第145話 逃げ癖


ぶつからなければならないことが

あちらこちらに散らばっていて

現実は休む暇もないほどに

後から後から追いかけてくる


出来るだけ逃げたくないのは

なんとなく負けた気がするから

それでも突然何もかもを

放り出したくなるときがある


目を伏せて現実逃避

両手に抱えた荷物投げ出し

見たこともない街まで

時間も気にせず歩いていく


ああなんて自由

なんて身軽な体

それなのになぜこの手には

虚しさしか残らない


結局続かぬ逃避行に

戻ってくるのは確固たる現実

どうにもならないこの逃げ癖を

やり過ごし今日もギリギリをゆく

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