ドア

バブみ道日丿宮組

お題:怪しいドア 制限時間:15分

ドア

「なぁにこれ?」

「ドアだね。どこでも○アみたいなピンクのドア」

「ドアなのは見てわかるよ。問題なのは、どうしてあたしたちの部屋にあるのかってこと。まさかあなたが入れたってことはないよね?」

「そんなめんどくさいことするくらいなら、窃盗したほうがましだよ」

「窃盗のレベルがわからないけれど、信じてあげる」

「近づいてどうするつもり?」

「ドアっていうのであれば、開けるのが普通でしょ?」

「そのまま外に捨てるって考えもあるよね?」

「怪しいドアを捨てるのを見られたらあたしたちめっさ怪しい人だよね。捨てるなら時間帯を考えないといけない」

「まぁ……ドアを持ってる人がいたら、通報するレベルで怪しい。なにしでかすかわかったもんじゃないね」

「そう。そんな人にあたしたちはなってはいけない。ただでさえ、学校で浮いてるんだから世間体は普通でいたい」

「別れるって選択肢もあると思うけど」

「あたしは別れたくない。どんな偏見を持たれようとあなたと一緒にいると決めたのだから」

「そっか。それでドアは開きそう?」

「鍵のようなものは見られないね。後ろにも前にもただドアノブがついてるだけ」

「回してみる? もしかしたら引き戸かもしれないけど」

「そんなめんどくさい仕様ならあなたが対応してよね」

「めんどくさいことは勘弁してほしいのだけど、わかった。そのときはこっちが対応するね」

「まずこっちにきなさいよ。ドアをあけたら異次元とかあるかもしれないじゃない」

「そんな不可思議な現象は起こるはずもないだろうとはいいたいけど、見知らぬドアが部屋にあるという時点で不可思議な現象は起こってるんだよね」

「いいから、はやくきて」

「そう焦らなくても変わることはないと思うな」

「手をつなぎましょう。ついでに抱き合いましょう」

「抱きしめあったらドア開けられなくない?」

「あなたがドアの前にたてばいい。あたしが抱きしめながらドアノブを回すから」

「ずいぶんとめんどくさい方法を……。わかった、これでいいかな」

「じゃぁいくわよ」

「どう、開きそう?」

「開いたけれど、そのまま部屋につながってるわ。あたしたちの部屋」

「それってそのままの意味?」

「ただドアというワンクッションがあるだけよ」

「……無意味だね」

「あなたも見てみる?」

「うん。……えっと、これはただのドアだね」

「そうよ。どうする?」

「捨てるしかないでしょ。でも、誰がこんなものを部屋に入れたんだろうね? 鍵とか新しくしたほうがいいのかもしれないよ」

「そうね……そうしましょう」

「とりあえず、端っこに移動させるね」

「お願い」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ドア バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る