転生夫婦は絶景を求めて旅をする

一本松

第1話 転生夫婦は出会う。

 今私は今世でも私の旦那になる男に絡まらている。

 往来のど真ん中で12歳の私に膝をつき、手の甲に口づけをしている危ない20歳ぐらいであろう年上の男に見覚えなど無い、全くの初対面だ。

 だが、この反応は知っている。

知っていても初対面でいきなりこの反応はドン引で、言葉を選ばなければキモイの一言に尽きる。


「やっと見つけた‼︎まだ13年齢にはなっていな?。さぁ、今世でも俺のお嫁さんになってくれ!」


 往来のど真ん中で子供に晴れやかな表情をしながら興奮気味に求婚する大人の男性に周りもドン引いて、衛兵を読んだ方が良いのではなどの話し声も聞こえてくる。

 そりゃそうだ。

どう考えてもまともな状態には見えないだろうし、私の表情も引き攣っている。


「初めまして、今世も私の旦那になる人。私はマイ、まだ12歳の人族です。あなたの名前は?」


 やったー!間に合った、12歳だと騒いでいる危ない男を見上げると眉間にグッと皺が寄る。

 身長190ぐらい、筋肉質で引き締まった体、肩幅も広くマッチョ系で、切長の目に銀の耳と髪と尻尾と目立つ。

 こいつ、また無駄にイケメンに転生しやがって。

カッコイイ系とはまた、毎度ながら面倒な女や男に絡まれる未来が想像できる。

 そんな事を考えてると彼と目が合い嬉しいそうに私を抱き上げ、同じ目線に連れてこられる。


「マイ、アマツ国系の名だな。黒く艶やかな髪も、瞳も全てが素敵だな。今でも可愛いが4年後には白花嫁衣装が似合う美人ならなるだろう。俺の名はイザーク。狼系の獣人族で21歳のS級冒険者だ。」


「ハァー⁉︎⁉︎。今S級冒険者って、S級冒険者って言った⁉︎。」


 なんで、どうしてそうなった⁉︎。

S級って、冒険者の最高ランクなんですけど!。

A級ダンジョン突破、都市破壊級モンスターの討伐などなど変更されていなければ滅多な事では上がらないランクなのだが、こいつ何した⁉︎。


「あ〜、マイ、君を探す為に13歳で冒険者になったんだが、旅をしている間にドラゴンに襲われてる街があったり、ダンジョンに潜ったりしていたらいつの間にかS級になってた。」


 後頭部を掻きながら、目を逸らして気まずそうに話す彼を私は褒めなくてはいけないのだろう。

私を探す道すがらイザークが助けた人達の評価なのだから。

 とりあえず、頑張ったのだろうから頭と耳を撫でておこう。

ふむ、フサフサだな。

夫婦になるのだから後で尻尾ももふもふしよう。


「マイ、その・・・、撫でられるのは嬉しいのだ今後の話をしたい。君のご両親の所に行かないか。」


 顔を私からかくしているものの、尻尾がこれだけ振られていれば気持ちなどモロバレだろう。

 だがしかし、何故いきなり両親なのか、喫茶店の間違いでは?。

でもまぁ、どうせ逃げれないのだし良いか。


「両親は既に死んでいる。墓も無い。だから挨拶は不要かな。今は教会で暮らしているからシスターと神父様の所に行こう。夫婦登録については神々との契約だし、年齢云々は問題無いだろ。結婚式は然るべき年齢まで待つ必要があるけど。」


「・・・ご両親に挨拶できないのは残念だが、君が幸せに暮らしたたなら良い。結婚の腕輪はいつ君を見つけても大丈夫な様に常に最高級な物を用意してある。」


 結婚の腕輪を既に用意してあるとはなんとキモ・・・、まぁ良い。

全ては魂に刻まれた約束だ。

神々を交えた約束を覆す方は二つしかない。

私が13歳になるまでに彼が私を見つけられない。

又は、私が彼を心の底から嫌う事。

どちらも起こり得ないのだから結局この約束は永遠なのだ。

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