(実質)異世界みたいなメタバースで行方不明の姉を探しちゃダメですか!?

雲母星人

第1話『ようこそ。ABA・WORLDへ!』

【某県 某市】


「すんませんけどもう一度そちらさんの名前とご年齢を伺っても?」


「……板寺いたでら三河そうご、19歳です」


「どうも。ええと……はい。はい、確認させてもらいました。確かにご家族ですね、はい――板寺寧々香いたでらねねかさんでええですか?」


「はい……」


「あぁーご姉弟だったんですか。それじゃご心配ですよねぇ」


「えぇ。もう二か月ほど連絡が無くて……」


「こっちも気が付かんで申し訳ないです、はい。警察とかに届出は出したんですか?」


「……一応出しては、います。ただまだ受理されていなくて……」


「そりゃ大変ですな――お。着きましたよ。ここが板寺さんの――あぁそちらさんも板寺さんか」


で大丈夫ですよ」


「あぁそうですか。ソウゴさん。こちらが寧々香さんのご自宅ですね?」


「……はい」


「鍵はお持ちですか?」


「はい。前に姉から預かった合鍵があります」


「それじゃ大丈夫そうですわな。私は会社の方へ戻りますんで何かあったらご連絡をお願いします」


「……はい。お手数をおかけして申し訳ありません……」


「いえいえ。こちらこそ。確認のためとは言え御同行して頂いて申し訳ありませんでしたわ。それじゃ失礼しますんで」


 そう言って頭を下げて去っていく管理会社の男を見送り、板寺三河いたでらそうごは改めて姉さんの自宅へ目を向けた。

 元は祖父母が住んでいた家。二人が亡くなってからはそこを一人暮らしを始めた姉さんが使っていた。

 見慣れた家。だけど今はそこの家主はいない。

「姉さん……」

 ソウゴは合い鍵を使い、家の中へと入っていった……。

「姉さんー!」

 玄関に入るなりソウゴは家の中へ向けて大声で声を掛けた。しかし返事は無くただ静寂しか返って来ない。

「やっぱり……居ないか」

 靴を脱ぎ、家に上がる。昔来た時と変わらない作り。おじいちゃんが飾っていた釣り竿も、おばあちゃんが好きだったタペストリーも、しっかりと綺麗に残っている。家の中は少々埃っぽくなってる以外は特に荒れた様子も無い。姉さんがちゃんと手入れをしていたのが伺えた。

 不意にポケットへ入れていた電子結晶が振動する。碧色の結晶を取り出し指を当てて起動した。誰かからの電話みたいだ。

「――……はい。板寺です――あぁ母さんか」

「うん……やっぱり姉さん戻って来て無いみたい……」


 寧々香姉さんからの連絡が途絶えたのは二か月ほど前の事だった。


「管理会社の人にも確認したけど、そこの人も分からないって――」


 姉さんはしっかりとした人だったから、連絡が無いのはおかしいと思い、直ぐに母さんが姉さんへ会いに行った。でも家に姉さんの姿は無かった。


「警察から連絡は来た? ――まだか……」


 代わりに家には置手紙が一通だけ残されており、そこには『暫く留守にする。寧々香』とだけ書かれていた。


「姉さん、職場にも長期の休職出してたみたいだね。うん、電話したらそう教えてもらったよ」


 最初は旅行にでも行ったのだと思った。でも姉さんから連絡は何時まで経っても無い。


「俺はここに泊まってもう少し探してみるよ……うん、大丈夫。お金はバイトして貯めたのがあるから……」


 だからここに来た。姉さんの手掛かりを探すために。せめて今はどこにいるかくらいは見つけるために。

 


