彼女と彼の、微妙な関係?

千里志朗

第1話 告白されてしまった……



 ※



 私は、高校二年生の、ごく普通の女子高生だ。


 昔ちょっと、トラウマな事があって、男子全般が苦手だけど、話が出来ないとか近寄れない、なんて極端な事もなく、普通に高校生活を過ごしていた。(少しばかりコミュ症だけど)


 なのに何故か、いきなり年下で、自分よりも背の小さい後輩に告白されていた。


「―――ずっと、先輩の事が好きだったんです。もしよければ、交際してもらえないでしょうか?」


 背は低いのだけれど、おとなしめで、落ち着いた態度の彼は、人付き合いの経験がずっと少ない私なんかよりもよっぽど大人びていて、はっきりした口調でのたまった。


(?!?……えと、でも、ずっと、って、この子は新一年生で、まだ入学してから2カ月位しか経っていないんだけど……)


 2カ月でも『ずっと』と表現するかは少し微妙な感じだ。


 でも、それよりも問題なのは、この子が入学してすぐに、うちの高校のバスケ部に入部して、メキメキと頭角を現し、って表現するのかな?つまり大活躍して、1年なのにレギュラー候補になるかも、とバスケ部の年上の先輩達や同年代の他の子達からやっかみ半分で噂されている、スーパー・ルーキーなのだ。


 なので、今まででも女生徒達が、大勢黄色い声をあげて応援していたバスケ部の練習場所に、彼のファンクラブなる2、3年制の女子を中心にした、濃い女子の集団が加わった位なのだ。


 余り表情を変えず、淡々とプレイをする、コート上の小さな影。


 ドリブルを始めると、信じられない様なスピードでコート内を駆けまわり、自在に敵陣に切り込み、驚く程に正確なパスを出したり、時に自分自身でジャンプして、シュートを決める。


 それが、私より背が低い子なのに、ゴールのリングまで軽々と届く跳躍をして、だ。いわゆる“だんく”、というらしい、バスケットでは凄く有名なシュートをしてしまう。


 でも、そんな凄い事をした後も、ニコリともせずに、すぐにそそくさと次の練習へと戻る。


 何だかよく解らないけれど、ギャップの差が可愛いい、と年上のお姉さま方からは絶賛の嵐で、普通人な私としては、熱狂し過ぎてうるさいし怖いその集団には、出来るだけお近づきになりたくないと思う位に、そのファンクラブは過熱していた。


 なのに、その当人が、こんな“私なんか”を好きだと言うのだ。


「……うぇ、と。そ、それって何の冗談なのかなぁ?」


 と、みっともなく上ずった声で聞き返してしまったのは、決して無理もないと私は自己弁護したい次第でアリマスル―――。





************************

まあ、解る人にはすぐ分かるかもですが、お付き合い下さい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る