白日夢
宝玉林檎
プロローグ すすき畑の美少年たち
茜色に染まる空。黄金色のすすき畑を目の前に麦わら帽子をかぶり学ラン姿の
すすきに引っかかっていた麦わら帽子を見つけ手を伸ばし、一歩踏み出すほどけていたスニーカーのヒモに引っ掛かり転ぶ。口の中に入った土に咽る。視線を向けた先に消しゴムが転がっていた。手を伸ばそうとすると、その先から人の声が聞こえる。
蓮は恐る恐るすすきの隙間から声の方を覗き見る。蓮は息を飲んだ。
「アッ……。ゆう……」
夕陽に染まる白い肌の少年が、同じ顔をした少年の上に覆いかぶさり首筋に口づけをしている。
蓮はその光景に目を離すことが出来ずにいた。
少年は口づけをしながらすすきの間から蓮を横目でにらんだ。その瞳は赤く燃えていて、蓮はすすき畑を全力疾走し、荷物を急いで拾い上げ、丘を駆け下りた。
すすき畑が見えなくなるまで走り続け、息が切れ立ち止まる。
真っ白い陶器のような肌をし、赤い瞳で抱き合っている二人の少年。人形が動いているようで、蓮はその記憶を頭から離れるよう頭を振り、深呼吸をし、夕暮れの空を仰いだ。
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