第6話『秘技、三連稲妻返し!』
【ABAWORLD MINICITY 居住エリア B.L.U.Eのマイルーム】
「そんじゃバトルアバ、ミカの初勝利を祝って――カンパーイ!」
「か、乾杯!」
室内にグラスを合わせる気持ちの良い音が響く。衝撃でグラスから琥珀色の液体が少しこぼれた。一気に飲み干すモーションをするブルーと対称的にミカはそのままグラスをテーブルへ戻した。仮想現実なので本当に飲めるわけじゃないからだ。ご丁寧に空いたグラスをドンッとテーブルへ叩き付けているブルーへ今感じている疑問を尋ねた。
「……あの。祝勝会をするのはまだ分かるんですけど……どうして炬燵を囲みながらなんでしょうか?」
「小規模な祝い事は炬燵の上でするもんだろ。常識が無いのかねミカくんは」
「……少なくとも私の知る限りの常識では、無いです」
ABAWORLDの居住エリアには一般アバたちが使うことの出来る自分用の部屋【マイルーム】が用意されている。ここはその一室……ブルーのマイルームだった。
かなり昔のアパートの一室のようなデザインになっている部屋で、置いてある家具や置物がかなりその……古臭い。何故か常に夕日が差し込んでおり(ブルーさんがそういう日照設定にしているらしい)、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。その部屋の中央で畳の上に(急遽)設置された炬燵を囲みながらブルーとミカは何とも言えない時間を過ごしていた。
「折角オレがストレージの彼方へ仕舞っていた炬燵を出してやったってのに……全く。この炬燵結構レアなんだぞ? クレーンゲームの景品でしか入手出来ないインテリアアイテムだから、非売品だし」
「……確かに凄い品ではありますね。今六月ですから季節外れなのはともかく。まさか足入れたらちゃんと暖かく感じるなんて……これ本当にどうなってるんですか……?」
ミカは自分の足先を動かし、暖かさを感じる。仮想現実の筈なのにちゃんと足の部分だけ温かみがあり、不思議な感覚だった。
「ABAWORLDの売りの一つだからな。温度を感じる機能。まぁ正確に言えば皮膚感覚を忠実に再現しているらしいんだけど、流石にオレも専門的なことまではわからんわ」
皮膚感覚。ABAWORLDへ来てから風を感じたり、何かに触れたりとかのそういう皮膚を介した感触は確かに現実と殆ど相違ない気がした。
「逆に聞きますけど、ABAWORLDで再現出来ていない物って何があるんですか?」
「うーん……」
ブルーはミカの問いに記憶を辿っているのか中空を眺めて思案している顔をした。
「あー……まず味だな。それと嗅覚。この二つは再現出来てないとか何か広報で見たな。複雑過ぎて再現出来ないんだとさ。個人差も凄いし」
「なるほど……」
「あっ。あと痛覚。これは再現できないつーか再現してないが正しいか」
痛み。動物に備わっている防御機能の一つ。これがあるお陰で人間は危険を感じたり、身体の不調を察したりすることが出来る重要な機能だ。
「流石に仮想現実で痛みあったら誰もやりませんよね……考えるだけで恐ろしいですよ」
「痛覚あったらお前なんてウルフとの試合で、二十回くらいあの世行ってそうだしな」
ブルーのその言葉でミカはウルフとの試合のことを改めて思い出す。バトルアバ【ウルフ・ギャング】。辛うじて勝利を納めたけど、それは恐らく幸運とブルーの指示があっての物だったと思う。でも……今思い起こすとバトル中、異様な高揚感に自分が包まれるのを感じた。砲弾をウルフへ叩き込み、相手を打ちのめすのが間違いなく……楽しかった。
(俺にあんなところがあったなんて……)
自分の知らなかった部分に気が付き、少々薄ら暗い気持ちになる。少なくともあのような感情はあまり良い物ではない。こちらの表情が陰っている事に気が付いたブルーが声を掛けてきた。
「ん? どしたん? 顔暗いぞ」
「あっ! いえ! ほ、本当良く勝てたなー? って思い出してただけです!」
「ふーん……?」
対面のブルーが訝し気にこちらを見詰めてくる。しかし直ぐに切り替えたように楽し気な口調でまた話し出した。
「しっかしバトル終わった後のウルフは痛快だったよな! まさに吠え面かいてたぜ!」
「……今時、聞かないような捨て台詞でしたね」
あのバトルの後、ウルフは納得が行かないと言った様子でこちらに喰って掛かってきた。即座に再戦を申し込もうとしてきたけど、同じバトルアバとは一日一回しか戦えないという規約があり、それは適わなかった。そのまま取り巻きに抑えつけられてその場からログアウトさせられた。
『ぜってーテメーだけはぶっ(ピー)す!! 絶対にだ! それまで首洗って待ってろ! (ピー)ちくりん! (ピー)――』
