1-4.あれ……なんかシリアスだし、尊いぞこいつら……?
GM さて、キミたちは無事にフレジア森林国にたどり着いて宿を取ることができたよ。ここでしっかり休んで、日の出とともにキングスフォールに帰ることになるかな。
ユイ ここまでの旅を通して、サザンさんの決意は変わらない感じ? やっぱりスイートピーちゃんをフレジア森林国に預けるつもりなのかな~?
GM ちょうどそのあたりのことについて話そうか。サザンはスイートピーに「少しだけお留守番をしていてくれるかな」と言って、別の部屋に冒険者たちを集めて話そうとするよ。
ユイ だったら私がスイートピーちゃんを見てるよ~。ほら、GMのことだから、私たちの内緒話をスイートピーちゃんがこっそり聞いていてひと悶着、とかありそうだし~。
リーゼ ありそうですわね。
ルジェ 間違いなくありマスね。
サイネ コクコク……。
そういうメタ読みはどうかと思う。まぁ、実際入れる予定だったけど。
GM じゃあサザンの部屋にサイネ、リーゼ、ルジェが集まって、ユイがスイートピーと一緒に遊んでいる、と。サザンの部屋組からやっていこう。サザンはキミたちに対して、開口一番に「ありがとうございます、あなたたちのおかげで無事にここまでたどり着くことができました」と言う。
リーゼ 「冒険者として依頼を果たしただけですわ」
ルジェ 「その通りデス……デスが、感謝の言葉は受け取っておきマス」
サイネ 「それで……事情について、話す気になった……?」
GM サイネの言葉を聞いて、サザンは少し緊張しながら口を開く。
サザン 「じつは……私は、とある蛮族に狙われているのです……」
ルジェ 「蛮族……」と、苦々しげな表情を見せマス。過去の記憶を少し思い出す演出で。
サザン 「その蛮族は、アルボル……メリアの近似種なのですが、私の研究成果を狙っているのです。いえ、はっきり言ってしまいましょう。仲間にならないかと、そう誘われています」
リーゼ GM、わたくしたち、アルボルについて知っていまして?
GM 魔物知識判定で知名度14に成功したら知っているってことにしていいよ。サイネはメリアだから+2のボーナスを上げる。
サイネ やはりメリアシナリオ……。
まさかふたりも冒険者にメリアがいるとは思わなかったよ。
ユイ GM、あとで合流したらその魔物知識判定、私も+2で振っていい?
GM いいよー。
リーゼ 平目でクリティカルのみですわね。(コロコロ)うっ……3で失敗。ファンブルしたかったですわ。
そう言えばまだ誰もファンブルの50点がないな。
などと思っていたら、ここでルジェがまさかの出目を出した。
ルジェ 平目ですが、一応振るだけ振りマスか……。(コロコロ)んっ!? じゅ、12……?
燦然と輝く6・6の出目。
GM おおおお、マジかぁ。じゃあなぜかルジェはアルボルについて知っていたね。ただセージ技能がないから弱点までは抜けないけど。
ルジェ ああ、そういうことであれば、思い……出した! という感じで、ハッと記憶の底から拾い上げマス。私をさらった蛮族のなかにアルボルがいたということで。
サイネ では……(コロコロ)ん、出目10なので、+2の補正をもらって18……。
GM おー、出目いいね。それなら弱点まで抜けるよ。
ユイ あはは、私が振る必要はなさそうかな~?
