第127話 手を伸ばす


見えない先に手を伸ばす

何かを掴めると信じて

それでも触れるのはいつも

虚しく吹く風だけで 


何かがほしいと思っていた 

それが何なのかも知らず

ひたすら渇きを癒そうと

無我夢中で追い求め


我にかえって問いかける

答えを持たない自分自身に

求めているものが分からずに

戸惑う指先が震える


こんな頼りない指先で

掴みたかったのは単純に

ただ今を変えたいという

抽象的で切実な思いしかなくて


頼りない手で掴みたいもの

今はまだ触れさえしなくても

求めることは止めたくなくて

今日もまた虚空に手を伸ばす





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