猫ですか、ペンですか。いいえ、お嬢様です

バブみ道日丿宮組

お題:これはペンですか?違うわ、それは猫 制限時間:15分

猫ですか、ペンですか。いいえ、お嬢様です

「一番使い慣れたペンを使いなさい」

「それは命令ですか、指示ですか?」

「どちらでもないわ。ただのお願いとアドバイスよ」

「そうですか。わかりました。では、シャーペンを使います」

「その右手でもふもふしてるのはペンじゃないわ。私の飼い猫よ」

「そうでしたか。撫で心地が良かったので勘違いしました」

「もふもふついでによく観察しなさい。あなたが描く対象を」

「もふもふしてて気持ちがいいですね。ダメ人間になりそうです」

「そこで満足してはダメよ。ちゃんとしなさい。そうしなきゃ私の執事として相応しくないと判断されるわ」

「猫を描くことが執事としての条件ってかなり変わってると思いますよ」

「普通はそうね。でも、動物を愛せない人に人間をどうこうできる権利なんてないと思うの。父様のやり方は正しいと判断できるわ」

「そうですか。でも、こんなかわいい猫を愛せない人がいるんでしょうか」

「あなたの親がそうだったじゃない。だから、あなたはここにいる」

「……そうですね。そうかもしれないです。引き取ってくれてありがとうございます」

「まだ決まったわけじゃないわ。今ここにあなたを置いているのは、あなたが死にそうな目で私に訴えかけてきたから、拾っただけよ」

「それでもお礼を言わしてください。ここに命があるのはお嬢様のおかげなんですから」

「なら、きちんと猫を描いて頂戴。それで父様を説得することができるから」

「猫をお嬢様の膝上に置いてくれますか」

「別にいいわよ、きなさい」

「よく言うこと聞くんですね。猫って気まぐれって聞きますけど」

「それは調教されてない猫のことだわ。うちにいる猫たちは皆いうことを聞くわ。誰がご主人さまで誰の手ほどきで生きてるのかを理解してる」

「頭がいいですね。……そうです。そんな感じでお願いします」

「もしかしてあなたは私ごと絵を描こうとしてないかしら?」

「ダメでしょうか?」

「別に構わないわ。きれいに描ければ評価が高くなるはずよ」

「お嬢様は大変かわいいですからね。ぜひとも絵にしたいです」

「そぅ。なんども言われてきたことだけど、あなたに言われるのはどこかこそばゆい気がするわ」

「それは光栄です。凄いですね、猫」

「えぇ凄いのよ、うちの猫は。あなたもその1つになるのよ」

「なれるでしょうか?」

「あなたのきれいな瞳なら描けるはずよ」

「頑張ってみます。あっあとどうせならですけど、笑ってくれませんか?」

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猫ですか、ペンですか。いいえ、お嬢様です バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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