台風前の出来事

バブみ道日丿宮組

お題:春の嵐 制限時間:15分

台風前の出来事

 日本最大の台風が明日やってくるということらしい。

 オレは妹と夕食の準備及び明日以降のご飯を買うために近くのスーパーまで足を運んでた。足りないものは長期保存に向いてない生物と、妹の飲むコーヒーだ。

「お兄ちゃんあれ見て」

「……そんな見るもんじゃないよ」

 そこで目にしたのは、店内の至るところで沢山の人がカップ麺やら、水やら、お米やらがどっさり。あちらではカップ麺を山程、こちらでは納豆を山程。

 おそらく台風で流通が止まるのと、電気水道ガスが止まることを考えてのことだろう。悪くない考えだ。無論それがまともな数であるならば……。

 客が買う数が少なければ、誰からも文句はでてこないのだろうけど、棚にあるその名前のもの全てを買うというのはあまりよくない。社会現象にもなってる買い占めというやつがここにもきてるようだ。

「お兄ちゃん、コーヒーない!」

「あぁないな……ペットボトル飲料がなくなるなんてはじめてみたわ」

 大量のペットボトルが入ってただろう棚はあまり美味しくのない飲み物をのこしてあとは空だった。

「うぅ飲みたかったのに!」

 地団駄を踏んだ妹は、粉タイプのコーヒーを見てくると走ってった。

 全く店内を走るとは高校生にもなったんだから考えてほしいものだ。そう教えてきたんだけどな……だいぶ甘かったかもしれないけど。

 数分も待たずとして妹は手に4箱のインスタントコーヒーを持ってきた。

「これで一週間はいけるよね!」

「お前ががぶ飲みしなければな」

「……頑張る」

 あとは適当に魚を手にとった。ものさえあればなんとでも料理ができる。ついでに肉も買っておこうと選んでると、

「お兄ちゃん、クジラ食べたい」

 と妹がカゴの中にクジラ肉を入れた。

「癖強いぞ? 大丈夫か?」

「そこはお兄ちゃんがなんとかしてくれるでしょ? 知ってるんだからね」

 そういう信頼はあまりほしくはないが、まぁいいか

 買うものは買ったし、ついで水も買っておくかと、大きなサイズを2本にカゴにいれた。


 それで僕らは明日の台風に向けて家で料理を開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

台風前の出来事 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る