COSMOS
み
久遠類 編 夢の呼び声
夢の呼び声
「ふぁぁ~」
私は大きく背伸びをした。
今は何時だろう。
近くにあった携帯をつける。
「7時半!!??」
私は大きくそう叫び慌ててベッドから飛び起きる。
用意を完了させ、階段で急いで降りるとアパートの前に蓮巳がいた。
「ーー遅い。遅刻しそうだし、置いていこうかと思った」
幼なじみの松風蓮巳が冷たくそう言い放った。
こうやって毎朝待ち合わせをしているが、今まで1度も遅れたことがないわけではない。
ただ、こんなにも遅れたのは初めてだった。
「ごめんごめん!時間やばいから走っていこ!」
私たちが急いで教室に行くと時計はもう8時を回っていた。
「間に合わなかったか…!」
誰もいない教室に急いで荷物だけ机に置き、蓮巳を連れて走って小等部の体育館に向かう。
小中一貫校であるうちの学校は、毎週月曜日の8時から小等部の体育館で全校集会を行う。
こっそりと中に入ると校長先生が生徒に向かって話をしていた。
私と蓮巳はできるだけ目立たないように生徒の脇を抜けて背の順に並ばれた列へ上手い具合に溶け込んだ。
ホッとひとまず安心すると、背後から肩をトントンと叩かれた。
「おはよう類。今回は珍しくド派手に遅刻したみたいだね」
そう言って小声で話しかけてきたのは鳴宮蛍。
私は舌を出し、てへっと小さくおどけた。
「"お祈りの時間"もう終わったよ。」
ため息混じりに蛍がそう言った。
毎週月曜日の全校集会には、特別な儀式があり私たち生徒はそれを"お祈りの時間"と呼んでいる。
電気を消して胸もとに手を当てて黙祷しながら神に祈りを捧げる儀式のことだ。
なんのためにやるのかいまいちよく分かっていないので、大半の生徒は寝ていることだろう。
集会が続く中、私は眠い目をこすりながら蛍と話をしていた。
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