第91話 穴
ぽっかりあいた穴を
見て見ぬふりしていたら
どんどん広がっちゃって
落っこちそうになったから
やっぱり穴は小さいうちに
塞いだ方がいいんだけど
どうしても逃げグセが治らなくて
見て見ぬふりしてしまう
底まで落っこちてから
見上げた穴の向こうに
広がるのは腹が立つくらいに
青く澄んだ空で
堕ちてしまってからじゃないと
空の青さに気づかなかったなんて
本当にどうにもならないほど
正真正銘のバカだ
そんなこと見せつけるために
わざわざ穴があいたのか
それとも知りつつ塞がなかった
私への穴の反撃なのか
今となってはどうでもいいけれど
やっぱり穴はあいたままで
また誰かを待っている
堕ちてくるバカを待っている
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