第23話 雨の残滓


歩道の隅に打ち捨てられたビニール傘とか

悲しいほどにスピードを上げる川の流れとか

雨の残滓がせつなくて唇を噛んだ


あの雨が奪っていったのは何なのか

あの雨がもたらしたのは何なのか


考える暇もなくまた降る雨が

私たちの思考を狂わせる

その黒く重い雲の上にあるのだろう

混じりけのない青を今は見たい


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