最後の台詞は禁止ワードだらけで半分も聞き取れなかったと思う。よくもまあ、あそこまでスラスラとそれっぽい捨て台詞を吐けるものだ。あの時の事を思い出しこちらが苦笑していると思い出したようにブルーが口を開いた。
「そういや、さ。お前、良くバトル中に直ぐあの……デカブツの使い方分かったな。一応こっちに簡易マニュアルみたいの表示されてたから教えてやろうと思ったのに」
そう言えば……ブルーに言われて思い出した。あの時は無我夢中だったから深く考えなかったけど、どうして【
「ま、使えたなら良かったけどさ――それでお前に頼みたいことあんだけど良い?」
「頼み?」
「もう一回アレみーせて♥ アババトルオタのオレとしてはバトルアバの性能を生で見られる機会なんて大チャンスだからさぁ」
ブルーが満面の笑みを浮かべながら両手を合わせて頼み込んでくる。ミカは思わず引いてしまった。
「……べ、別に構いませんけど……でもどうするんですか? バトル中じゃないと呼べ無いんじゃ?」
「あぁそれは心配ねえよ。ほれ跳ぶぞ」
「え?」
ブルーがそう言うのと同時にミカとブルーの姿は部屋から消えた。
「――どわっちゃぁ!?」
転送され中空から現れたミカは何時ものように着地失敗していた。最早床に転がるミカを気にも止めず、ブルーは静かに着地すると説明を始める。
「ここはテストルーム。普通は自分でアバのデザインとか作るヤツが動きとか確かめるのに使うお部屋」
「テスト……?」
ミカは座ったまま身体を起こすと頭をさすりながら辺りを見回す。薄く緑色に発光する壁と床。自分とブルー以外には誰もいない。ただただ広い空間が広がっていた。
「バトルアバもここで動作とか確かめられるんだよ。パワーリソースも使い放題でさ。だからここなら幾らでもアレ呼び出せるってわけ」
ブルーが自分の前にウィンドウを呼び出し、何やら準備をし始めた。
「何やってんだよ。お前もさっさとエクステンドしてくれよ」
「……え? あっ、はい!」
ミカはボーっと周囲を眺めているとブルーに促されてしまい、正気に戻って慌てて叫んだ。
「エ、エクステンド!」
ミカの言葉と同時に身体が光に包まれていく。
『タクティカルグローブ、セット――タクティカルイヤー、セット――タクティカルシッポ、セット――』
前にも聞いたアナウンスが流れ、ミカの姿が変化していった。ピンと張った灰色の犬耳、分厚い茶色のグローブ、そしてこれまた灰色の尻尾……あっという間にエクステンドが終了し、戦闘形態に移行した。
「終わりまし――ぎゃんっ!?」
「おーこれホントふかふかしてんな。高そうなマフラーみてぇ」
エクステンドが終わったことを伝えようとしたミカは尻の部分に何か感じて思わず悲鳴を上げる。慌てて背後を確かめると何時に間にかブルーが人の尻尾を手で握って弄んでいた。
「止めてください! そこ身(?)が入ってるんですから!」
「わりい、わりい。ちょっと触ってみたかっただけだから……さて」
ブルーは尻尾から手を離すと悪びれた様子も無くウィンドウを操作し始める。それと同時にミカの方にもウィンドウが出現しパワーリソースが満タンまで貯蓄されたことが伝えられた。
「これで何時でも呼び出せるぞ。あのデカブツちゃんを呼んでみな」
ブルーに促されたミカは一度深呼吸をし、それから要塞を呼び出した。
「大召喚! 【
招集の声と共にブルーとミカの周囲がまるで影が差したように暗くなった。二人は同時に頭上を見上げた。そこには巨大な二対の履帯が見える。それはゆっくりと、でも確実に二人の上へ落下して来ていた。
「げぇっ!?」
ミカは咄嗟に飛び退いて落下してくる黒檜の巨大な履帯から逃れた。しかしブルーはそのままそこを動かずのんきに落下してくる黒檜を見ていた。
「ブルーさんっ! 危ない!!」
ズゥゥゥン……。
空中に現れた黒檜の落下の衝撃でテストルーム全体が激しく振動した。
「おーこうして近場で見るとホントでけー」
落下地点で黒檜の直撃を受けた筈のブルーはその威容を見上げながら涼しい顔をしている。あの位置ならブルーも巻き込まれていた筈なのに。
「あっ。不思議そうな顔してるから教えてやるけど、バトルアバの攻撃、普通のアバはダメージ受けないぞ。まぁ攻撃受けるような状況自体無いけど、普通」
「先に教えてくださいよ……」
ミカは立ち上がると先程まで自分がいた場所へ視線を向ける。そこにはまるで山と見間違えるような黒檜の巨体があった。
黒檜の赤い単眼は下方にいるミカの姿を捉える。まるで挨拶でもするかのように瞳の拡大と縮小を繰り返し、アイコンタクトしてきた。
「黒檜~……――わわっ!?」