GM アルボルはメリアの蛮族版みたいな感じで、「モンストラスロア」にイラストが載っているんだけど、妖艶な美人さん。隠密行動に長けていて、ドレイクみたいな上位蛮族の命令に従って動くこともあるね。穢れが少ないから<守りの剣>の影響も受けにくくて、オーガ族を率いて都市に潜入することもあるみたい。
サザン 「私の研究は、正直に言えば、合法的な手段で進めるには頭打ちの段階を迎えていて……蛮族のもとで非合法な研究ができるというのは、魅力的でした。ただ、もちろんそのときは断りましたが……あの女は、また来ると言っていました。だから、どうなるにせよ、せめてスイートピーにだけは被害が出ないようにと、フレジア森林国に送り届けてもらおうと思っていたのです」
ルジェ 「蛮族に、手を貸すつもりでありマスか?」と、少しだけ剣呑な雰囲気を出して聞きマス。
サザン 「……今でも悩んでいます。断れば殺されるだろう、というのもありますが、研究を完成させたいという気持ちもたしかにありますから」
リーゼ 「そこまでして成し遂げたい研究とは一体なんなんですの?」
GM その言葉を聞くと、サザンはしばし躊躇ったあと、口を開きますね。
サザン 「メリアの短命種……その寿命を伸ばすための研究です」
サイネ 「……!」と、露骨に反応を示す……。
ユイ うわー、その話聞きたかったような、聞かなくてよかったような、複雑だな~。
サザン 「私には、耐えられなかった……スイートピーが、あの子が、10年足らずしか生きられないなどと。だから、あの子に出会ってから、これまでの研究成果を生かしつつ、寿命を伸ばすという方向にシフトさせました……。幸い、自分が長命種のメリアでしたから、長命種のデータ取りには困らなかった」
一同 「……」
サザン 「これ以上の研究を進めるには、短命種を被検体にしなければいけない……ですが、そのようなこと、許されるはずがありません。そうして行き詰まっていたときに、あのアルボルの女が現れて、私を誘ったのです。スイートピーの命を少しでも長らえさせるために、ほかの短命種を犠牲にしてもいいのか……私には、まだ、答えが出せていません」
GM サザンが語れる情報はこのくらいかな。何かロールプレイはある?
ルジェ では、「アナタの決断に私が関与することはできマセンが……もし蛮族に手を貸すのなら、アナタは私の敵デス。次に出会ったときは斬りマス。たとえそれが、あの無垢な少女を泣かせることになっても」と、言って部屋から出ていきマス。……本当はもう少し優しい言葉をかけたいのデスが、このキャラだとそうなってしまいマスね。
GM いや、すごくいいロールプレイだと思う。
リーゼ 悩ましいですわね。実際にそんな研究が完成するかはともかく、娘のために非道に走ろうとしていることを、正面から責めるのも……。いえ、そうですわね。わたくしはプリーストですし、こう言いましょう。
リーゼ 「大切な誰かのために、という気持ちは美しいと思いますわ。ですが、神が定めた生命の理を捻じ曲げることは許されることではありません。それに……スイートピーが大きくなって、いろいろなことを考えられるようになったとき、自分の父が自分を生かすために非道に走ったと知ったら……きっととても悲しむと思いますわ」
リーゼ そう言ってわたくしも部屋を出ます。あとは任せましたわよ、サイネさん。
サイネ いや……正直、このキャラにいいロールプレイを期待されても困る……。
ボイスチャット越しの声のトーンから本当に困っていることが伝わってきた。南無。
GM ロールプレイに悩むようなら助け舟出そうか?
サイネ ん……いや、大丈夫……まとまった……。「その研究は……メリアにとってとても有益なもの……でも、短命種は、あなたが思っているほど、弱い存在ではない……それを、私はユイと出会って知った……」
ユイ お、アタシ?
サイネ 「短い生だからこそ、全力で現在(イマ)を謳歌する……全身で世界を感じ取って、心の求めるところへ向かう……その在り方を、私は眩しいと思う……それは長命種にはない輝き……それを美しいと思うから、私はあなたの研究を認めない……」
GM やだ、普通にいいロールプレイ。というか、尊いな?
