第7話

村へ行く途中でシュリにいろいろ話を聞いた。


シュリは村長の孫でシュリの妹が現在病で床に伏しているらしい。


病に効く薬草を探すためにモンスターのいる草原まで出向いていたのだ。


村へ着くと、急いでシュリの家へ向かった。


家につきしばらくするとシュリは薬草を煎じ、妹に与えた。


シュリの妹は顔色が悪く咳もしていることから、ずいぶんと弱っているようだった。


「これで効くといいのですが…」


シュリは心配そうに細々と口に出した。


薬の効果を待つ間、シュリは俺に村の案内をしてくれた。


来たときは急いでいてなんとも思わなかったが、思っていたより大きな村だ。


村の見た目はまるでヨーロッパにある村のようで、市場や、協会、広場などがあった。


俺の外見はこの世界では珍しいようで、村人がじろじろこちらを見てくる。


「きゃっ…見てあの人…」


「わっ…かっこいい…」


「シュリと一緒に歩いているけど…彼氏かな…?」


「いいなぁ…シュリ美人だからなぁ…お似合いカップルね…」


村人たちがこちらを見てひそひそ話している。


「なんか俺たちすごく注目されていないか…?」


「そりゃそうですよ…。サトウ様…かっこいいですもん…」


シュリが顔を赤らめてそう言う。


「俺がかっこいい?そんなわけないだろ…」


俺はシュリの言っている意味が良くわからなかった。


「はい…かっこいいですよ…」


シュリは本気でいているようだった。


現実世界では特にかっこいいわけではなく特に女の子に相手にされなかった。


しかし、この世界では違うようだ。この世界ではかっこいいの基準が現実と異なり、俺の顔はかっこいい部類に入るのだろうか。


どちらにせよ男として女性にもてるのは悪い気がしなかった。


村へ来る道中でシュリに聞いた話によると、シュリのお爺さんは村の村長をしており、シュリの両親は現在はいないらしい。


両親が今どうしているのかまでは聞けなかった。


「ところで宿はあるか?」


「宿をおさがしでしたね。それならば、命を助けていただいたお礼をしたいので、こんばんはぜひ私の家にお越しください!」


そう言って俺とシュリは家まで帰ってきた。


シュリの家はお爺さんが村長ということもあって村で一番大きいようだった。


家の中に入ると爺さんが出てきた。


「シュリ!その者は?」


「サトウ様と言います。私の命の恩人です。私がモンスターに襲われている際に助けてくださいました。」


「これはこれは、シュリが大変お世話になったようじゃな…。」


「いえ。たまたま通りかかっただけですので…」


「おじい様、ネネの様子は?」


「薬が効いたのか今はゆっくり寝ておるよ。大丈夫そうじゃ」


「良かったです」


シュリは安心したようで、笑みがこぼれていた。


「おじい様、今晩はサトウ様に泊まっていっていただいてよろしいでしょうか?」


「ああ、かまわぬよ。ところで、お主はどこから来たのじゃ?」


「ここからはとてつもなく離れたところです」


俺は異世界から来たと言うわけにもいかずごまかした。


「それは異世界のことか?」


「……!!」


爺さんには俺が異世界人であることが分かったようだ。


「実は……日本というところから来ました。なぜ俺が異世界から来たと?」


「ふむ。50年ほど前にも異世界から来た者がおったのじゃよ」


俺の他にも同じような人が……!?


村長の爺さんはそう言い残して、詳しくしゃべることはしなかった。


俺はお礼がしたいというシュリの言葉に甘えてシュリの家に泊まることにした。



夜になってから気が付いたが、電気が通っていないようだ。なので、夜はろうそくなど火を主に明かりに使っている。


それでも、昨日の洞窟で寝たのと比べれば天と地の差だ。


晩御飯はシュリが作ってくれた。


クリームシチューのようなものだった。


「お味はいかがでしょうか!?」


俺は一口スプーンにすくって口に入れた瞬間驚いた。とてつもなくおいしい。


まろやかさとコクがちょうどよくこれならいくらでも食べられそうだ。


「まずいですか……」


「いや、おいしい。こんなおいしいシチューは初めて食べた」


「本当ですか!?」


シュリは顔を少し明るくして、とても上機嫌になった。


ご飯を食べ終わると俺はシュリに用視された部屋に案内され、自由に使ってくれと言われた。


俺は、やることもない上、今日もなんだかんだで動きっぱなしだったので疲労によりすぐに寝てしまった。

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