ミカが手を振っていると突然身体が浮き上がる。そして気が付いた時には黒檜の甲板上に転送されていた。頭上を見ると直ぐ近くに黒檜の瞳があり、それがこちらを見てアイコンタクトを繰り返す。まるで喜んでいるようだった。
「あ、ありがとう……」
ミカは困惑しつつも黒檜へ礼を言った。再び、黒檜の瞳が拡大と縮小を繰り返す。
(ゴツイ見た目の割に反応が子犬みたいだ……)
「おーい。ミカー、どこ行ったー?」
ブルーが突然消えた自分を探しているようだ。ミカは黒檜の甲板から顔を出してブルーに呼び掛けた。
「ここですー! 上にいますー!」
「……あれ? お前いつの間にそんなとこへ……うぉ!?」
ブルーが黒檜の甲板上へ転送されてくる。流石の彼も驚いたのか辺りをキョロキョロと見回していた。そして自分を見ているミカと巨大な赤い瞳に気が付く。
「……こいつが黒檜か。結構つぶらな瞳してるわ」
「結構可愛いですよね」
「……そ、そうか……? まぁ良いや。取り合えず武装確認しようぜ。ええと……」
ブルーがウィンドウを出現させ、そこに書かれた文字列を羅列し始めた。
「36サンチ砲二門に、三連14サンチ砲三門、近接防御兵器十二基……」
「ちょ、ちょっと待ってください! 一度に言われても分かりませんよ!」
一気に羅列され流石に理解し切れない。ミカは読み上げているブルーを慌てて止めた。
「あぁ? しょうがねえじゃん。何か一杯あるんだもん武装」
「取り合えず、まだ使って無さそうなのからお願いします……」
ブルーは再び、ウィンドウへ視線を戻した。
「んじゃこれ、試してみるか。ミカ、【目視照準】って言ってみろ」
「えっと……目視照準! ……うわっ!」
それと同時にミカの右目に赤色レンズの片眼鏡のような物が出現する。片方の視界だけ急に赤く染まりビックリしてしまった。
「ほーん。この状態だと敵バトルアバを目で見てロックオンする事が出来るわけだ」
「ロ、ロックオン……?」
ブルーへその片眼鏡を付けたまま視線を向ける。右の視界にブルーの情報のような物が表示され、更に薄い緑の円のような物がその身体を囲い始めている。これまさか狙ってるのか……?
「自動で追尾するミサイルみたいのが撃てるみたいだぞ。あそこのアレじゃねえか?」
そう言ってブルーは黒檜の甲板の後ろにある斜めに設置された箱のような物を指差す。二つ置かれたそれは円筒形の筒が八個連なって束ねてあり、確かに何か入ってそうだった。
「……ホントこの黒檜って武器だらけですね……」
「何考えてこんなんバトルアバ用の召喚モンスにしたんだろな、制作者。……次はこれか。【近接補助起動】」
「わかりました。……近接補助起動!」
その言葉と同時に黒檜の全体が軽く振動する。そして……黒檜の両側面から現れた物を見て二人は絶句した。
「……これは流石にナンセンス入ってねーか?」
「こ、これ何に使うものなんでしょうか……?」
その聳えたつ二つのモノの異形さに驚き二人は暫くそれを見つめ途方に暮れていた……。
「とりま、武装の確認はこんなところだ。アババトルオタのオレとして総評を語らせてもらえば……このパワー・ノードの制作したヤツの顔見たら卵かけご飯二杯奢ってやりたいってとこかな」
「どんな評価なんですか……それ」
「あっ。忘れてた。朗報があるぞ――なんとミカ、お前が持てる武器が一個見つかった」
「え! 本当ですか!?」
それは素直に嬉しかった。流石にこのまま素手ゴロでいるのは不安だったからかなり嬉しい。ワクワクしているとブルーがウィンドウを操作し始めた。
「今出してやるからちょいまち……これこれ」
ミカの右手に光が集まり、それが形になる。それは……。
「……一応、銃なんですか、これ?」
拳銃に似たシルエットだが銃身部分が太くて何やら様子がおかしい。何というか筒に引き金が付いたようなフォルムだった。
「取り合えず撃ってみろよ。あっ。上に向けてな」
「……わかりました」
ミカは頷くと銃を空へ向けて構える。そして引き金を引いた。
ポンッという軽い音と共に赤い大きな光弾が空へ放たれる。それは周囲を赤く照らしながら暫く対空して、やがて打ち上げ花火のように淡く消えた。ミカは銃を降ろすと困ったようにブルーへ目配せする。
「これって所謂信号弾ってヤツじゃないですか……? 遭難した時とかに使う……アレですよね」
「武器名は八式信号拳銃って書いてあるな。まぁ広義で言えばそうなんじゃないか?」
「狭義で言っても信号弾ですよね? これ武器では無いですよね?」
「一応相手に直撃させれば、ちょっとダメージはあるみたいだぞ。だから武器だよ武器」
ミカは自分の手の中にある武器をじっと眺める。一応これでも素手よりはマシ……なのか?