「そろそろ切るよ母さん。何かあったら連絡するから……それじゃまたね」


 母さんの心配そうな声に後ろ髪惹かれつつもソウゴは通話を切る。そして改めて室内へ向き直った。

「取り合えず色々探してみないと……」

 もしかしたら他にも置手紙とか手掛かりがあるかもしれない。そう思って色々と見て回ってみる事にした。


「中は……うわっ。なめ茸で一杯だ……」

 台所の冷蔵庫を開けると大量のなめ茸の瓶詰と幾つかの食品があった。

「いくら好きだからって買いすぎだろ……」

 幾つか食品を手に取って賞味期限を確かめる。流石に賞味期限が過ぎているモノがあり、それは取り出して台所のテーブルへ置いた。

「はぁ……姉さんがなめ茸喰い忘れるなんてやっぱり一大事だよなぁ……」

 ――結局、その後他の部屋を回るも姉さんの手掛かりは無かった。そして遂に最後に残った部屋の扉の前に立つ。

「勝手に入るのは気が引けるけど……」

 ここは確か姉さんの自室だ。前にここへ来た時には入らなかった部屋。いくら家族とは言え……いや家族だからこそ尊重すべきプライバシーがある。でも今は――。

「後で謝ろう……ゴメンね姉さん」

 呟くように謝りながら部屋の扉を開けた――。

「……わぉ」

 部屋の中の光景を見て思わず感嘆の声が漏れた。

「な……何これ……? パ、パソコンか……?」

 部屋の中はどこかの研究所と見間違えるような様相だった。巨大なモニター。大きなPC機器。壁際の棚には分厚い学術書のようなモノが所狭しと並べられている。そして中でも目を引いたのが――。

「これって確かSVR(シンクロヴァーチャルリアリティ)用の機械だよな……?」

 リクライニングチェアーに置かれたヘッドギアのような機械を恐る恐る手に取る。何本かのコードが垂れ下がったそれは、確かにVR用のヘッドセットだった。

 しかも俺の記憶が正しければこれは普通のVR機器ではなく、シンクロヴァーチャルリアリティ用の機器だった。前にニュースで紹介していてかなり未来チックな機器だったから印象に残っている。ゴツイ見た目にしては思ったより軽いそのヘッドセットをしげしげと眺めた。

 SynchronizeVirtualReality。普通のVRと違って網膜で映像を見るのではなく『脳』で見るVR。人間の脳波と同調することによって実際に体感したかのように映像を見ることが出来る機械――だったと思う。ただどんなものか使ったことが無かった。普通のVR機器は映画鑑賞とかで使っている。でもこれは初めて本物を触った。

「姉さんこれで何してたんだろう……?」

 取り合えずヘッドセットを一旦戻す。凄い高そうな物だし壊すと不味い。今はそれよりもパソコンの方が気になった。もしかしたらパソコン内に何かデータが残っているかもしれない。これまた高そうなパソコンに近付くと起動ボタンを押してみた。ヴゥゥンという音と共にパソコンが立ち上がっていく。それと同時にモニターにも電源が付いた。

 起動を待っているとパソコンから電子音声のような物が流れた。

『電子結晶認証を行います。電子結晶をポートへ挿入してください』

「え? 結晶認証式なのかこのパソコン……?」

 よく見れば確かにパソコンの横に電子結晶を差し込むための機器が置いてある。電子結晶式の認証なんて銀行とか役所くらいでしか見ないかなり厳重な認証方式だった。

「困ったな……これじゃ開けないか」

 パスワード式なら総当たりでもしかしたら何とかなったかもしれないけど、結晶認証はどうにも出来ない。登録された電子結晶の使用者以外は使うことはほぼ不可能だった。

「ううむ……一応試すか……」

 自分の電子結晶を取り出し認証機器へ差し込む。読み取りをしているのか機器から微かに機械音が聞こえた。モニターの画面も認証中に変わっている。しかし――。

「…………やっぱりダメかぁ」

 暫く待ってもモニターの画面は認証中から動かない。当たり前だけど他人の電子結晶ではダメらしい。これではパソコンの中を覗くのは無理みた――。

『認証完了しました』

「へ?」

 唐突に電子音声が再び流れる。そしてモニターの画面が変わり、素っ気ない黒い画面が現れた。

「俺の結晶も登録してたのか……姉さん。いつの間に……」

 でもこれでパソコンの中身を見ることが出来る。ソウゴはパソコンを操作し始めた――。


「…………何もない」

 結局三十分くらい探しただろうか。このパソコン内にはロクなデータが無いという事実に薄ら気が付き始める。あんまりパソコンとかに詳しいわけではないけど、それを差し引いてもこのパソコンには何も無かった。

 画像も文書もインターネットの検索履歴も、何も無い。空っぽ。ソウゴもあまりネット関係に詳しくないとは言え流石にここまで何も無いのは予想外だった。

「うーん。まさかここまで何も無いとはなぁ……どうなってんだよ」

 モニターから離れて思わず頭を抱えてしまう。姉さんの使っていたSNSくらいはあると思ったけどまさか何も無いというのは……。一応ネットには繋がっているけど、本当にそれだけ。ファイルとかそう言った類の物は全く見当たらない。

「はぁー……」

 溜息を吐いてモニターの前で床に座り込んでしまう。完全に当てが外れてしまったせいか徒労感があった。天井を仰ぎ見ながら呆けてしまう。

「やっぱり近所の人へ地道に聞き込みとかするしか無いのかなぁ」

 そんなことをぼやきつつボーっとしながらモニターを眺める。ふと下の方のタブにひっそりと一つだけアイコンがあるのを見つけた。どうやら地味な色でタブ欄と同化していて気が付かなかったらしい。座ったままマウスを操作してそのアイコンへカーソルを運んだ。

「アバ……ワールド?」

 表示された名前には【ABA・WORLD】と書かれている。どこかで聞いたことのある名前だった。

「確かゲームか何かだったよな……?」

 多分その名前はコマーシャルか何かで目にしていたと思う。デル何とかだったかそんな会社が作っているヤツ。姉さんはあまりゲームを自分からやったり買ったりするような人では無かったから意外な感じだった。どんなゲームなんだろうか。

「もしかしたら何かゲーム内に残してるかも……? プレイ出来るのかな」

 何気なしにアイコンをクリックする。すると突然背後のヘッドセットからブゥゥンと音が鳴り出した。

「はぅ!? な、何?」

 いきなり大き目の音が鳴り出したのでビックリして振り向いてしまう。今まで沈黙を保っていたヘッドセットが突如起動し始めていた。ヘッドセットは鈍い駆動音と共に軽く青色に電飾が発光している。それと同時にPCの方からまた電子音声が流れ始めた。

『――ABA・WORLDを起動しています。ヘッドセットを着用し、椅子などに座ってリラックスした姿勢を――』

「このSVR機器はこのゲーム用だったのか……」

 ソウゴは立ち上がってヘッドセットを手に取る。一応姉さんの持ち物ということで一瞬躊躇った。でも今のところは手掛かりがこれくらいしかない……後で謝ろう。そう思い直してヘッドセットを持ったまま椅子へ深く座り込む。

「これ頭に被れば良いのかな……? よっと……――」

 ヘッドセットをゆっくりと被っていく。視界がゴーグルで段々狭まっていき、やがて完全に暗闇となった。あまり頭が圧迫される感じも無く、着け心地は悪くない。装着し終えるとヘッドセット越しにパソコンから電子音声が聞こえてきた。

『着用を確認しました。脳波の同調を行うため目を閉じてリラックスしてお待ちください』

「リラックス、ねぇ……」

 取り合えず目を閉じて身体を弛緩させる。すると不思議なことに段々眠気のようなモノを感じてきた。まだ寝るには早い時間にも関わらずに。そして見えない筈の視界に白い光が広がっていった。


