第7話真実とは何か?
ケンタウロス達は暫く平凡な学校生活を送っていた。
そんなある日、ウンディーネは校舎の中の張り紙を見てひどく驚いていた。
「何なのこれ?」
「どうしたの?」
ケンタウロスとディオが彼女の方にやって来てその張り紙を見たが言葉にならなかった。
『イソクラテスを始めとするソフィスト達が新しい学校を開こうとしている。その為に各寮の生徒から高額の謝礼を受け取りたい。』
「なんだよ!こんなの無茶苦茶すぎるぞ。」
ケンタウロスは怒りを顕にした。
そうしていると続々と生徒達が張り紙の周りに集まった。
「こんなこと書いたの誰だよ?」
「謝礼金っていくらなの?」
と次々と声が飛びかう。
「ソフィスト・・・。」
ケンタウロスはウンディーネとディオと共にこの張り紙について調べようと頷いた。
「放課後図書室に集合しよう!!」
3人はそう呼びかけ合い授業へと向かった。
★★★
放課後、ケンタウロスとディオは図書室に着いて先に席に座っていた。すると少し遅れてウンディーネがやって来て分厚い本を本棚から手に取るとテーブルの上にどさっと置いた。
「たしかこの本で合ってるはすよ。」
3人は頷き本のページを重たく開いた。
暫くパラパラとページをめくっているとディオが叫んだ。
「これだ!!」
「何だって?イソクラテスは最も影響力のある修辞学者??じゃあソフィストって誰なんだ?」
ケンタウロスが驚いて目を丸くした。
「修辞学って今僕らが教わってるあれ?」
ディオの言葉に”ええ、そうよ”とウンディーネが頷いた。
「ダメね。この本はイソクラテスのことはわかってもソフィストの情報はかなり少ないわね。」
ウンディーネが諦めて本を閉じたのでケンタウロスとディオが”ああ”と短く賛同した。
「他の本も見てみましょう。」
ウンディーネは席から離れると他の本を探しに本棚の方へと歩いて行った。
そしてウンディーネが他の本を持ってくると本を開き3人は本の内容に見入った。
「ソフィストとは主にギリシアのアテナイを中心に活動ている。金銭を受け取って徳を教えるとされる弁論家・教育家である。」
ウンディーネが内容を読み上げる。
「また、代表的なソフィストにはプロタゴラス、ヒッピアス、ゴルギアス、プロディコス等がいる。ですって。」
3人は読み終えると顔を見合わせた。
そしてこの問題の解決作を考えるべく作戦を練ることにした。
あの張り紙は数日たってもあの場所に貼られていた。そして犯人の犯行予告かのように新しい張り紙が張り出された。
「謝礼金に1000ドラクマだって?」
ケンタウロスは警戒心を強めた。
張り紙を見るなり生徒達は”値が高すぎる”と憤慨していたがサタン達悪ガキはふんっと鼻を鳴らして遠くから騒いでいる生徒達を見つめていた。
ドラクマはユーロがなかった時代のヘレニズム世界で広く用いられている通貨の単位だ。(そして1000ドラクマは日本円だと345円かな?でも全生徒が支払うと結構な数になりますよ。)
「なんだよ?驚かねえのかよ。」
そこにディオがサタン達の所にやって来た。
「僕らは一般庶民の奴らと違ってあるんでね。」
エリゴスがにんまりして指でお金のジェスチャーをした。
「父上に頼めば何だってしてくれるからね。僕らはそんなに驚かないのさ。」
エリゴスは気取って言った。
「だったらあなた達が払えばいいじゃない。そうすればことが解決するでしょう?」
ウンディーネがそれを聞きつけ彼らの前に立ちはだかった。
「やだね。」
エリゴスの言葉にアマイモンとサタンが頷いた。
「どうしてなの?あなた達もこの学校の生徒でしょう?協力しなさいよ。」
ウンディーネが彼らに問い詰めた。
「協力っていうのはな、みんなでやるから協力って言うんだよ。俺達だけ払ってたまるもんか。」
アマイモンが鼻に親指を当て馬鹿にする仕草をしたのでウンディーネの顔は怒りで真っ赤になった。
「私達じゃ払えない額だからお願いしてるんでしょう?」
「それが人に頼む言葉かね?まあ健闘を祈るよ。」
ワル3人が去っていこうとするのでウンディーネとディオが走って追いかけた。
「こら~待ちなさい!!」
しかし彼らはするりとウンディーネ達を躱して去っていった。
「もう!聞く耳を持たないんだから。」
ウンディーネはますます怒っているようだったがディオは冷静にこう言った。
「頼み方がまずかったんじゃないかな?」
「そのようね。」
ウンディーネはワル3人が去っていった方をじっと見つめながら言った。
「行きましょう。ケンタウロスも早く!!」
ウンディーネはケンタウロスも呼んでディオとその場を立ち去った。
「3人に頼めばなんとかなるなんて甘く考えていた僕らが馬鹿だったね。」
ケンタウロスが歩きながら肩をすくめた。
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