第46話 足音


雨上がりの田んぼから

湿った土の匂いと

ほんのりお米の匂いがして

濡れた緑の稲の中

まだ遠いはずの

秋の足音が聴こえた気がした


季節はまだまだ暑い夏 

ギラギラ照りつける太陽は

衰えさえも見せないけれど

着実に流れる時は

止まることを知らぬまま

過ぎ去っていってしまう


せめて乗り遅れぬようにと 

力を込めて踏ん張る足

向こうに伸びるその影は

ほんの少し長くなっていた


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