「さて武装チェックも終わったし、もう一個の目的に移るか」
「目的?」
「お前の姉ちゃん探しの方だよ。このテストルームならお前の戦歴が確認出来るから――ほい」
ブルーが武器確認用のウィンドウを閉じ、何か操作を行う。するとミカの方にウィンドウが出た。
「対戦履歴?」
「今まで戦ったバトルアバの履歴が残ってるんだよ。お前の姉ちゃんの対戦履歴が残ってたら何か手掛かりになるかと思ってさ。何かありそうか?」
「えっと……」
ミカはその履歴へ目を泳がせ、暫く見詰める。しかし……。
「こ、これ……一体何なんでしょうか。ちょっと見て貰えますか?」
「あぁ? げっ……なんだよこのリスト……キモ……」
ミカはウィンドウを回してブルーへと見せた。そこリストを覗き込んだ彼は顔をしかめて、呻く。そこには大量の文字化けした文字列が並んでいた。
「対戦相手名が全部文字化けしてら……しかも十ページくらいあるぞこれ!? そんなにバトルアバって人数いねえだろ確か……」
二人してそのリストを見ながら顔を見合わせる。いくらページを送っても文字化け、文字化け、文字化け……まともな名前は無かった。
「……おっ。文字化けしてないヤツもいるじゃん。履歴の最後のとこ」
「……【ドスコイ武蔵丸】? 一番古い対戦相手ですね」
ブルーがリストから目を離して思案した。
「確か……【
「ヒール!? もしかしてウルフさんみたいな感じの人ですか……?」
「いやアレと違ってあくまで悪『役』ってだけでまともなヤツだぞ。企業のバトルアバのお披露目会とかで依頼されてやられ役とかやってんの。だから見た目はともかく真面目に仕事してるヤツの筈」
「良かった……まともな人なんですね。まぁ良く考えたらウルフさんみたいな人がおかしいだけか……」
すっかりバトルアバへの印象がアレになっているミカ。大体ウルフが悪いのだが……。
「連絡入れてみるか? 一般アバならともかくバトルアバのお前からの連絡なら受けてくれるかもしれないし」
「そうします! えっと……」
ミカは威勢よく返事をすると【ドスコイ武蔵丸】へメールを送り始めた。
(ここへ来てから初めてまともに姉さんへの手掛かりが見つかったかもしれない……!)
かなり上機嫌になりながら会いたい旨を伝え送信する。
「送れましたよ!」
「流石に直ぐは返事来ねえだろうし気長に待つしか――」
ピコンッ。
ブルーの声を遮るように受信音が鳴った。
「おいおい随分ラブコールへの返事早いな」
「確かに早いですね……」
ミカはウィンドウを出してメールの文面へ目を走らせた。
「なんて書いてあるんだ?」
「それが……」
ミカはブルーへウィンドウを向け、文面を見せた。
『【みっちゃん】で待つでゴワす。首洗って来いっス!』
【ABAWORLD MINICITY HANKAGAIエリア スナック『みっちゃん』】
「来ませんね……」
「呼び出しといて待たせるとは良い度胸してるな、あの相撲レスラー」
HANKAGAIエリアにある【みっちゃん】。いかにも場末という風情のスナックの前。そこでブルーとミカの二人は待ちぼうけを喰らっていた。
「ブルーさん……こんなところで寝転がってちゃ不味いですよ……」
すっかり待ちくたびれたブルーは道に寝そべって非常にお行儀悪くしている。ミカが注意すると身体を起こして胡坐をかきながら不満げに漏らした。
「オレは待たされるのは嫌いなの。自分が人待たすならともかく」
「それもどうなんですか……」
「大体さ――ん? 何か地響きしてねえか?」
「え? あっ。そう言えば……」
どこからかズンッズンッという鈍い音が聞こえてきている。まるで工事現場のような音だった。
往来を通っている他のアバたちもその音に気が付いたのかみな辺りを見回している。そしてその音は段々と近付いてきているようであり、音も鈍い音からドドドドッという何かが駆けてくる音へと変わっていた。
更に突如ミカからピコンっという音が鳴り響く。そしてウィンドウが目の前に現れ、アナウンスが通達された。
『アバ・バトルが申請されました。バトル終了までログアウトが出来ません。ご了承を――』
「え!? だ、誰から?!」
慌てて周囲を見回すミカ。直ぐにその誰かは判明した。他のアバより二回りほど大きい巨体のアバがこちらへ向かって猛然と走ってきている。凄まじい重量感に威圧され、付近のアバたちは思わず道を開けていた。
