異世界に転生したミジンコですが何か?

小伊成

第1話

どうも。異世界に転生したミジンコです。


ちなみに、35回目の転生です。


今は魚の体内にいます。


元々は生粋の日本男子でした。


何の因果か28歳の誕生日に、こちらの異世界の神様に勇者として召喚されまして。


まぁ所謂、異世界あるあるです。


魔王討伐に力を貸して欲しいと。


それで、魔王討伐を終えた際には、何でも1つだけ願いを叶えてくれると言われまして。


その話に乗った結果が、今に至る訳です。

ミジンコです。


ちなみに『〇〇は転生に失敗した!』とかではないですよ。


ミジンコに転生したかったんです。


・・・・・何故に?というツッコミが聞こえてくるようですが、そんなもの知りません。


だってミジンコに転生したかったんですから。


それが全てです。キリッ。


素晴らしいですよ〜ミジンコは。


かつては勇者だった自分が、今はこの世界の最小!なんですよ。


しかも、こんなに小さい体なのに、勇者のチートスキルはそのままだから『世界最強』なんですよ!!


世界最小での世界最強。 …ブフッ。


いやぁ〜。やってみたかったんですよね〜!!


ね? ね? 凄くないですか?



───…そう思ってたさっきまでの自分を殴ってやりたい今日この頃。


ただ今ミジンコは絶賛発売中!

…──ならぬ、魚の体内中でござる・・・。


──────────────────

方程式

『 勇者のチートスキル < 食物連鎖 』

──────────────────


異世界でも覆せなかったこの世の真理。


ミジンコが特大のチートスキルをぶっ放しても、げっぷ程度の効果しか与えられず。


ならば特大のチートスキルを超えた、34回の転生で編み出したチートスキル×34を今こそぶっ放っ…したら、ミジンコの自分の体も消滅するという悲しい現実…。


俺TUEEEできない現実。


それがミジンコ。


・・・・・おいそこ。笑うなよ。


いやぁ〜。でも、いや、まさか、魚に食べられたら今生の終わりになるとは思わなかった!!


・・・・・だから笑うなって。


自分でも間抜けだって思ってるんだよ、チクショウめ…。



え〜ゴホン。話戻します。


自分の願いが何でも1つだけ叶うとすれば、元の世界に未練がある人なら、元の世界に帰りたいと願うでしょう。


実際に神様曰く、元の世界に帰した人間もいるそうでした。


しかし自分は、元の世界よりもこの世界の方が魅力的だったので、このまま異世界に留まり満喫できたらな〜と思ったのです。異世界あるある?です。


それで考えました。


この異世界を満喫するには、どんな願いが一番良いかな?と。


神様に大富豪を願って、お金を気にせず異世界を旅してみる?


それとも、男なら一度は夢見る、ハーレムを願ってみる? (←偏見)


強さ…は、魔王まで倒したチートスキルがあるから、これ以上は要らないし…。


それで、思いつく限りを想像した結果、やりたい事が多過ぎて、人間の寿命では足りない事に気付いたんです。


ならば、不老不死を願ってみる?と考えましたが、それだと仲良くなった者との離別が積み重なり、段々と生きる事が辛くなるだろうなと。


しかも永遠に死ぬ事もできないから、悲しみや虚無感だけが募って、途中で気が狂うだろうなと。


そこで思い付いたのが、それなら無限に転生すれば良いじゃない!でした。


ところで。


日本男子として生きてた時の自分は、特に何か突出した家柄でも容姿でも才能もなく、中肉中背の何処にでもいるようなサラリーマンでした。


敢えて言うなら、彼女いない歴イコール年齢。くらいでしょうか。


そんな平々凡々な人間を、何故わざわざ別世界から召喚する必要があるのか?


疑問に思った自分は、召喚された時に神様に問うてみたんです。


この世界で強い魂なり才能なり持つ者を、勇者として更に鍛えるなりして、魔王討伐に向かわせれば良いじゃないかと。


すると神様曰く、別世界から召喚する際に、その人間は『耐えられる器』を体内に宿すから、その器が勇者には必要なのだとか。


アレですよアレ。

俺TUEEEなチートスキルです。

異世界あるあるです。


魔王は、この俺TUEEEなチートスキルがなければ倒せないらしく、このチートスキルを体内に取り込むには相応の器が必要で、つまり召喚時に『耐えられる器』を宿す別世界の人間でなければ駄目なんだそうです。


なので、別世界の人間でさえあれば、後は自分のように運良く?召喚さえされれば、まぁ誰でも勇者になれる訳です。


そうだぞ。

今読んでいる君にもチャンスはあるぞ!←


とまぁ、そんなこんなで。

神様から俺TUEEEなチートスキルを授けられた自分は、無事に魔王討伐を完遂できました。


そして神様へ願いを伝えました。


『過去の記憶と魔力やスキルを維持したまま、この世界での転生を無限にできるようにして欲しい。』と。



そうして35回目の転生先がミジンコでした。


体内時計で換算すると、生まれてまだ3日くらいなのに、只今のミジンコは魚の胃袋へin中。


いやぁ〜、人生とは学びの連続ですね!


ミジンコになったからこそ気付けた、この世の真理を胸に───…


うむ。今世も有意義な人生だった。


もといミジンコ生だったな!



〜続く〜


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