Aメロ

「おっはよ〜!」

「おはよう」

「ねえジョナちゃん、○○君の新曲、聞いてきた?」

「うん。すっごく良かったね」

「だよねだよね〜。私イントロから鳥肌凄かったもん!あのサビも……」


 今日も始まった。…でもこれを聞けるのも後少し。この日常が終わりを迎えるまでは、できるだけ楽しみたいな。


 あ、そうだ。白夜君に連絡先聞いときたいな…。


『キーンコーンカーンコーン』


 あ…。


「あ、チャイム鳴っちゃった。また後でね!」

「うん。またね」


 また聞けなかったな…。放課後こそ聞きに行こう。





 「ジョナちゃんお疲れ〜。7時間目の古典ほんとダルかったよね〜。あのおっさんほんと面白くないし」

「うん。疲れたね〜」

「今日は一緒に帰れる?」

「え、えっと…」


 放課後は白夜君に連絡先聞きに行こうと思ってたのに…。


「どうかしたの?」

「ううん。帰ろ」

「うん!」


 他愛もない話をして、今日も一日が終わっていった…。いつになれば白夜君の連絡先、聞けるのかな…。せっかく友達になってくれるって言ってくれたのにな…。



 

 今日こそ、今日こそは連絡先を聞きに行きたいの!


 いつもとは違う通学路。この前白夜君と帰った道を、今日は一人で歩く。あわよくば白夜君に会えるように。


 前の方に頭の中に思い描いていたシルエットを見つけた。白夜君…かな?追いかけたい。


 走って白夜君を追う。距離は100mほど。


「白夜君!おはy……」


 あ…またこれだ…。







 「大丈夫か?ジョナサン」

「頭痛い…ここは?」

「保健室。お前がいきなり走ってきたと思ったら、目の前でブッ倒れたんだよ」

「うう…ごめん…。白夜君、もしかして運んでくれたの?」

「あぁ」

「ごめんね…。重くなかった?」

「荷物のほうが重かったくらい。お前軽すぎないか?このままだと死ぬぞ?」

「多分大丈夫」

「じゃあなんで倒れたんだよ」

「疲れてたの…かな?」

「そうか。ちゃんと寝ろよ。あと、5時間目からは参加できそうか?」

「え?今何時?」

「もう昼休み」

「そっか…もう行かないと」

「立てるか?」

「うん。あ…」

「大丈夫か?寝といたほうが…」

「ううん。授業行くよ」

「そうか。ほどほどにな」


 また意識を失いかけてしまった。急に動いたからかな?


「あの…白夜君。連絡先、教えて…欲しい」

「分かった。…どうやって交換するんだ?これ」

「えっと…ここを押して、それから…、あ!…ごめん」


 手が当たっちゃった…。


「…気にしなくていい」


 白夜君、耳が赤くなってる…。何か可愛いな。


「これでいけた!ありがとう、白夜君」

「あぁ。こちらこそ」


 色々あったけど、連絡先を聞けて良かった。これからいっぱいお喋りしたいな。

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