かきくけこ

バブみ道日丿宮組

お題:消えた御曹司 制限時間:15分

かきくけこ

 人の一生を測れる装置があるのならば、おそらく誰もが使うだろう。

「痕跡はなしか……」

「あれば、とっくに見つけてるでしょ」

 助手と訪れたのは、学校のクラスメイトの一人で、御曹司。

「あまり乱雑に扱わないでよね」

 とっては投げる助手を見て一言。

「別に殺人現場でもないのだからいいでしょ。それに許可はとってあるわ」

 そういうものだろうか?

 仮にも探偵の助手というのであれば、もっと丁寧にしてほしいものだ。

「あなたは別に探偵じゃないわよ。ただの女子生徒。そしてわたしの幼馴染」

「でも、依頼はされる」

 小学生の頃から物語は始まった。

 最初は猫を探したり、お気に入りの下着を探したり、おじいちゃんを探したり、と小さなことを頼まれた。

 中学生になる頃には、血まみれた現場にいくことになった。

 僕は耐性があったから問題なかったけれど、ついてきた助手はいつものように吐いてた。その頃は別に助手でもなんでもなく、ただのクラスメイトだったけどね。

 素人2人を現場に入れるなんて警察も落ちたもの。

 聞いた話じゃ、現場はもう探偵と呼ばれるものが支配して、封鎖する、武装するといったことにしか警察は労力を割かないらしい。

 それでいいのかと、個人的には思うがそう決める理由があったのであれば、こちらが拒否することはできない。

 それなりの報酬はもらってる。

「資格を取ろうとしてたみたいね」

「……資格」

 確かに教室で自慢気に話してた。

 なにをとって、なにをおとしたのか。

 そこになにか不可思議さはなかったか。他のクラスメイトに違いはなかったか。あるいは?

「事件現場にやっぱいくしかないんじゃない?」

「あそこは血だらけだよ? いいのかい」

 はぁというため息。

「吐けば問題ないから。あなた1人に任せてはおけないしね?」

 過保護なものだ。

 小さい頃から暴力から守ってくれたのは事実。

 これからそういった【力】が必要になるかもしれない。

 行方不明といえば、誘拐が候補にあげられる。

 そこから奪還となれば、暴力に頼るしかない。

 助手である彼女はそういった力を持つ。僕が頭脳であれば、助手は肉体だ。

 だからこそ、僕も同行を許可してる。

「じゃぁ、行こうか。ここはもう用がないから」

 部屋のドアを開けると、助手は同意した。

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かきくけこ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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