第2話 宣戦布告

 独裁者に挑発をした。


結果俺は早速、目をつけられて、対象となっていた。


俺は奴の取り巻きに拘束されいた。


一時間目の授業が始まって、直ぐに独裁者が。




「先生。トブネズミ君が体調が悪いようなので、保健室に連れて行って宜しいですか? 」と勝手な申告した。




先生も止めず、了承した。独裁者が「A君とB君も手伝って欲しい」と言って、されるがままに、俺も連れだれされる。


A君とB君とは取り巻きのことだ。ここで抵抗しても誰も味方がいないため仕方なく、従う。




 そして連れ出されたのは保健室ではなく、トイレだった。


いじめをする場所としてはべたなところだな。


やる気満々と行ったところか。




 保健室に連れていく筈なのに、トイレへ連れ出した、独裁者もとい知的障害者に念のため意図を聞く。




「保健室に連れて、俺をかいほうしてくれるんじゃなかったのか? 」




「君にはここがピッタリだと思ってね。勝手ながら、アドリブを効かせたんだよ」




「そうか。じゃあ、解放してもらおうか」




___・・


「うん介抱してあげるよ」




トイレから出ようとしたら、取り巻きに止められる。


解放するって言ったのに。解放?……あぁ介抱か。




「かいほうって看取るほうか? 」




「勿論」




「お前本当に頭可笑しいな。それともトイレを保健室としか見れない。幻覚でも見えてるのか? 」




独裁者は減らず口に呆れた様子だ。




「僕はいたって、健常者だよ。君こそ察しが悪いね。僕を苔にしてただで返すわけ無いだろ」




「おお、怖い怖い」




 取り巻きに腕を拘束される。一人だけでも、俺よりもがたいがいい奴らなので、当然振りほどけない。


そして取り巻きに服を調べられる。




「これは没収だよ。心配しなくとも後で新品にして返してあげるよ」




腐っても、優等生。馬鹿みたいに警戒せずに憂さ晴らしはしないか。


奴が拳を作り、放ち、腹に鈍い苦しみがうまれる。


対照的に奴は笑みをこぼす。


だが、それは一瞬で終わる。


顔の感触に違和感を覚え、触れて、それで発狂した。


すかさず、洗面所へ向かい、顔を洗い流した。


そして取り巻き上着を脱ぐように指示した。


そんな奴らに律儀待ってやる訳もなく、そのまま出た。








 独裁者から逃げた俺は学校から出て行った。


証拠がなければ始まらないが、端末は独裁者に取られたばかりである。


という心配はなく、実はあの端末は別の端末でライブ通話にしていた。




坂井関連の証拠も隠しカメラで幾つも現場でおさえている。


だからここでうまくいかなくとも致命的ではない。


加工をすれば、俺が被害にあっている用にもでっち上げられる。




実際被害にあってるのだから全くの嘘ではない。


しかしあの驚き用では、気づいていないだろうな。血糊を仕込んで、吹いてやった時の慌てよう傑作だった。


腹の一撃はノーダメージというわけではないが、走って逃げれる位には問題ない。


経験上、肉体的苦痛にある程度耐えられる様に試行錯誤してきた。




制裁を受けようが受けまいが、追い詰められるのは、あいつ自身だ。


その分の借りを返すだけのことだ。あいつは人を痛め付けれても、殺す事は出来ない。


これは確証ではなく事実だ。上の立場の人間が安寧を投げ捨てはしない。




それが阿多谷の行動からひしひしと伝わってくる。


坂井への暴行も骨折には至らないようにしている。


それは一種の管理だ。ここまでなら安全、やっても大丈夫と線引きを無意識に行っている。


それは上の立場を崩れることを気にするからだ。


管理とは、上の者が求める本能的行動だ。




まともな奴ならここで酷い目にあったことを先生へ話す所だ。


しかし生憎ここは、学校の皮を被った紛い物。


先生もあの独裁者の支配の例外ではないからだ。


まずまともに取り合って貰えない。それは坂井の仕打ちを見ればわかることだ。




しかしおかげで、惜しげもなく、授業をほっぽり出せるというわけだ。


内申に響くなんて進路が決まっていない奴らの戯言だ。


