スクール・セレナーデ

Jonathan

イントロ

 ずっと独りでいた君。でも本当に孤独だったのは私だったのかもしれない…。



「あ、ジョナちゃん!おはよ~!」

「うん。おはよ〜」

「ねえねえ、昨日の○○のライブ見た?すっごいカッコ良かったよね!」

「…うん。そうだね。ほんとカッコ良かった」

「でね、でね、その後の△△も〜……」


 はぁ…今日も明日香あすかのダル絡みがきた…。別に本人は悪意があって言ってるのでは無いと知ってるけど…。私は別に、そこまでアイドルに興味があるわけじゃない。明日香との友達付き合いの為に見始めただけ。…一人になりたいな…。でも一人は寂しいしな…。


 …あれ?あの窓際の男の子は誰だっけ?そういえばいっつも一人でいたよね。綺麗な目をしてる…。寂しくないのかな?喋ったことはないけど、どんな子なんだろう…。


「でさ〜、あの曲なんだけど〜。って聞いてる?」

「ごめんごめん。ぼ~っとしてた。疲れてるのかな?」

「も〜。ちゃんと聞いといてよ〜」

「うん。で、曲が何だっけ?」

「○○君の新曲が出た話だよ〜。もう聞いた?」

「そうだったんだ…私まだ聞いてないな」

「そうなの?あんなにいい曲なのに…。今から聞いてみる?」

「あ…でももうすぐチャイムなっちゃうよ?」

「あ、そ~だね!じゃあまた休み時間ね〜」

「うん。新曲は帰ったら聞くね」

「うん!」


『キーンコーンカーンコーン』


 あ、新曲…忘れ内容にメモしとかないと…。聞かないとまた面倒くさいし…。



 放課後。


「ねえジョナちゃん。一緒に帰ろ?」

「あ、ごめん…今日はちょっと病院に行かなくちゃ…。また明日ね」

「そっか〜。体調悪いの?大丈夫?」

「ううん。…花粉症…かな?そんな感じ。まあ元気だから。気にしないで」

「そっか。じゃあまた明日〜!」

「ばいばい」


 一人で歩く帰り道。ようやく静かになった。明日香が嫌いな訳じゃないんだけどな…。ずっといたら疲れちゃう…。


「あ…」


 目についたのは、朝も見たあの男の子。やっぱりずっと一人みたい。彼が話してるところ、聞いたことないかも…。一人に慣れてそう…羨ましい。…話してみたいな。話しかけて…みようかな?


「ねぇ…家こっち方向?…と、途中まで一緒に帰らない?」

「ごめん」

「あ!そ、そうだよね。忙しいよね…私の方こそごめんなさい。…またね」

「いや…違う。誰?」

「え?あ…私はジョナサンって言うの」

「変わった名前…」

「………」

「ごめん…傷ついたか?…そんな気はなかったんだ」

「ううん。気にしてないよ。君の名前は?」

白夜びゃくやだ。よろしくな」

「うん!よろしくね!」


 会話が途切れちゃった…。どうしよう…。話題…話題…。うう~ん…。


「ね、ねえ、白夜君。何か好きなこととかあるの?」

「ない」

「あ…そっか…。じゃあ好きな食べ物とかは?」

「ない」

「うん…。じゃあ何でいっつも一人でいるの?」

「別に…」

「…………」



「なあ。俺と話してて楽しいか?」

「た…楽し…」

「気を使わなくていい」

「……もうちょっと、お話してほしい。白夜君の事が知りたい。…お友達になりたいから」

「友達?俺なんかと?もっと面白い男子なんていっぱいいるだろ?」

「ううん。白夜君が…いい」

「そうか…」

「私じゃ…ダメ?」

「いや、嬉しい…ありがとう」

「良かった!…じゃあこれからよろしくね!」

「あぁ」



「…そういえば、家どこなんだ?この先はもう電車の路線一種類しかねえぞ?」

「え?…あぁ!急いで帰らないと!病院に行かないといけないのに…」

「間に合うか?」

「多分!じゃあまたね!」

「…気をつけろよ」


 




 …はぁ、はぁ。良かった、ぎりぎり間に合った。


 …でも私が“普通”なら、余裕だったんだろうな…。ほんとに嫌になる…。




 白夜君…か。変わった人だけど、面白い人だったな…。凄く優しそう。


「…あ」


 連絡先…聞き忘れてたな…。明日、学校で喋りかけても大丈夫かな?一人の時間、邪魔されたくないよね…。

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