第167話 何もない


ここにはもう何もない

託したい願いも

輝くほどの希望も

愛したい誰かも

もう何もない


何もない


探すことも忘れ

吹き抜けてゆく風

運命を託す花びらさえも

いつの間にか失った

もう何もない


何もない


冷えてゆく体

醒めていく感情

からっぽが増えていく

差し込む陽の光の上

ただ無力な私が転がるだけ

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