第15話 方向音痴


僕は僕がとてつもない方向音痴であることを知っている

それなのに懲りもせずふらふら歩き回るのは

いつかどこかにはたどり着くだろうと思っているから


今日もまたよく知らない道をぷらぷら歩いて

行き止まりで引き返したり行きたい方から遠ざかったり


でもまあいいか 別に急ぐ旅でもなし


途中に見えた紫陽花は満開で美しかったし

すれ違った大きな犬は可愛かったし

それだけでも歩いた甲斐があるってもんさ


きっといつかは行きたかったところについて

ああ長かった、なんて笑えるから

だから今日も方向音痴

抱えながら好きな道を歩こう


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