「見つけたでゴワすゥぅぅぅぅ!!!」
見上げるような背丈。恰幅の良い体格。上半身裸で頭には相撲取りらしい髷を結い、顔は覆面レスラーのように白と赤のマスクを被っている。どうみてもアレが【ドスコイ武蔵丸】なのは明らかだ。
「何かアイツ随分怒髪天突いてるみたいだけど、怒りてえのはこっちだよ。散々待たせおってからに――ん?」
『――MINICITY、HANKAGAIエリア、スナック【みっちゃん】前にてABABATTLEが開催致します。対戦カードは【太田工業】所属ドスコイ武蔵丸 VS【無所属】ミカ、となっております。試合開始は十分後を予定しており、試合のご観覧を希望するお客様はご予約のほどをよろしくお願い致します――』
「なんでアババトルが……は?」
周囲に流れ始めたアナウンスを聞いてブルーもミカがアババトルを申し込まれたことに気が付き、思わず突撃してくる武蔵丸の方を二度見する。
「……何でお前、バトル申請されてんの?」
「こっちが理由を聞きたいですよ!!」
「ここであったが百年目ぇぇぇぇ!! あの日の雪辱を晴らさせて貰うっス!!」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 武蔵丸さん! 何かすっごい勘違いしてますよ! そもそも私は初対面で――」
「問答無用っスぅぅぅ!」
必死に弁解するミカ。しかし全く意に介さない武蔵丸の怒声と共に二人の身体が消え始める。バトルフィールドへの転送が始まったのだ。
「こりゃまた面倒くせー事になりそうだ……――」
ブルーのダルそうな声と共に二人の姿は完全に消えた……。
「は、話し合いで平和的に解決するのはどうでしょうか……?」
≪無理だろ。オープンで呼び掛けても「問答無用っス!」しか返ってこねえし≫
前回と同じようにバトルフィールドへの降下を済ませ、ミカはフィールドへ歩き進み始めていた。
≪こういう相手が話を聞く気も無い時はぶっとばしてから改めて「お話」するのが一番≫
「……どうしてこんな事に……」
ミカは項垂れながら足元の砂を踏みしめ歩いていく。周囲は砂砂砂。砂しかない。ここは完全に砂漠と言った様子だった。照りつける太陽のせいでかなりの熱気でジッとしていると汗が滲み出そう……な気がする。本当に出ているのかはわからないけど。
≪取り合えずアイツのタイプに合わせて見晴らしの良い【TOTTORI砂丘】をフィールドに選んだから、大分有利に戦える筈≫
「前みたいに岩とか多い、そういう障害物にしやすい所じゃなくて良いんですか? その……逃げ戦法なら」
≪アイツは近接格闘特化タイプだからな。距離詰める技、持ってるから障害物あると逃げ切れずに詰む可能性がある。対応のしやすさを考えて緩急はあるけど見晴らしも充分にあるここが一番よろし≫
【EXTEND READY?】
試合開始を促すウィンドウがミカの前に現れる。どうやらもうやるしかないようだ。
「ええい! もうどうにでもなってください! エクステンド!」
ミカは半ばヤケクソ気味にエクステンドと叫ぶ。それと同時に身体が光に包まれた。
【BATTLE ABA MIKA EXTEND】
『タクティカルグローブ、セット――タクティカルイヤー、セット――タクティカルシッポ、セット――』
「――……え? ドわぁぁあああ!? 何だアレ!?」
エクステンドを終えて前を見る。砂漠の向こう側、恐らくドスコイ武蔵丸のスタート地点の位置。そこに巨大な……武蔵丸の顔が見えた。真っすぐにこちらを見据え威圧している。凄く怖い。
「巨、巨人がががが!?」
≪あー……あいつエクステンドするとデカくなるんだよな。大体二倍くらいの大きさになってるぞ≫
「ひぃぃぃぃ!! デカすぎる!!」
ブルーから呑気な通信が届く。それどころではないミカは戦々恐々としながらその巨大な図体に視線を奪われていた。
『EXTEND OK BATTLE――START!』
無情にもバトル開始を告げるアナウンスがバトルフィールドへ鳴り響く。ダンプカーを思わせる地響きがこちらへ向かって驀進してきた。
「ドスドスドスドスドスドスコォイ!!!!」
その巨体に似つかわしくない凄まじい速度で、砂地を物ともせず武蔵丸は真っすぐミカへ向かって来ている。というより明らかに平地より早そうな速度だった。ブルーが慌ててミカへ危機を伝える。
