バブみ道日丿宮組

お題:奇妙な口 制限時間:15分

 その口に手を入れたら、噛まれるという都市伝説が私の通う学校には存在してる。

 数多くの人が毎日のように訪れてる。

 ちなみにソーシャルメディア受けするとかなんとからしい。

 その噛まれると言われてる像は学校を創立した人で、笑ってる。実際に現物を見ればすぐわかることだが手を入れる隙間なんてない。唇、歯、そしてその間にある少しの空間。そこにおそらく手を入れるという話なのだろうが、小指ぐらいの隙間しかないところに手なんて入るのだろうか?

 小学生、幼稚園、赤ちゃん。

 様々な人のタイプはある。小さければ小さいほど、手が入るということはある。

 が、その年代の人はこんな場所には来ない。

 いつもネットに支配された高中学生や、大学生、世間に出てない社会人なんかがやってくるばかり。

 田舎にある学校は首都圏から1時間も遠く、バスも一時間に一度しかない。

「……世も末ね」

「みんな噂が好きだからね」

 独り言を聞かれたようで、振り返れば幼馴染である彼女がにっこりしてた。

「手入れたことある?」

「こう?」

 実演しようと像に指を入れた。

「入ってないよね?」

「そうだね。入る人は限られてると思うよ」

 同意見がよかったのか、さらに彼女は笑った。

「あなたぐらいのこならもしかしてもしかするかもしれないよ?」

「いくら私が小さいからって子どもと同じなわけじゃない」

 確かに私より大きな子どもはかなりいる。

 でも、だからといって私が入るということはない。

「ほら、文句言わないで掃除するよ」

 手慣れた様子で像を雑巾で拭く彼女。

 そんな彼女の姿を見かねて、

「ハゲオヤジの頭を磨いても光るだけで何も意味ないよ」

 口が滑る。

「そうはいってもここの掃除当番わたしたちだからね。しないわけにもいかないよ」

 融通がきかないというべきか、真面目というべきか、頑固というべきか。

 ここにおそらく皆から好かれるというパラメータがあるのかもしれない。

「わたし以外にも話してくれれば、すぐに仲良くなれるよ」

 心の声を覗かれた?

「顔に出さなくてもわかるよ。だって、幼馴染だもの」

「そうなのか」

 彼女の言葉になぜか口端が動いた。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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