学校が腐っているのだから、責められる義理はない。


まともな奴ならここは、最悪な環境だ。




独裁者が指示を出せば、先生だって従う。


すぐにでも転校するのが賢明だ。


独裁者の指示で先生が家へ連絡が来たら面倒ではあるが、それはあっちにとっても同じ事。


そちらがその気ならカードが揃っているこっちがカウンターをおみまいするだけだ。


このままイエに帰れば、何かと面倒になる。こういう時はあそこへ行こう。




 帰宅経路とは別に俺は、ある場合へと向かう。




 着いた場所は弁護士相談事務所。中へと入る。


そこは事務所というには余りにも汚い。


書類は無造作に置かれ、シンクにはカップ麺の器が段段になっている。


極めつけにコバエが目立つ。こんな所に客なんて来るわけがない。




そこで座りながら、居眠りをしているのが、俺の伯父で、弁護士である。


この伯父と裁判を行い、慰謝料の1割を提供する契約をし、協力し合っている。


慰謝料請求後、伯父の所へ住ますことも契約している。


話をするために伯父を起こす。




「伯父さん。さっきの動画取れた? 」




「ん?あぁバッチリ撮れているぞ」




指をされている端末を手に取り確認する。


どうやら上手く撮れているようだ。陰湿ないじめ現場の完成だ。


この伯父は家族から疎まれている。何せまともな生活をしていないのだから。




稼ぎもそう良いものでは無いだろう。


しかし一度決めた仕事はしっかりとこなす。


何より金に対しては真面目だ。与える報酬通りに仕事をしてくれる。


その観点では信用している。弁護士なんて他に宛もないし、親がいなければ、まともに取り合ってくれないだろう。それに、請け負うにも特殊な事例過ぎて頼められない。




「……伯父さんここ片付けから」




「ああ頼む」




 とても寛げる場所でないので、片付けへと移行する。


伯父は見ての通りダメ人間なので、やらせようとするだけ無駄なので、自分から行う。




 一通り片付けたので、今度は昼飯を作る。


冷蔵庫にめぼしい物はないか確認する。


まともなものが何一つない。完全に料理をする気のない冷蔵庫の中身。


仕方なく昼飯の材料を買ってくる。米を炊くには時間がかかるので、麺類である焼きそばに決めた。


念の為に学生服から私服に着替えて、バレないために、だて眼鏡と帽子とマスクをかける。




 最寄りのスーパーに寄り、焼きそばの麺、ピーマン、玉ねぎ、人参、マヨネーズ、卵を買う。




 伯父の事務所へ戻り、早速焼きそばと目玉焼きを作る。


出来上がった焼きそばにマヨネーズと目玉焼きをのせる。




伯父が焼きそばが出来上がったことに気づくと、テーブルへ座る。


本来学校で食べる給食を食べているであろう時間に、別の場所で昼食を行う。




「うん。旨い。腕を上げたな透」




「説明書通りやれば、誰だって出来る」




「またまたご謙遜を」




「なら、契約料を安くしてもらえると嬉しい」




「……この話はここまでにしよう。」




「冗談だ」




 昼食のしながら、これからの意向について伯父と話し合う。




「独裁っじゃなくて阿多谷を叩く証拠を坂井のも合わせて充分に揃ってる?これから裁判を起こすけど、何か気をつけておくことはある? 」




「坂井君も災難だな。透にいいように使われて」




「余計な情は要らない。で、気を付けるところある?      」




「そりゃどれだけぶんどるかに尽きるな。そこんところ透はどう考えてるんだ? 」




「いじめの張本人の阿多谷は一番多くするのは、勿論のこと、傍観者生徒と先生にも訴えるつもり。額は阿多谷1000万。後、取り巻きの二人は200万。生徒は1年事に3クラスいて、1クラス30人。訴訟額は1年が10万で2、3年生は20万。 (1年)30×3クラス×10万+(2、3年)2×30×3クラス×20万-90万(阿多谷と取り巻き二人の分)で生徒への額は4410万。先生へは各100万。先生は15名だから1500万。校長は500万。合計にすると、7810万円」




