第十章 崩壊を呼ぶ天使
第150話 グランバッハ家のDNA①
『シャムシール王国』を出た『聖竜部隊』だったが、『第七ドグマ』は『アルヴィス王国』南方に待機し<ニーズヘッグ>は予定通りに王都『アルヴィス』に帰還することになった。
マドック爺さんはやる事があると言って『第七ドグマ』に残った。
こうして俺たちは王都に戻り<ニーズヘッグ>は『第一ドグマ』到着後に点検が始まった。
それと並行してフル強化された竜機兵全機は改良型ドラグーンモード搭載の為にオーバーホールを受けている。
<サイフィード>に関しては既にドラグーンモードが搭載されているので、その部分の調整は後回しにされるらしい。
【アクアヴェイル】
HP7500 EP650 火力4000 装甲4000 運動性能255
属性:水
アビリティ:HP回復小、EP回復大
武装:エーテルアロー、エーテルトライデント、エーテルフラガラッハ
術式兵装:エレメンタルキャノン(水)、ヒール、ダリアフラッシュ、リヴァイアサン、メイルシュトローム
【グランディーネ】
HP10000 EP500 火力4000 装甲7000 運動性能235
属性:大地
アビリティ:HP回復小、EP回復大
武装:格闘、シールドバッシュ、チェーンハンマー、エーテルシールド、エーテルアイギス
術式兵装:エレメンタルキャノン(大地)、インパクトナックル、ミョルニルハンマー、ファフニール
【シルフィード】
HP7000 EP550 火力5000 装甲3500 運動性能325
属性:風
アビリティ:HP回復小、EP回復大
武装:エーテルブレード、エーテルダガー、エーテルブーメラン、エーテルブリンガー
術式兵装:エレメンタルキャノン(風)、リアクタースラッシュ、アジ・ダハーカ、ディバイディングストーム
フル強化を終えた竜機兵三機のステータスはこのようになった。
フル強化ボーナスで一気に性能が向上し、それに加えてHP回復とEP回復が追加されたことで継戦能力が段違いだ。
それにドグマ技術レベルも最大になったので新しい武器の開発も始まっているようだ。これからの戦いに向けて準備が少しずつ進められている。
ドグマで戦いの準備が進められていく中、ティリアリアは『聖竜部隊』の代表ということでクレイン王太子と一緒に連日会議に出席していた。
ついでにシリウスも『ドルゼーバ帝国』の内情を知っているということで会議に出ていた。
『シャムシール王国』で行われた三国会議の結果をノルド国王たちに報告し、その先どうするべきかを検討しているらしい。
当面は休戦期間の終了が迫る帝国に対し、期間の延長及び終戦を呼びかける方向でいくようだ。
帝国の裏に『クロスオーバー』が付いている以上彼等が戦争を止める可能性は低いが、それでも平和的な解決方法を模索していくのがノルド国王の方針だ。
その後『ドルゼーバ帝国』との会談が設けられることになり、数日話し合いが行われた。それにより休戦期間が一ケ月延長された。
しかし、向こうは終戦に向けて動く兆しは無かったらしい。休戦期間が延びたのも戦いに向けて戦力を整えるための時間稼ぎという見方が濃厚だろう。
『第一ドグマ』では全竜機兵のドラグーンモード搭載が完了し調整が行われている。
新しい量産機<セスタス>の配備もかなり進んで『アルヴィス王国』の総合戦力はかなり上がった。
新しい休戦期間が終了するまでの一ケ月、俺たちは仮初とは言え平和な日常を楽しんでいた。
俺とティリアリア、フレイア、クリスティーナ、シェリンドンは王都に滞在中グランバッハ家で生活をしていた。
シオンは『第一ドグマ』にある自室で寝泊まりをしており時々顔を見せている。
「はいっ。朝ですよ、起きてください!」
朝のまどろみの中、掛け布団を引っぺがされ俺の意識を覚醒に導いたのはグランバッハ家メイド長のエルマ・ノクトンさんだ。
ティリアリアの祖父であるクラウスさんの代から働いており、ティリアリアが不在の間はグランバッハ家を切り盛りしている凄い女性だ。
年齢は五十代らしく娘さんもこの家でメイドとして働いている。俺が知る限り肝っ玉母さんという言葉がこんなに相応しい人物はいない。
「まだ眠いよ~。母さん、あと五分だけ寝かせてよ~」
「誰がお母さんですかっ! ハルト様、いつまでも寝ぼけていないで顔を洗ってシャキッとしてください。聖騎士としてグランバッハ家を継ぐ者として、それに相応しい風格を身に付けてもらわなければ困ります」
「――すみません」
「分かりましたね? それでしたら顔を洗って朝食に致しましょう。ティリアリア様たち奥方は既に起きて待っていますからね」
「イエス、マム!」
エルマさんに敬礼して洗面所に向かう。グランバッハ家の朝はこんなふうに彼女の大声で叩き起こされ始まるのだ。
顔を洗った俺がテーブルに向かうと椅子に座りながらまどろんでいる四人の姿があった。うつらうつらと船を漕いでいたかと思うと、突然スイッチが入ったように目覚める。
その直後に朝食を運んでくるエルマさんとメイドさんたちが部屋に入って来た。
もしかして、彼女の接近に気が付いてティリアリアたちは起きたのか。最早、野生の感覚じゃないか。
「ハルト様、席に着いてください」
「りょ、了解です。――皆おはよう」
「「「「おはよう」」」」
妻たちと朝の挨拶を交わしつつ食卓に着くと、パン、サラダ、スープ等豪勢な料理が並べられていく。
一通り並べ終わると両手を組み、神に感謝の祈りを捧げて食事が始まる。
「「「「「いただきます」」」」」
俺がそうしているのを見て、食事の前後には「いただきます」と「ご馳走様でした」と言うのが通例となっていた。
エルマさんが見守る中、粛々と朝食が進んで行く。起き抜けではあったが、優しい味付けの料理は自然と身体に馴染んでいき、ぺろりと平らげてしまった。
「「「「「ご馳走様でした」」」」」
食器が片付けられていく中、エルマさんが本日の日程を告げていく。今日は全員仕事が休みだ。それは今日大切なお客様がグランバッハ家を訪ねて来るからである。
その準備のため、数日前から掃除が入念に行われ屋敷内にピリピリとした緊張感が漂っていた。
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