第6話 技能の詳細
女……ジャンヌの長い講義が終わり、いくつか実験して技能やステータスの概要は分かった。
この世界に生まれた者は"天職”を与えられ、どこかの国に"所属”する。
ここはパラディア大陸で、四の国が存在している。
東にミカエスト王国、北のノースガブリ聖国、南のサウスラファ皇国、西のウリウェスト帝国。
そのどれか。
各国には"法”が存在し、所属者はその法を破ると"罪状”を自動的にステータスに刻まれる。
与えられた"天職"により一定の"先天技能"が与えられる。
"後天技能"はこの世の理に外れるようなことを行ったときに与えられる、 ”神の辻褄合わせ"とか呼ばれていて、持っているのは希だという。
俺二つありますが……まあ、いいや。
で、まず俺の先天技能について。
ステータスを開き、項目を指で触ると詳細が出た。
何このハイテク? って思ったけど、疑問は置いて、後で気が向いたら考えよう。
ともかく、まずは狙撃。
例えば弓矢であれば通常、正しいフォームなんかを学び、狙ったところへ当てるための術が必要なんだけど、この技能は狙ったところへ矢を当てられる様に、風を読み、身体を自動補正する……らしい。
何か怖い。
次、矢作り。
”登録"した矢を、材料さえあれば作れる。
銃弾を試しに登録したら別ウィンドウが開いた。
-------------------------------------------------------
矢作り 登録数 = 1/10
・ドラゴンキラー ✕5
材料 =
-------------------------------------------------------
この材料があれば弾が五個手に入るらしい。
試しに持ってるものを、片っ端から登録できるだけしたらこうなった。
-------------------------------------------------------
矢作り 登録数 = 5/10
・ドラゴンキラー ✕5
材料 =
・ボウガンの矢 ✕5
材料 =
・閃光照明弾 ✕5
材料 =
・火炎弾 ✕5
材料 =
・ウォータースピア ✕5
材料 =
-------------------------------------------------------
ドラゴン祭りだ、ワッショーイ!
そもそも親父曰く、迷い込んだティラノを捌いて作った武器がほとんどっぽいからな。しゃーないっちゃしゃーない。
で、次が弓矢格納。
これもは弓矢を格納できるスキル。
-------------------------------------------------------
弓矢格納 格納数 = 9/20
・上下二連式猟銃 「D270X」 ✕2
・ドラゴンキラー ✕11
・6連式コンパウンドクロスボウ 「SH-9」 ✕2
・クロスボウの矢 ✕30
・フレアガン ✕2
・閃光照明弾 ✕12
・火炎弾 ✕12
・水中銃 「トライデント」 ✕2
・ウォータースピア ✕2
-------------------------------------------------------
なんで銃が弓矢扱いなのか。
まあ、矢作りで弾丸作れる辺り今更なんだが。
ナイフは格納できなかったから、バグってるわけではないらしい。
で、最後に素材格納。
-------------------------------------------------------
素材格納 格納数 = 2/50
・ティラノドラゴンの死体 ✕1
・生命の実 ✕4
-------------------------------------------------------
こうなるよね。
因みに生命の実は一個すでにジャンヌにあげた。講義の報酬だ。
さて、最後に後天技能。
この世の理を外れる行為をすると手に入る技能。
はい、心当たりがあります。
まず異世界超え。
日本にいたときも異世界言語はあったから、多分そのときに取得したんだろう。
因みに効果は異世界の言葉を使える。
因みに俺にとって異世界ってのは日本なのかここなのか。
なかなか微妙ではある。
今自分が喋っているのが日本語なのか異世界語なのかが自分では解らないから、判断できない。
次に精神異常耐性。
これは最初分からなかったがジャンヌの独り言でなんとなく分かった。
「狩人がドラゴンを討伐? ……あり得ません」
だそうだ。
そういえばティラノの死体を見ながら、精神がやたら落ち着いていった記憶がある。
ちとドラゴン殺しの報酬としてはショボい気もするが、右も左もわからん状況下、マインドサポーターはないよりあった方が良いだろう。
とまあ、こんな感じ。
さて、状況整理が多少できたところで移動だ。
いくら安全とはいえ、ずっといるような場所じゃない。
「ところで、アンタどっから来たんだ?」
拘束を解いたジャンヌに訊くと、ミカエスト王国のプロテスト公領と答えが返ってきた。そういえばそんなこと言ってた気がする。
現在時間は午後六時になろうとしている。
辺りはもう暗くなっている。
「今から移動すべきか?」
「いえ、今日はここで野営すべきでしょう。今からでは暗くモンスター渦巻く森の中を歩くことになりますし……あの」
「あん?」
「妙なこと……考えてませんよね?」
「妙なこと?」
「あ、いえ……何でも。」
ジャンヌは思いの他おとなしい。
危険人物かと思っていたが……剣を奪われているせいかもしれない。
「じゃあ、飯の用意をしよう。ああ……アンタも食うか?」
「え? あの……はあ。」
食い物の恨みは恐ろしい。
貴重な食料だが、今回は仕方ない。寝込み襲われたら嫌だし。ちょっと恩を売っておこう。
車の荷台を開け、ガスコンロと鍋を出す。
水を入れ、アルミパックにつまったレトルトのカレーとライスを2人分鍋に入れる。その間に食料もチェック。
基本的な食器と果物ナイフ的な包丁、皿とカップ、一回使い切りの調味料各種がいくつか。後はアルミパックのレトルト食品が段ボールで入っていた。
二人で一週間三食分だからね。
四十二食分といったらこんなもんだろう。
つまりあと四十食分。
うーん、少ない。
折角出会ったのだ。ジリ貧になる前にジャンヌに人里に案内して貰おう、うん。
食器にカレーを盛り付けジャンヌに渡す。
「何ですか、これ……?」
戸惑っているジャンヌの前でカレーを一口食べると、ジャンヌは意を決したように俺の真似をした。
「おいしい!?」
それはよかった。
ここにはカレーがないのか、本気で感動してるっぽい。
俺的には寧ろレトルトカレーって……て感じなのだが。
食べ終わったジャンヌにカップに水を入れて渡す。
「あの、何から何まですみません……。」
しおらしくなったジャンヌを横目に、ワンタッチテントとトイレ用テントを設置。
モバイルコンポストトイレを設置し、電源を蓄電器に接続する。
充電済みだったようで助かった。
本当は風呂も入りたいが、今日は無理だろう。
近くに水場がない。
トイレのタンクを使うのは、抵抗あるし、水量が全然足りてない。
エアマットとライトダウンコンフォートをテント内に広げる。
「アンタはここで寝な。」
「え?」
俺は車の中でしっかり鍵を閉めて寝る。
俺はジャンヌがまだちょっと怖い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます