17年の集大成。それは失敗

堂湯 夕

第1話

私は17年前初めての呼吸と血と涙で真っ赤になって一生懸命に産声を響かせた。私は母親と父親に愛されていたのか、望まれた子だったのか、どういう過程で生まれてきたのか、どういう子だったか分からないが、生まれた。何の困難に当たることも無く生まれたらしい。母親にこの点だけは、絶対の感謝をしなければならないと私は思う。そして少なくとも普通の家で育った。母は働いていたので私は祖父母の家で幼い頃は育ったらしい。アルバムに残ってるその時の写真は笑っている私、忙しそうにしている祖父母に私を愛してくれている母親がいた。だがアルバムに父親の写真はない。そして、私を愛して抱っこをしてくれる父親はいなかった。母親は私に愛を注がない父親に対して怒り、離婚していた。それが悲しいことか、強い母親を持つことの未来への安心なのかは分からないが、結果私は今確実に不幸ではない。ただ、この母の決断は私がもし居なければ父親とまだ幸せに過ごしていたかもしれない。更に母親は子育てを始めずに、自分の時間を楽しめたはずだ。私にとってはきっとありがたい決断だろうがほんとうにこれが正解なのかは誰もが分からないし、母親自体もきっと分からなかっただろう。

生まれてしまった今、私がいない未来はないが、もしもいなかったら、母親は今もっと幸せではないだろうか。お金はもっとあったのではなかろうか。根拠はないが、私から見た母親の大きな決断に怖気づき、自分でどうすることも出来なかったこと、今でさえ何も出来ない過ぎてしまったことに申し訳なさを覚える。

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