第3話鑑定
「…んと」
ユノは目を開ける。
目に映ったのは、コンクリートが剥き出しの10畳位の部屋だ。
起き上がると、情報の整理を始める。
「えっと、ここが呪界と。で、右上の2つのメーターがHPと満腹度、MPなるものは存在していないのか。右上の歯車がメニューね」
ユノが意識すると歯車が現れる。
歯車を凝視するとメニューが開かれる。
メニューは閉じておく。
内容としては、ログアウト、痛覚設定、パラメータ非表示etc…
称号は『■■■の新生』なるものがセットされていた。
■■■がとても気になるが、後に分かることなのだろう。
とりあえず、立ち上がろう。
立ち上がってみると、ほぼ何も置いてないからなのか、とても広く見える。
部屋の端にある机のようなもの、緑の液体が溢れている泉のようなもの、少し明るめの霧、外に繋がっているであろう、金属っぽい扉が見えた。
そして、ユノが身につけているのは、股間を隠している、ボロ布。最初からみにつけている、ルーペのようなものだ。ネックレスの先に付いている。
一先ず外に出てみる。
ユノは扉に手を掛け、引いてみる。
「よし開いた!」
少し重かったが、体が筋肉質になったからか、余裕を持って扉を開けることが出来た。
先に人はいない。
誓約書にかいたからか、特殊な場所に飛ばされたのだろう。
そこに居たのはユノ腰くらいの大きさの、カメレオンのような生物だった。
公式サイトの呪界での生き方で載っていた、ルーペでの鑑定を試みる。
結果は
△△△△△△△△△△△△
隠れ身カメレオン レベル2
HP;800/800
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「えー、撤退、撤退と」
今は戦いません。
先にさっきの部屋に戻り、鑑定をする。
先ずは机
△△△△△△△△△△
コンクリートの呪詛台
レベル1
耐久度 ∞/∞
呪い侵食率 100/100
異形度 1
周囲の呪詛を集めて、台の上に置かれた、非生物を呪い、道具や武器等を作るのとができる。とある方法を使えば、強力な物を作ることができる。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「うーん……アイテム作成とか修理につかうんかね?」今ではまだ分からない。
次に泉
△△△△△
回復の水
レベル 1
耐久度 ∞/∞
呪い浸食率 100/100
異形度 1
旅人─呪人にかかっている不死の呪いを活性化させることによってあらゆる傷を癒す事が出来る液体。
器を置かれた場所から動かす事は出来ないが、置かれた部屋の中ならば何処に居ても回復効果は得られる。
何かの器になら入れて持ち運べるかも。
▽▽▽▽▽
最後のテキストが無くても器ならば持ち運べるということは分かっていたと思うが、時間短縮もあってありがたい。
「この世界ではプレイヤー旅人は呪い人と呼ばれるらしい」
不死の呪いを持っているものは、プレイヤーしか居ないため、不死の呪いを持っているものは呪人と呼ばれている。
「ま、あんま気にする事はないし、ほっとことは無いっしょ」
レベルはそれを使う推奨レベル、耐久度はそのまま、異形度はしらん!
検証班様が何とかしてくれると思う。
次に壁や天井、床
△△△△△△△
ダンジョンの壁
レベル 1
耐久度 ∞/∞
呪い浸食率 100/100
異形度 9
ただの壁。本当にただの壁。そう思っておくといい。
▽▽▽▽▽▽▽
「なんかありそうやけどなこのテキストを見るに」
△△△△△
ダンジョンの天井
レベル 1
耐久度 ∞/∞
干渉力 100
浸食率 100/100
異形度 9
ただの天井。本当にただの天井。そう思っておくといい。
▽▽▽▽▽
△△△△△
ダンジョンの床
レベル 1
耐久度 ∞/∞
浸食率 100/100
異形度 9
ただの床。本当にただの床。そう思っておくといい。
▽▽▽▽▽
「異形度9……これは……意味が…あるんだろうな。多分」
気になる事は2つ
異形度9という表記、意味が分からないが、きっと意味があるのだろう。
もうひとつ
「ダンジョンかー。俺はだいぶ特殊な所に来たようだな」
鑑定結果で自分がどの様な場所にいるか分かったユノはとてもテンションが上がる。
因みにこのルーペは『鑑定のルーペ』というらしい。
ついでに自分も鑑定してみる。
結果は
△△△△△△△△△
『■■■の新生』ユノ レベル1
HP 1499/1500
満腹度 100%
異形度 18
呪い
『不老不死』『空中浮遊』『手剣生成』『脚部硬質化』『肌黒』『筋肉縮膨張』『擬態肌』
称号
『■■■の新生』
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「へぇ……ってHPが減ってる?」
HPが1減っていた。鑑定のルーペを使った代償のようなものか?
「まあ、上手くいって良かった」
なお、自分を鑑定したからここまで出るだけであって、他のプレイヤーに鑑定すると名前とレベルとHPと異形度、自分で選択した称号と強制公開の称号が表示される。
因みに称号は
《称号とは何かを成した時や条件を満たした際に与えられる特別な通り名や栄誉のことです。変化していく名称と、固定の名称があります。持つ称号によってはゲームキャラクター達の態度が変わります。ステータスに関与する称号もあります》
《称号は他のプレイヤーにオープンにされているステータス情報です。メニューの詳細設定で、フレンドのみに公開する〝フレンド閲覧可称号〟や全てのプレイヤー(運営と特定の人物を覗いて)に秘匿する〝非公開称号〟に設定出来ます。
しかしメインストーリーの称号と、PVPの称号、プレイヤーの殺害や犯罪行為による称号は非公開に設定することは出来ません。なお、このゲーム…呪界ではPKもPKKも認められています》
との事だ。
因みに『■■■の新生』は強制公開称号だった。
「んーこの称号を更に鑑定することはできないのか?……おっ!できたぞ」
△△△△△△△△
『■■■の新生』
効果 NPCからの好感度低下・極大
条件 初期異形度18以上
お前を見た、通常の者はお前を嫌い、嫌悪する。だがめげるな、お前と通常の者は違う世界にいるのだから。
▽▽▽▽▽▽▽▽
「ま、これくらいこないと楽しめないからな。頑張っていこう」
初期異形度での取得なのなら仕方がないと思う。どうせこの道を通っていた事だし。
称号の効果は常時発動らしいし、NPCからの好感度低下・極大はどれくらいだろうか。
まず、ユノの姿を見ただけで、NPCは討伐対象として認識するだろう。
もっとかもしれない。
「誓約書にサインもしたし、これくらいは当たり前なのだろう。よし、あのカメレオンは避けて、ダンジョンの散策をしよう」
ユノはまた、金属の扉を開いた。
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