≪ヤバイ! あいつ|動けるデブ(ムービング・ファッティ)だ! 早く逃げ――何やってんだお前!?≫
「ブ、ブーツが砂地に埋まってしまって……!」
ミカは砂地にブーツが埋まってしまい、足を取られていた。必死に埋まった足を砂から引き抜こうとしている。無駄にゴツイブーツが災いしてかなり深く埋まってしまっていた。
≪お前はどうしてそう足回りがポンコツなんだよ!≫
「ぬ、抜けました! やった!」
やっとブーツを砂から引き抜き嬉しそうな声を上げるミカ。しかしブルーは諦観したように言った。
≪……もう遅いわ≫
「え?」
ミカの眼前に山のような肉の塊があった。それは脂肪と筋肉の合わせ技。充分に加速し、充分に重量のある肉体はABAWORLDの物理演算に置いても類まれな破壊力を産み出すことが出来る。
「ドス――こぉぉぉぉい!!!!」
ドスコイ武蔵丸が身体全体でミカにぶつかる。その瞬間パァンと乾いた大きな音がバトルフィールド内に鳴った。
格闘技に置いてウェイトというのは重要な要素である。身長と体重から算出されるそれは技術や知識を以てしても中々覆すのが難しい要素であり、格闘技が階級分けされる原因でもあった。
そしてアバにも体重が設定されている。これは仮想現実をより、リアルに楽しめるように設定されている物である。バトルアバ・ミカの体重は約35キログラム。小柄な少女という体のアバのためアバを使用している男性、
一方、先程ミカへぶつかり稽古を行ったドスコイ武蔵丸はアバ使用者の体重が50貫(約180キログラム)。そして……アバ自体の設定体重は100貫(400キログラム以上)を超えていた。
※エクステンド後体重。
当然そんなウェイト差で衝突されればどうなるかは火を見るより明らかだった。
ミカの身体は放り投げられたゴムボールのようにポーンッと軽く空へ吹っ飛び、クルクルと空中を舞った。
そして放物線を描きながら五メートルほど先の砂漠へ顔面から落下する。顔が砂地に埋まり、逆さまの状態で直立し、暫く微動だにしなかった。
少し経ってから力尽きたように逆さまの身体がペタっと砂地へ倒れこむ。頭は砂地に刺さった状態のまま……。
≪あー……ミカ? 生きてる?≫
ブルーが悲惨な状況になっているミカに通信越しに語り掛ける。暫く返事は来なかったが、辛うじて声が聞こえてきた。
「……死んで……ましゅ……」
≪よし。大丈夫そうだな。あー……ちくしょーさっきのタックルで五割ヘルス持ってかれたわ。キツイぞこりゃ≫
「押忍! 押忍! 押忍!」
砂に埋まったミカの耳に武蔵丸の気合の声が届く。それは明らかに近づいて来ていた。
≪早く起きないと今度こそプレスされてハンバーグにされちまうぜ≫
「わかって……ましゅ……どりゃぁああああ!!」
ミカは気合一発、一気に自分の頭を引き抜くと全身をブルブルと揺らして服や体に付いた砂を振り払った。
≪……三時の方向! この距離は下手に避けるとあぶねえ。アレ使え!≫
「はい! 来い!」
ミカはブルーの指示を受けて、武器を呼び出す。手に光が集まり、それが【八式信号拳銃】を形作った。
もう一度突撃を仕掛けようとしている武蔵丸へ素早く向き直り、ミカは殆ど狙いを付けずに発砲した。
「ド……? うぉ!? 眩しいっス!? アチアチっス!?」
発射された光弾は武蔵丸の顔に直撃し赤い閃光が辺りを照らす。その光と熱によって流石に狼狽えたのか武蔵丸の動きが止まった。ブルーが今だと言わんばかりに指示を続ける。
≪ミカ、蹴りだ! 膝に蹴りぶち込んでやれ!≫
「け、蹴り!? なんで!?」
≪相撲取りと言えば膝に爆弾抱えてる筈! やれ!≫
「あー! もう! やれば良いんでしょう! やれば!」
ミカは未だに動きの止まっている武蔵丸へ駆け寄りその後ろへ回る。そしてその丸太のようながっつりとした足の膝裏に雄叫びを上げながらローキックを叩き込んだ。
「でりゃぁあああ!! チェストォォォォッ!!」
「むぅぅん!?」
パァァッン!
厳ついブーツなのも相まってそこそこ痛そうな音が武蔵丸の膝裏からした。武蔵丸自身もダメージを受けたのか唸る。そしてミカの視界にパワーリソースが溜まったことを告げる小さいウィンドウが見えた。
≪よっしゃ! 呼べミカ!≫
「言われなくても!」
ブルーの声に応じ、ミカは背後へスカートを翻しながら飛び退くと、悶える武蔵丸を尻目に右手を掲げ、高らかに
「パワーリソース全投入! 大! 召喚!