『ようこそABA・WORLDへ』

 再び声が聞こえてくる。しかしそれは電子音声ではなく耳元で語り掛けてくるような生の音声だった。

『目をゆっくりとお開け下さい』

 声からの指示に従って目を開けた。

「――……うわぁっ!?」

 目の前に真っ黒の空間が広がっていた。先程までいた姉さんの部屋ではない。それにまるで身体が浮遊しているような感覚にも襲われる。さっきまで椅子に座っていた筈なのに今はまるで無重力空間に居るみたいだった。

「ど、どうなってんのこれ!?」

『――の破損を確認。整合性のチェックを行っています。暫くお待ちください――』

「なんでも良いから何とかしてくれー!」

『データチェック終了。一部データは破損修復のため初期化されました。ご了承下さい。パーソナルデータが初期化されたためチュートリアルを開始します……』

「え……? あうっ!?」

 突然身体が地面に叩き付けられるような感覚があり、それと同時に周囲が急に明るくなった。

「いてて……って痛くは、無い……?」

 結構な勢いで下へ叩き付けられた感覚だったが別に痛みは感じなかった。気が付けば真っ暗な空間から解放され、先程までの無重力のようなふわふわ感も無い。

 ソウゴは自分のでその場から身体を起こして立ち上がった。

「うぉ……ゲーム内なのに手足の感覚がある……凄いなこれ」

 自分の姿は見えないが確かに身体があるのが分かる。触覚とかも感じるようだ。これが脳波同調式VR……。まるで本当に別の世界へ肉体が移動してきたみたいだ。

『ようこそ! ABA・WORLDへ!』

 どこからか拳くらいの大きさの黄色の光球が飛んできて、こちらへ向かって話し掛けてきた。

「ど、どちら様?」

『プレイヤー様のABAWORLD生活のスタートをご支援する案内役で御座います!』

「な、なるほど……」

『まずプレイヤー様の名前を伺わせていただきます! よろしいですか!』

「名前って……」

『本名及び公序良俗に反する名前はご遠慮ください。ネットリテラシーに考慮しその名前が他者に見られる事を考慮しましょう』

「あっ、はい……」

 先程までのテンション高めの台詞と違って、マニュアルでも読み上げるような抑揚の無い台詞に思わず萎縮してしまう。名前と言ってもどうすれば良いのか。暫く考え取り合えず適当に自分の名前を文字って答えた。

「あー……じゃあ【ミカ】で」

『ミカ様ですね! 照合中……battle・avaに同名者無し……。使用可能――はい! ミカ様でご登録致しました! よろしく! ミカ様!』

「よ、よろしく……」

 聞き慣れない新しい自分の名前に違和感を感じつつも案内役とやらに挨拶を返す。案内役の光球は今度はこちらの身体の周りをクルクルと回り始めた。

『それでは今度はご自身の身体を見てみて下さい!』

「身体……? あれ……なんだこれ?」

 自分の身体に視線を送るとそこには薄くピンク色をした棒人間のような状態になっていた。先程までの透明人間状態とは違い、一応手足はあるから人間のような姿だった。

『今のミカ様はまだABAWORLDで生活するための肉体である【アバ】を纏っておりません!』

「ア、アバ?」

『【アバ】とは……! 仮想現実で生きるための仮の姿……! しかしここの世界では決して仮では御座いません!』

「うぉっ!」

 光球がこちらから離れると急に目の前へ立体映像のような物が表示され始めた。そこには大勢の様々な姿をしたキャラクターが映し出されている。様々な異なる姿をしたアバたちがスポーツのしている様子や数人で集まってショーのようなモノを観戦している姿。或いはそのアバ同士で何やら戦っている映像。次々と見せられるその煌びやかな映像に流石のソウゴも目を奪われた。

『ABAWORLDこそ第二の人生! そして纏うアバもあなた様の第二のお姿! 新しい肉体で御座います!』

 映像がゆっくりとフェードアウトしていき光球も落ち着いたようにソウゴの前へ戻ってくる。そして何かウィンドウのような物を出現させるとそれを掲げながら見せてきた。

『それではこれからその【アバ】を纏って頂きます! こちらには様々なテンプレートが御用意されて居る上、更に! 更に! ご自身で詳細なキャラクリエイトを行うことも出来ます!』

