青春の感情

バブみ道日丿宮組

お題:突然の過ち 制限時間:15分

青春の感情

 ほしいと思ったときには、既に手元に下着があった。

 白くて、ふわふわで、ワンポイントで赤いリボンが刺繍されてるそんな可愛い下着だ。

 それを俺は手元に忍ばせながら、教室までたどり着いてしまった。

「……」

 どうしようか、机に頭を置きながら思考を走らせる。

 盗んだ相手は幼馴染の彼女のもの。部屋のタンスからするりと1つ選びとってポケットに入れた。

 彼女の可愛い寝顔を見てたら、つい魔が差してしまったのだ。

 

 ーーいつ返そうか?


 学校では無理だ。

 なぜ女物の下着を持ってるのか、それだけであらぬ誤解を招いてしまう。いや……あらぬ誤解ではなく過ちであるか。盗ったのは自分だし。

 なんにしてもポケットに入ってるのはまずい。ひょっとしたタイミングでこぼれ落ちてしまうかもしれない。きれいに丸められた下着は四角いお菓子に見えるかもしれない。

 もし食べることができれば、とても言い表せない甘味を得ることができるだろう。

 けれど、外に出てしまえば、毒のようなお菓子へと変わってしまう。それだけは避けなくてはいけない。今後の周りの評価も変わってしまうのだから。

「ねぇ、どうしたの? 具合悪いの?」

「……なんでもない、なんでもないよ」

 心配そうに声をかけてくるのは下着の持ち主。一緒に登校してきた相手だ。

「じゃぁ、ホームルームまで話そうよ。まだみんなきてないし、暇だよ」

 彼女の思考は至極当然のことだ。

 俺だって暇な時間をただ過ごすというのはやりたくない。

「今日もありがとうね。朝起こしに来てくれるの本当に嬉しいんだ」

「……そう」

「パジャマ姿を見られるのは恥ずかしいけれど、起きれないのはもっとダメだからね」

 横目で見てみれば、えへへと可愛い顔をこちらへと見せてた。

 こんなこの下着を俺は……はぁ。

 一時の感情の高ぶりのために、俺は彼女の好感度を下げるようなことをしてしまった。

 とても許されないことじゃない。

 だから、彼女にばれないように元に戻す必要がある。

「……明日も行くから」

「うん、お願いね」

 トイレ行ってくると彼女は席を立った。その瞬間を逃すわけにも行かず、鞄の中へ下着をシュートした。

 

 そうして次の日、彼女の下着を元に戻そうとして、とある事件が起こってしまったのであった。

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青春の感情 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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