第3話 惰性への決別
形式上のジタクに戻り、部屋に入る。叔父の所で時間を潰した結果、違和感なく帰ることができた。
夕飯迄少し時間ある。本来ハハが作るのだが、今日から自分で作る事にした。
リョウシンの口喧嘩を聞きながら、食べる飯は例え三星レストラン級の味でも不味くなる。
だったら、先に済ませた方が賢明だ。
俺は予め、米を研いでセットしておく。
本当ならこの食材やありとあらゆる使っているものを自分の金で買ってしまいたい。
一人暮らしを口だけの戯言にしないためにも。
だが、残念ながら、今の俺ではまだ金が足りない。不本意だが、これも独り暮らしのためである。
米が炊ける迄の時間暇なので、部屋へ戻る。
しばらくして、炊飯される時間を見越して、料理していると、ハハが話しかけてきた。
「ちょっと何してるの? 」
「料理」
「それはわかるわ。何で透がしてるの? 」
「……」
「黙ってないで、答えなさい」
どう言ったものか。
「リョウシンとの口論の中で行う不味い飯を食べる前に先済ます方が建設的だろ」と、オブラートに包んで言ってやろうか。
はたまたカアサンの負担を少しでも、軽減させるためにしていると言う。
そして早く稼げるようになり、トウサンの負担も減らしたいと、お涙頂戴の茶番劇を行うか。
前者はノンストレスで言えるが、反応が目に見えている。
火に油だ。後者はストレスと引き換えに平穏は保たれる。
後者のような気持ち悪い行為にも限界がある。
一週間も続けたら、吐く自信がある。
あれこれ悩んでも、仕方ないので、答える。
「一緒に食べたくないからだよ」
「どうしてよ? 」
「言わないとわからない? 今まで食事してほとんどトウサンと口論しててそれを聞きながら、食べるご飯が美味しいと思う?せっかくの食事が台無し」
「それは透を思っての事でしょ」
「そう思ってるなら、他所でやってよ。オヤの口喧嘩を聞いて楽しいコドモなんていないだろ。だからもう料理は自分でするから。一応余計に作るけど、食べないなら自分で食べるからそのままにして」
そう吐き捨てると、また料理に専念した。
流石のハハもそれ以上何も言うことはなかった。
ヒステリックなのに意外だ。
寧ろ激昂してくれた方が好都合だった。
後に、虐待証拠として、使えればなと思ったが仕方ない。
料理を済まして、手っ取り早く食事も済ませた。
一大の憂鬱から解放されるためなので、このくらいの面倒は仕方ない。
食事を済ませたので、直ぐ様、部屋に戻る。
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