「おー……! 凄いなこれ」

 光球が持ってきたのはカタログだった。そこには色々なキャラクターデザインが掲載されていて人型やら獣人みたいなヤツとか、凄い量が載っている。一見しただけでも目移りするような状態だった。

『プレイヤー様の中にはご自身で用意した3Dモデルを使用する方もいらっしゃいますよ!』

「なるほどなぁ」

『公序良俗に反するデザインはご遠慮ください。ネットリテラシーに考慮しそのデザインが他者に見られる事を考慮しましょう。また他者の著作物を勝手に使用することは違法となっております。ご遠慮ください』

「あっ、はい……」

 また抑揚の無い注意喚起ボイスになる光球に萎縮しつつもソウゴはカタログを閲覧しようと手を伸ばす。しかしその瞬間カタログが消えてしまった。

「あれ?」

『申し訳ありませんがこちらはのカタログとなっております。ミカ様は既に当社【デルフォニウム】との契約に基づいた登録済みのアバが御座いますのでそちらを使用して頂きます』

「え? 何それ?」

『――チュートリアルスキップ開始。工程繰り上げ――』

 こちらの呼びかけにも応じず、急に光球の口調が機械的になり何か色々と喋り出す。そして突然周りの景色が乱れノイズのような物が混じった。

「うわっ!? け、景色が!?」

 急に乱れた景色に驚いている間も無く、光の空間は終わりを告げ、ソウゴの目の前に鏡のような物が現れる。それと同時に光球もまた喋り始めた。

『――繰り上げ完了――さぁ! こちらの前へ来てください!』

 先程までの明るいテンションに戻った光球は今度は鏡の前でフヨフヨと漂い、こっちへ来いと催促している。ソウゴは次々移り変わる案内役とやらの態度に困惑しながらも渋々鏡の前に立った。

『それでは! 鏡を覗き込んで下さい! そこに映った姿がミカ様の新しいお姿です!』

「姿って……は?」

 真っすぐ肩まで伸びた長い灰色の髪。大きくぱっちりと開いた目。小柄で主張し過ぎない体付き。それはどうみても――。

「え、あれ!? これ俺、女になって――は!? こ、声が!? 俺の声じゃない!?」

 自分の姿に動揺して思わず声を出してしまう。そして自分が発した声が別人の物で更に驚愕した。自分の声が全く知らない女の子の声になっている。ソウゴは慌てて自分の姿を鏡越しにではなく直接見渡した。

「頭!? 身体!? 手ぇ!? 足ぃ!? 誰だよこれー!?」

 いつの間にか頭には軍隊の人が被るような帽子を被らされ、服もそれに則した分厚い生地の厳ついワンピースのような物になっている。手と足もすっかり細くなり完全に女、というより線の細い小柄な少女としか言い様が無かった。

「なんじゃこりゃああああ!! ってうわああああ!! これ俺の声じゃない! 気持ち悪いー!」

 あまりに変貌した自分の姿に思わず絶叫してしまった。叫んだ声も自分の声ではなく完全に別人でますます脳が混乱していく。そんなソウゴを気にも留めず案内役の無感情な音声案内は続いていった。

『一部体型認識、及び発声機能に齟齬があったため自動調整が行われました。ご了承下さい』

「お、おい! これどういう事だよ! 声とか姿とか!! 色々おかしいだろ!」

『それでは! 遂に! ABAWORLDへ降り立って頂きます!』

「ま、待て話はまだ――うぁっ!?」

 突然足元へ黒い大きな穴がぽっかりと開く。そしてソウゴの身体はそこへ吸い込まれていった。

「何が! どうなってんだぁぁあぁぁ――――」

 ソウゴの叫び声も穴の中へと吸い込まれ消えていく。

『ようこそABA・WORLDへ!』

 残された案内役の音声だけがその空間へ響いた――。






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