お試し異世界転生!ー1Day転生始めましたー

夜谷/よるたに

No.1 あるJKの転生 上

「はぁ~~面白かった~~~!!!私もこんな世界に行ってみたい~~!!」


そうして私はスマホをベッドに放り投げる。今、まさにずっと追っかけている小説、「私、先生と異世界向かいたいです!ー教師と教え子が異世界で大活躍する話ー」の今日の更新分を読み終えたところなのだ。


まあ、いわゆるネット連載ラノベであり異世界転生ものなのだが、これはそれらの中でも一目置かれている作品なのだ。そういえば、先週累計PVが1000万回を突破したとか、、

もう書籍化も決まっており、そちらもファンとしてとても楽しみな情報である。


しかし、すごい理由は何といっても作者の「おっかけキムチ」さんが今日の更新分は今日中に書いている、すなわちストックがなく、しっかり週3回更新をしているところだ。この話は初期におっかけキムチ先生がSNSで言っていたことなのだが、人気が出てきた後に該当の投稿が何万人にも拡散され、今ではラノベ界隈では一種の伝説となっている。


ちなみに私の推しキャラは主人公の生徒ひまりちゃんだ。愛称はひーちゃんで、コミカライズ版ではとっっっっっってもかわいいイラストで描かれており、このイラストの作者さんのSNSをすぐフォローしてしまったほど大好きな絵だった。


「今日のゲストキャラ味濃すぎだろw

あぁ~相変わらず今日もひーちゃんがいいっ~~~~~~~~~~~

なにこのかわいいセリフ、「先生、そのっ、ありがとうございます、、!」!!!!!!!!!!!!!!!!はあ軽率に尊い養いたい(吐血)

オジサンこまっちゃうナ〜😘😘」


と、私は慣れた手つきで自分のSNSに投稿する。通知欄を更新すると、反応が少しづつ集まってきているようだ。

私は先生が執筆を始めた2年前から、すなわちまだPVもそれなりだった頃からずっとこの小説を追いかけて応援し続けている。そのおかげか今ではSNSのフォロワーが5000人を超えており、自分で言うのも自惚れているようであれなんだけど、せんいせの界隈ではファン代表というか、そういう立場ではあると思う。あ、ちなみにこの小説の略称は「せんいせ」である。#せんいせ などと一緒に投稿すると、たまに公式が拾ってくれたりもするので、私はここぞというタイミングでタグをつけて投稿している。

読み終わったことだし、寝る準備でもしようかと思ったが、なぜか疲労ですぐベッドに倒れこんでしまう。スマホの淵に手をぶつける。痛いなんて思ってる間にも、体がベッドに沈み込んでいく。別に今日大変なことがあったわけじゃないのに何でこんなに疲れているんだろう、、、と思ったがそこで意識は途切れた。




目が覚めたらそこは草原が広がるだけの場所(フィールド)。大きな木が一本立っていて、木の葉は永遠に緑色、新緑の色だと先生がせんいせで言ってたような、、、、、、、えっ、、、、、


「えーっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」思わず叫んでしまう。だってここはせんいせの第一話、「私、先生についていきたいです!」の舞台、タウングリーンズの草原に似てる、、、、というか全く同じ!!!!!!!!!木の高さも先生(187cm)の約2倍、3〜4mっていうのも設定と一致、そういえば木の奥を見てみると、、、、、あった!タウングリーンズ広場!!マーケット、酒場、クエスト紹介所、、、、、何もかも同じ、、、、


「もうここまで来たら絶対せんいせの世界観じゃん、、、、すごっ、、、、、、、、、、」

私は言いながら頬をつねってみる。痛い。何回も力の限りやってみるが、やっぱり痛い。夢なんだろうけど、夢じゃない。きっと。

楽しい。嬉しい。自分がせんいせの世界の中にいる。楽しすぎる。

風が吹く。木が揺れる。穏やかな景色。空も清々しいほど晴れている。せっかくなら昼寝でもしようか、、、、、、


って!!ダメだよ!!!!!次回予告をどうにかしなきゃ!!

そう、おっかけキムチ先生は毎回新作を投稿した後、次回の予告を投稿しているのだが、その文面が以下だ。


『次回、私、先生と異世界向かいたいです!ー教師と教え子が異世界で大活躍する話ー の第100話更新します!

始まりの地、タウングリーンズに戻ってきた2人。ひまりに突然降りかかるもの。それが原因で、二人は大きく変わっていく――ご期待ください!』


ヤバい。確実にヤバい。これ絶対推し死亡フラグじゃん。「次回、ひまり死す」くらいほぼ確で言ってるようなもんじゃん、、

現にSNSでもこれに対する予想が飛び交っており、見るたび気持ちが荒ぶってしまっている。

「あぁ〜〜〜どうしよう!!!!!!!!!!!!!」誰もいないことを良いことに、思いの限り叫ぶ。



あっ、待てよ、、、、ここはせんいせの世界を忠実に再現したワールド、サンドボックス。と言う事は、ひーちゃんに降りかかるものを阻止すれば、その展開を変えられるのでは、、、、?

まあ、私の中で落とし前がつくだけで本物のストーリーの方が変わるわけじゃないんだけどね。それでも、好奇心旺盛なファンとして、そしてひーちゃん最推しの私として、私は淡い期待を持ちながら考える。そして思いつく。

「確か、ストーリーとリンクしているならば、2人は今、この辺りにいるはず、、、、頼む、居てくれ、、、、」

そう願い、私はもう一度あの樹の下に向かう。頼むひーちゃん。

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