足元へ機械仕掛けの魔法陣が展開され、そこから一気に高温の水蒸気が吹き出す。地鳴りのような音がフィールド全体へ響き渡り、揺れ出した。
「ぬううぅん! 目くらましてゴワすか!? そんなもの……コケ脅しでゴワす!!」
突如噴き出した水蒸気と振動に一瞬動揺した武蔵丸だったが、直ぐに四股を踏んで体勢を立て直す。だがそんな武蔵丸の前に彼をも超える巨体が水蒸気の中から現れた。
「こいつは……!! 横綱でゴワす!?」
武蔵丸さえ超える巨山。主に敵対するモノ全てを打倒し、主を打倒しようとするモノ全てから、主を守護する鋼鉄と暴力の権化。黒鉄の大要塞、【
「黒檜! 目標【ドスコイ武蔵丸】! 五番六番、砲門開け! 斉射ぁ!!」
既に甲板上へ転送されたミカの指示と共に黒檜の前部三連14サンチ砲二門が砲撃を開始する。真っ赤な砲火が砲口から連続して漏れ出し、爆音と共に次々、砲弾が吐き出された。
「ぬぅぅぅぅぅぅん!!!!」
武蔵丸は接近する砲弾へ向け両手を構えると防御の体勢を取る。連続して砲弾が着弾し武蔵丸を爆炎が包んだ。至近距離から砲弾を浴びる武蔵丸を見つつミカは思考する。
(この距離からじゃ主砲が使えない……! 距離を取らないと……!)
「……黒檜! このまま後退!!」
ミカの声に反応して黒檜の巨大履帯が轟音を鳴らしながら駆動し始める。そして周囲の砂を盛大にまき散らしながら黒檜の巨体が後退して行った。武蔵丸との距離が見る間に離れていき充分な射程が確保される。だが武蔵丸もそのミカの隙を見逃すほど甘いバトルアバでは無かった。
「……押忍! パワーリソース投入っス!」
武蔵丸は腕を降ろして防御を解くと今まで以上に力強い四股を踏んだ。するとその肉体が光り輝き始める。
≪やべぇぞ、ミカ。あちらさんも本気だぜ。見ろよアレ≫
「え……? げぇえええええ!? な、何ですかアレぇ!?」
ブルーの声で武蔵丸の方を見るミカ。そこには黒檜の巨体に迫るような大きさまで巨大化したドスコイ武蔵丸の姿があった。最早完全に筋肉と脂肪の壁と化したその姿はレスラーというより怪獣にしか見えない。
「おぉぉぉぉすぅぅぅぅぅぅ―!!!」
巨大化した事によって間延びする武蔵丸の声。それが甲板上のミカまで届いた。
バトルフィールドを埋め尽くさんばかりに二対の巨体が並ぶ。最早完全にアババトルの範疇を超えていた。
≪……怪獣大戦争かよ≫
「くっ! でもこっちはもう主砲の有効射程です! それに的がデカイなら外す心配もありません!!」
≪あっ! 待てミカ――≫
「一番二番、砲門開け! 仰角二十度、目標変わらず――っ撃てぇ!!」
ブルーの静止する声も間に合わず、ミカが右手を振り降ろし、黒檜に砲撃を命じた。二門の36サンチ単装砲塔が駆動し、微調整を行う。間髪入れずに砲弾が放たれた。
≪ヤバイ! 伏せろっ!≫
「え!?」
二発の砲弾は緩い放物線を描き、狙い違わず武蔵丸へと向かっていった。しかし……。
「秘技、三連稲妻返し!」
それをまるで待っていたかのように武蔵丸が雄叫びと共に連続して張り手を繰り出す。それは砲弾を受け止めるように打ち込まれた。
一連目で一発目の砲弾の衝撃を完全に殺し、二連目で二発目の砲弾を受け止め、そして……三連目でそれを返す。
武蔵丸へ向かっていた筈の砲弾はそっくりそのまま黒檜へと返送されてきた。
帰ってきた砲弾は黒檜の前部装甲に直撃し、装甲板を食い破るような音を響かせながら、周辺にあった兵器群を巻き込み、大爆発が起きる。爆風と爆音が衝撃波が甲板のミカを襲った。
「うわぁぁぁあああああ!!!」
ミカは悲鳴を上げながら必死に吹き飛ばされないようにうつ伏せになって何とか耐える。爆風が収まる頃には自分の周囲から次々に黒煙が噴き出して辺りを黒く染めていた。
「うっ……うぅ……一体何が……?」
≪あの形態の武蔵丸は遠距離技へのカウンター使えるのさ。黒檜がかなりダメージ受けちまった≫
「くっ……損傷表示!」
ミカの声で周囲に黒檜の状況を知らせるウィンドウが幾つか表示される。
「一番二番、砲塔破損……三四五六もダメ……近接防御兵器も四つしか……」
前部にある武装の殆どは半壊或いは全壊しており、使うことが出来ない。黒檜の赤い瞳にもヒビが入り痛々しい。
「ごめん……黒檜」
「さぁ! 観念するっス!! どぉぉぉすこぉぉぉぉ!」