サイネ キャラがブレた気がする……でも、たぶん、ユイと出会ってサイネが変わったのは事実だと思う……。きっと1年前にこの国を飛び出して、ユイと出会って、自分とはまったく違う生き方をするユイに惹かれて……それがいつの間にか私という存在を変えていた……。
ユイ あはは、照れるな~。これを私が聞いてないって、すごくオイシイね~。
サイネ ユイがこの場にいたら、言ってない……。
GM うんうん。キミたちの言葉を聞いたサザンは、「……そう、ですよね。ええ、その通りです。私は、あの子のことを考えているつもりで自分の“失いたくない”という感情に囚われていただけだったのかもしれません」と言って、目に輝きが宿る。
サザン 「ありがとうございます。おかげで迷いがなくなりました。私はもう、この研究をやめます。そして、あのアルボルにもはっきりとノーを突きつけてやりますよ」
GM たぶんサザンも断りたかったけど、背中を誰かに押してほしかったんだろうね。と、サザンが決意を固めたといったところで、一方その頃ということでユイとスイートピーの演出に行こうか。と言っても、何かやりたいことはある?
ユイ そうだな~。じゃあスイートピーちゃんの髪を櫛ですきながら、「スイートピーちゃんは、お父さんのこと好き?」って聞いてみようかな。
スイートピー 「うん、大好き! お父さまはすっごくえらい研究者で、お家にもいろんな人が来るの。いつもたいへんなはずなのに、スイートピーのことをとってもかまってくれて、いっしょにいると、ここがほわほわーってするの」と、胸に手を当てて答える。
ユイ じつは父親も母親もいなかったから、スイートピーちゃんの言葉はけっこう刺さるんだよね~。同じ短命種だし。観賞用のモノとして、綺麗な物として愛でられていたけど、そこに情なんてなかったからさー。
GM なるほど……意外と重かった。
ユイ 自分の過去に後悔があるわけじゃないんだけどね~。もしかしたら、拾った人が違えばスイートピーちゃんみたいにちゃんと愛されて育ったのかなーとか、思っちゃったりして、けっこう内心は複雑(笑)。でもそれを表に出すことはしないかな~。
GM いいね、尊みの鎌足……。
ユイ 言葉にならなくて、後ろからギュッとスイートピーちゃんを抱きしめるよ~。
スイートピー 「お姉ちゃん……? どうしたの?」
ユイ 「スイートピーちゃんは、とってもいい子だね~」
スイートピー 「そう、かな……スイートピー、ほんとにいい子かな……」と、そこでちょっとしんみりした感じになって、「ときどきね、お父さま、とってもかなしそうな顔をするの。それって、スイートピーがわるい子だからかなって」
ユイ なるほどね~。
GM 子どもは親が思っているより親のことを見ている、ってやつだね。
ユイ 「スイートピーちゃんが悪いわけじゃないよー。ただ、お父さんは寂しいんだと思う。スイートピーちゃんがどこかに行っちゃうのが怖いんだよ」
スイートピー 「スイートピー、どこにも行かないよ! お父さまとずっといっしょだもん!」
ユイ 「その気持ち、お父さんに伝えたことはある?」
GM スイートピーは首をふるふると横に振るね。
ユイ 「それなら、その気持ちをちゃんとお父さんに伝えてみよう。気持ちっていうのはね、ちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないんだよ~」と、そう言って慈しむようにスイートピーの髪を撫でるかな~。
GM スイートピーはくすぐったそうに笑いながら、「うん、わかった! お父さまに、スイートピーの気持ち、つたえるね! ありがとう、ユイお姉ちゃん!」と言って、サザンの部屋に向かう。
ユイ っていう感じでアタシのロールプレイは終わりでいいかな~。儚い命だからこそ、そのときやりたいことに全力でぶつかっていきたいよね~。
GM その結果がアイドルなのか……。
ユイ アイドルを目指す理由はなんとなく考えてあるけどね~。このシナリオで語るようなことじゃないかな~。
こうして、それぞれの思いを胸に秘めてフレジア森林国での夜は更けていく……。
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