことないよ! リアンお姉ちゃん、とってもきれいだよ!」

ユイ 「うんうん、スイートピーちゃんの言う通りだよー。リアンちゃんすっごく綺麗だから、笑って踊ってみんなに幸せを届けようって思っていれば、自然と受け入れてもらえると思うよー?」

リアン 「幸せを……届ける……」



――果たして、ユイとスイートピーとのトレーニングがリアンにもたらしたモノやいかに……。

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