型から入って、型を出る
神秘の使者、ガイアーッ! 独身バンザイー!
あ、間違った……六神合体ーっ!
どうも、ながやんです。
今日は、六神合体もとい換骨奪胎のお話です。勿論、以前にも話した内容ではあります。ただ、ロボットモノの小説を書こうと思ったら、本当に普通のラノベ(ラブコメやファンタジー)以上に気を使うことが沢山あります。
いいですか? 基本的にロボットモノはスタートがマイナスです。
だから、普通のラノベが100の努力で完成するとしたら……
ロボットモノは500とか600とかの努力が必要になります。
ま、ハードルが高いジャンルなんだなと思ってください。自分はそう思ってるし、そういう現実に直面しながら作家をしてきました。そして今、作家だったと過去形で語る現状に甘んじています。グヌヌ!
でも、ロボットモノは無理でもないし、廃れてもいない。
今日はそういう訳で、ロボットモノ小説を書くためのヒントをさらに掘り下げましょう。
換骨奪胎という言葉があります。
意味は「先人の形式に工夫を加え、独自のものにすること」です。ようするに、前例や過去の名作や傑作の骨組みをよく勉強して、そこから新しい要素を加えた自分のオリジナル作品を作りましょう、というお話ですね。
まず、大事なこととして「読者の期待を裏切るな」というものがあります。
これは大事です。
ロボットモノの小説で読者が期待していることは、大雑把に言うと二つです。
一つは「ロボットモノならではのお約束や王道展開」ですね。
そしてもう一つ「この作品でしか楽しめないオリジナル要素」です。
前者は、沢山のロボットモノに触れてきた人たちの中に蓄積があります。その中から、自分が読者に見てほしい要素を、読みやすく適切に散りばめていけばOKです。結構、ここはわりとできる人が多い。ってか、凄く上手い人もいて、唸らされたりしますね。
ただ、アニメやゲーム、漫画等のコンテンツであることが多いロボットモノ……そのファクターをそのまま持ってきても、上手く機能しません。同じ感動を呼ぶシチュエーションでも、小説という活字媒体では見せ方の工夫が必要ですね。
そして大事なのは「セオリー無視は最初は絶対にやめよう」という提案です。絶対ではないです、俺が個人的にオススメしないだけで。型破りな作品は面白いけど、型を破るには型を知らないといけない。セオリー無視もセオリーを知らないとできません。
型から入って型を出る、これを姿という。
大事なのはまず、読者が期待しているフェイバリットな展開、伝統芸能レベルで洗練され愛用されてきたガジェットやドラマ、ワンシーンを綺麗に踏襲していきましょう。
だから、できれば第一話に主役ロボを出しましょう。
話の世界観にもよりますが、後半に新型ロボを出しましょう。
ロボットモノの小説を書こうって気概がある人は、ロボが大好きで、いろんなコンテンツでロボを楽しんできた人です。きっと、ロボ好きやロボを期待する人に「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」って、上手くやれると思ってます。
次に「この作品でしか楽しめないオリジナル要素」が大事です。
実は、ロボットモノにおけるオリジナリティは、ロボット要素にはあまり求められていません。大事なのはむしろ、あたのあ作品にしかない要素が、作品のロボットが実在する世界観や設定、雰囲気、そして物語にどう作用しているかが大事なんですね。
ベタベタなロボット展開の数々を、斬新な切り口で見せていけばいい訳です。
例えば、有名な「フルメタル・パニック!」がそうでした。
割りとロボットパートはベッタベタなんですよ。特殊な装置を搭載したワンオフ物の主役ロボで、主人公がヒロインを救う。一巻なんか、北朝鮮のド真ん中でピンチって時に主役ロボが空から降ってくる。
大事なのは、そうした「ロボットファンが喜ぶ王道とお約束」に至るまでの道が「傭兵少年と普通の女子高生のドタバタコメディ」で舗装されていることです。このギャップがありすぎてなにをやっても面白いというボーイ・ミーツ・ガール、ここがフルメタのキモなんですね。
なので、先日も言ったように「あなただけのロボ要素」よりもまず「ロボ作品にあなただけが付け加えれる別要素」の方に力を入れてみてください。ロボの武器やバルカンが何口径か、変形機構や開発の系譜を考えるのも楽しいし、いいでしょう。
しかし、小説は物語とドラマを楽しむものです。
大量の設定を読むものでもないし、世界観は入れ物に過ぎません。
一生懸命練り上げていくべきは、ロボの方ではなく「ロボと密接に絡んでいるオリジナル要素」です。だから、ドタバタラブコメ×ロボとか、テロリスト×ロボとか、西部劇×ロボとか、不死身の男×ロボとか、主役が戦艦×ロボとか…ロボ自体ではなく、ロボと密接に存在するロボ以外の要素を掘り下げてみてください。
閑話休題
何故、第一話で主役ロボを絶対に出さなければいけないのか?
