第27話 野良悪魔
「それで、出口に向かうのか入り口に戻るのが早いのかどっちだろう。」
「そんなの簡単よ。みんなぶち抜いていけばいいのよ。」
「だから施設を壊すなっての。」
カズマはディアナの頭をクシャクシャと乱暴に撫でまわして暴挙を止める。
「とりあえず入り口に向かうか。その方が確実だろう。」
「そうでしょうね。――――このミラーハウスが侵食されてなければだけど。」
「そん時はそのままダンジョン攻略と行きましょうや。」
「今日はお気に入りの洋服だったのに汚れちゃいそうだわ。」
「ならば後ろで大人しくしてるか。」
「あら、嫌よ。私も暴れたいもの。」
そう言ってディアナはスカートの中からショットガン取り出した。
ウィンチェスター/SXPブラック シャドウだ。
トルコ産のスライドアクション式の1m以上あるショットガンだ。
そんなものがどうやってスカートの中に納まっていたのかは謎だが、前にカズマが聞いた時に「SF的な技術によるものよ。だからスカートの中を覗こうとするな!」というやり取りがあったくらいである。
対してカズマが持つのは近接用のコンバットナイフと拳銃、ワルサーP38である。
「男のロマンだ。」
が、カズマの言い分である。
「そんなので火力足りるの?」
「ロマンがあれば火力は上がる。」
ディアナの疑問にカズマはそう返したほどだ。
「それに、俺は悪魔で戦うのが主流だからいいの。」
「それなんかずっこくない。」
そんなことを言いながら入り口に向かっていると、曲がり角で「外道 ヤクザ」と鉢合わせした。
パッァン!パッァン! ズドン!
哀れ、「外道 ヤクザ」は速攻で鉛玉を撃ち込まれて吹き飛んだ。
「……お前、いきなり撃ったよな。」
「お兄ちゃんだって。」
「哀れな一般人のヤクザならどうするつもりだよ。」
「お兄ちゃん、ヤクザの時点で一般人じゃない気がするけど。」
「人だったらって意味だよ。」
「ヤクザは人の皮をかぶった悪魔よ。」
「お前、ヤクザに何か恨みでもあるのか。」
「あるわよ。ヤクザに初期装備で挑んで何回殺されたことか。トカレフもなかなか落とさないし。」
「それ、ゲームの話だよな。」
「ほら見てお兄ちゃん。人じゃあなくてただの野良悪魔の証拠に死体も残さず塵と消えたわ。
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野良悪魔
肉体を持たないエーテル体で存在する悪魔。
悪魔憑きが多数集まるところに発生する。
何らかの物質化を求めて人や鉱物を食らう。
肉体が無いので倒されると塵と化す。
その際にエーテルタイトと呼ばれる悪魔の活力源が結晶化して残る。
野良悪魔と受肉した悪魔は別物として扱われることが多い。
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