黒檜の負った損傷を見て、好機と見た武蔵丸は止めを刺そうと全速力で走り出す。今度あの巨体の突進を受ければ如何に黒檜と言えど持たないのは間違いなかった。
≪ミカ。アレ使うときだろ≫
「え……腕ですか!? ――わ、わかりました!」
ブルーの言葉でミカはあの武装を思い出す。向かってくる武蔵丸へ向けて甲板上から両手を突き出した。
「……【近接補助起動】!」
その言葉と同時にミカの両腕へ黄色に光る半透明の大きな腕のような物が重なるように表示された。
「【
黒檜の両側面に備え付けられた装甲の前部から後部へと二本の線が走り、ゆっくりと一部分が装甲から分離していく。長方形のそれは幾本ものシリンダーとパイプで構成され、蒸気を各所から噴き出している。先端には大きな黒光りする金属のクローが三個付き、まるで手のようになっていた。それは巨大な【腕】。そうとしか表現しようの無い物だった。
その【腕】はミカの両腕の動きと連動し、ゆっくり黒檜の前へ突き出される。
「どりゃぁああああ!!」
「どぉぉぉぉぉす!!! こぉぉぉい!!」
突進してきた武蔵丸の両手をその二本の主腕のクローで受け止めた。両者のぶつかり合いの衝撃で辺り一面の砂が吹き飛び、砂嵐が起きる。黒檜が突進に押され全体が軋みを上げる。しかし履帯が全力で前へと駆動しその勢いを殺した。
「ぐっ……ぐぎぎぎぎっ……」
「ぐぬぅぅぅぅぅん!!!」
ミカと武蔵丸の唸り声がフィールドに響く。遠隔で黒檜の腕を動かしているとは言えミカの方にも相当な衝撃が来ていた。そして長く持たないことは明らかだった。
「……っ! 目視照準!」
必死に踏ん張り続けるミカの右目に赤色レンズの片眼鏡が現れる。そのままミカは眼前に迫る武蔵丸の顔を視線で真っすぐ捉えた。
「近接防御兵器起動!
ミカの言葉と同時に黒檜の甲板上で生き残っていた四つの近接防御兵器が駆動する。特徴的な白い円筒にガトリングガンの備え付けられたそれはミカの目視照準に従い、武蔵丸の顔面へ狙いを付け、即座に射撃を開始した。
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!
分間1500発の暴力的な発射レートを誇るそれはまさに弾丸の暴風雨。タングステン製の20ミリメートル弾を武蔵丸の顔面へ間髪入れずに浴びせ続けた。
「ゴワッ!?」
流石の武蔵丸も顔面へ受けた弾丸の嵐によって一瞬怯む。チャンスとばかりにブルーの声がミカへ聞こえた。
≪脇が空いたぞっ! そのまま掬い上げちまえ!≫
「はい! ――どぉぉぉせぇえええええい!!」
ミカが気合の声と共に両腕を下から上へ一気に持ち上げる動作をする。それと連動して黒檜の主腕が武蔵丸の脇に差し込まれ、一気にその身体を打ち上げた。
「ゴワすぅぅぅぅぅぅー!?」
武蔵丸の身体が天高く浮き上がり、浮遊する。ミカはその機を逃さず再び視線を空中のその巨体へ向けるとロックオンを開始した。
ピッピッピッピッピッピッピッ……――ピー!。
赤い視界の中で多重ロックオンの音と共に緑色の円が武蔵丸の身体に重なっていく。そして最後の円が重なり、ロックオン完了の音が鳴った。
「――誘導墳進弾、十六連! 発射ぁぁぁぁ!!!」
ミカの声に応じて黒檜の後部に備え付けられた小型誘導墳進弾発射機二基。そこから次々に墳進弾が連続発射されていく。総数十六発の墳進弾は自身の推進剤によって爆発的な加速を産みだしながら、空中の武蔵丸へと蛇行しつつ高速で飛翔していった。
「まだっス! 押忍っ! 三連稲妻返しぃぃぃぃ!!」
空中で張り手を行い、武蔵丸が迎撃を行おうとする。一連目で一発、二連目で二発、三連目で三発……しかしそれは迎撃するにはあまりに数が多すぎた。
四発目が迎撃し切れず武蔵丸の身体に着弾するのと同時に、迎撃成功していた他の三発にも誘爆する。盛大な爆発が起きてまるで花火のように空に大火が咲いた。
「ごわぁあああああああ!?」
空中で次々に墳進弾が直撃し、武蔵丸の身体が衝撃と爆風でどんどん空高く上がっていく。やがて最後の墳進弾が命中するのと同時にドスコイ武蔵丸の姿はバトルフィールドの上空の遥か彼方へと消えていった……。
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