「…………おお。随分ぼったくるねぇ。こりゃ一流の当たり屋もびっくりだぜ」




「そんなに多い? 」




「阿多谷はもっとぶんどれそうだ。何せ、学校を支配できる程だからな。校長の平均年収入がざっと1000万と言われているそいつより遥に経済力があるということだ。。だから親がその5倍はあると思っていい。だから少なく見積もっても、一億はとれる。と言いたい所だが、お前の今の所持金は20万だろ?大きな額を取り扱えばその分手数料も高くなる。おまえの所持金を加味して、4000万が限度だろう。そして全生徒を訴えるのは難しいぞ。証拠の照らし合わせで、時間もかかるし旨味も少ない。ただそれは正攻法でって意味で、いじめを無視してきたのは、紛れもない事実なんだから揺さぶる。つまり、脅すのさ。考えてもみろ、学校でいじめに加担していた生徒のレッテルを張られたら、高校の進路なんて不安で仕方ないだろ、何としても、穏便に済ませたくなる。先生・校長の方も体裁を守るためにもそれくらいは出せるだろう」




「そしたら、請求額は1億810万だ」




「おお、夢が膨らむねぇ。宝くじに当たった気分だ」




「まだ予定だけどね。他に気にすることある? 」




「とりあえずはそんなところだろう。後は随一気になったら言う」




 今後の方針を決め、食事を終らせて、食器を片付ける。




 片付けを終えると、パソコンを借りる。ここでなら印刷も使い放題なので、中学生の金銭事情には非常に有難い。


所持金は極力使いたくない。




 調べる内容は裁判の事について。手続きなどを調べる。


内容証明郵便。これはいじめ加害者がいつどこで何を行ったかを相手側に送りつける用紙。


これによって当人はいじめの事をうやむやに出来ない。


いってみれば、裁判による宣戦布告た。学校側、生徒にも皆送りつける。




と、言いたい所だが、流石に全生徒の住所はまだ把握出来ていない。


今は保留だ。いじめの張本人といえば余りにも有名なお坊ちゃまなので、逃げも隠れもしない大変立派な豪邸に住んでいる。




郵送するのは容易だ。そして内容証明郵便手数料の相場は1500円。


今の手持ちが50万。


部の良い宝くじと言えば、聞こえは良いが、全員に郵送する余裕は無い。




なので、無駄打ちは出来ない。ここは張本人と取り巻き二人と先生サイドに絞ることとした。




 郵便局のサイトを開き、内容証明郵便の手続きを伯父と行う。


新規登録は伯父の情報を了承の元、弁護士の叔父名義で利用する。


今時、わざわざ出向かなくても、郵送出来るのは非常に便利だ。




それに出向けば、会いたくもない奴らに鉢合わせになる危険性がある。


カモフラージュとして普段しない格好をしても、バレるときはバレてしまう。


極力リスクは避けたいところだ。




「透。内容証明郵便の後の事についてだが、民事調停を行う。民事調停とは所謂、裁判の前の示談の交渉をすることだ。ここで目標額ぶんどれれば、面倒な手続きも支払いも裁判も必要ないからな。相手も公にはしたくないだろう。明日俺も学校へ行く。職員室付近にいるつもりだ。居なかったら、連絡してくれ」




「学校では携帯は使ってはいけなっ、いや、わかったよ」




「いつも俺のを持っている癖に。まぁお前は根が真面目たからな」




「うるさい」




宣戦布告の手続きを終了する。明日の奴の反応が楽しみだ。




 学校の帰宅する。時間と合わせ違和感の無いようにして帰る。


誰とも会わないように叔父さんの車に乗せてもらう。


叔父は渋々といった様子だった。余程兄よほどチチに会いたくなかったのだろう。


伯父の苦労のかいもあって、面倒事に一切巻き込まれずに済んだ。そのままイエに帰宅した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る