厳密に言うと、絶対なんて創作論は存在しませんが、ながやんは絶対に第一話で出すべきだと思っています。どんな形でもいいんです、むしろどういう形にするかは作者の腕の見せ所です。でも、第一話には主役ロボが必ず必要だと思ってます。
第一話は、読者が物語の世界に入る門、入り口です。
ここでは「これからどういう物語が楽しめるか」が伝わってないといけません。
だから、ラブコメだったらヒロインといちゃこらしたり、ラッキースケベがある。異能バトル物だったら、主人公が少し俺TUEEEEEE! する。ミステリーなら殺人事件で人が死ぬし、戦記物なら戦争の一局面だったり、その勝敗を左右する交渉現場だったりする。
ロボットモノを書くなら、真っ先に「俺のロボかっこええやろ! どや!」って見せてあげてください。既存のロボットコンテンツは、第一話で主役ロボが出てくる作品が圧倒的に多いです。
それは、主役ロボというのがロボットモノでは、主人公やメインヒロインと同列に扱うべき大事な要素だからです。
かつて富野由悠季監督は「機動戦士Vガンダム」のテレビ放送時、第1話にVガンダムが出てくるパートを持ってきて、あとから回想シーンとして主人公がガンダムに関わる敬意になったストーリーを展開しています。
時系列を前後させてまで、主役ロボのガンダムを出すことに意義があったんです。
シャッコーじゃ駄目なんです、そこはヴィクトリーガンダムじゃなきゃ意味ないんです。
また「超獣機神ダンクーガ」というアニメがあります。
このアニメ、四機のメカが合体して巨大ロボのダンクーガになるんですが……その初合体は第16話と非常に遅いです。それは当時画期的で、とても話題になりました。
でも、これには意味があるんです。
それに、第一話からちゃんと四機のメカが出て活躍してるんですね。
この四機のメカ、獣戦機には複数の形態があって、変形します。四台の乗り物が四機の人型ロボットに変形し、さらに獣の姿へとパワーアップ変形するんですね。そうやって段階的に車両(飛行機)→人型ロボ→獣型ロボとパワーアップを演出し、その集大成として合体してダンクーガになる。
でも、今ならそのダンクーガを第1話のアバンで見せてもいいとさえ思います。
創作に絶対はありません。
それでも、第1話に主役ロボを、多少強引でも出しておくべきでしょう。何故なら、ロボットモノはロボが出ていないと成立しないのです。プロローグから読む読者の中で「プロローグからロボットモノの小説」と「プロローグの時点ではロボットモノではない小説」では、どちらが好かれるか……まあ、これもでも、やり方次第だとは思います。
ただ、第1話に主役ロボを出すという、このセオリーを知って、使いこなしてください。それができて初めて、そのセオリーを無視した、あえて裏切った新展開を書く力がつくと思ってますよん!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます